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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【59】ーalteredー改変!

「これが災いの根元である小惑星、TS24Fの十時間ほど前の観測画像です。今は昼間なので直接の観測は出来ません。まぁ見れたとしてもここの設備は光学望遠鏡ですし小惑星はいまだ8等級程度の明るさでしかないので、ただの淡い光点にしか見えませんが」


 PC画面に映った小惑星の映像。


「むぅ……」


 ぶっちゃけただの白いシミにしか見えない。

 ここの望遠鏡で見てこのレベルじゃ裸眼で見つけるなんて絶対無理。そんな程度の画像。


「火星軌道をかすめながら地球に向かってくる進路予測というか、もう確定に近いもので落下時期も計算できていますが……」


「空で見えてくるならどのあたりになるのですか?」


「そうですね……、方向で言えば東南東、朝方の少し低めの空で確認出来る……ことでしょう」


「佑奈ちゃん……、どう?」


 どう? って言われてもなぁ……さすがにこれだけじゃあ。


漠然ばくぜんとしすぎて……、もうちょっとイメージできるの欲しい」


 俺の言葉に瑛莉華えりかさんが代田しろたって呼ばれてた主任さんを見る。


「ああ、それなら観測センターネットワークで得られた鮮明な画像があります。国外にある、各国共同で出資し設置された電波望遠鏡からの画像を処理したものです。それならばご希望にそえるでしょう。藤村君、見せて差し上げて?」


「あ、はい。え~っと……、どうぞ、これです」


 指示を受けた女性の所員? 藤村さんが、PCをテキパキと操作し、それほど待つことも無く目的の画像を画面上に表示してくれた。


 モノクロの味気ない画像。


 画面いっぱいに拡大表示された、イビツなイチゴみたいな形をした、荒々しい表面を見せる無機質な物体。


「TS24Fの三時間前にアウトプットされた最新画像です。で、これが……」


 藤村さんが画像を送る。現れたのはコマ撮り画像をまとめたもの。8コマづつ三段。少しずつ画像が変化していってるのがわかる。なるほど、小惑星もちょっとずつ回転しながらこっちに向かってきてるんだな……。


「で、それを連続処理したものがこれですね」


「おお~」


 思わず声出してしまった。


「なるほど、これはわかりやすいですね」


 瑛莉華さんも関心してる。


 見せてくれたのは小惑星のアニメーション。コマ撮りされた画像を繋ぎ、一つの動画としたものだ。アニメで見せられるとその形や動きがめちゃわかりやすい!


 っていうか初めからこれ見せて。


「どうでしょう? ご満足いただけましたか?」


 代田主任さんが俺たちに向かって聞いてくる。渋いイケオジなんだけど、その表情は冴えないし、見るからに焦燥感がただよってる。そりゃそうか。首都圏壊滅の原因となる小惑星。わかっててもどうしようも出来ない無力感ってやつ味わってるんだろうから。


「佑奈ちゃん?」


「……え、あっ、ゴメン! ちょっとよそ事考えてた」


 いけないいけない、集中しなきゃ。


 形のイメージは出来た。でももうちょっと、もうちょっと……


「む~、今現在のリアルタイムな映像、どうにか見れない?」


 無理、かな?


「ああ、それならさきほどの電波望遠鏡から得られる今の画像、お見せしましょうか?」


 あ、見れるんだ。すげ。


「え~、これが今現在の画像です。光学望遠鏡ではないので本当の意味でのリアルタイムとは違いますし、通信上のラグもありますからその点はご留意いただきたいですけど……」


 画面に映ってる小惑星。画面全体に細かい砂嵐みたいな粒粒が映ってて、お世辞にも鮮明とは言えない。輪郭だってさっきの映像に比べれば甘くにじみが出ていて、いかにも画像処理前のデータですって感じだ。


 それでもこれは確かに今現在の小惑星そのものを見てるんだよな。


 ただの一般人でしかない俺が、こんな国の重要施設で。


 完全部外者の俺に、まだ非公開の最新画像を見せてくれてる。



 俺や瑛莉華さんの力。マジやべぇ。




 って、今そんなこと考えてどうすんだよ。



 集中しなきゃ。



 よく見るんだ。認識するんだ。地球に向かってくるこいつを想像しろ。意識をそいつにしっかり向けろ、俺!



「佑奈ちゃん……、がんばって……」


「主任……、いったい何がどうなって? この子、さっきから画面見つめたまま全然動かないんですけど」


「……わからん。ほんとにわからん。山田さんでしたか? そこの女の子、一体何をして……、というか、どうして私は君たちにこれほどの便宜を……」


「まぁまぁ、代田主任。これも取材の一環ですから。この先()()()()()()()、現状の理解はしておいた方がいいでしょう? 今の行動にもちゃんと理由がありますから。もうしばらくこのまま彼女のことを見守ってあげてください」


「まぁ、それは別にかまわないが……」



 外野が色々言い合ってるのが意識の片隅でボヤっと認識出来るけど。


 俺の意識は今までにないくらい集中していってる。


 起きながらにして半分夢を見てるような気持ちになってきて、その夢のなかで小惑星がグルグル回ってるイメージがどんどん膨らみ、明確になってきた。


 小惑星が地球に当たらないように、首都圏に落ちないようにする。それだけを念頭において改変する。くだいちゃダメなんだ。バラバラにしたら破片が広がり余計な被害が出る。


 小惑星を砕くなんて大それたこと出来るのか?


 普通ならそう思うだろうけど……、俺は出来るって確信できてしまう。そういうものなんだ、この改変LV5ってやつは。


 改めて、おっそろしい能力だと思う。


 瑛莉華さんに口をすっぱくして言われた。砕くな、割るな、破壊するな。軌道をらせって。ちょっと方向を変えるだけで、それだけでもう地球に当たることはないって。


 まぁそうなのかもしれないけど……、そのちょっとだけがムズイと思うんだ、俺。


 逸らすって言っても、小惑星が近づけば近づくほど逸らさなきゃならない角度っていうの? それはでかくなっていく。衝突まであと三週間しかない。逸らさなきゃならない角度はもうけっこうでかい。はず。


 でも、やるしかない――。


 …………。


 ……。


 ……うん。


 掌握できたっぽい。



 感覚的なものだけど、そう確信できた。

 なんとかいけそう。



 細かいことはわからない。

 けど中途半端はマズイだろ?



 だから。


 目いっぱいやってやる!




「よし、やる!」


 



 俺はそんな気合いと共に小惑星を改変オルタード……、



 

した!






「ふぅ……」


「ゆ、佑奈……ちゃん。どう?」



 珍しく不安げな様子を見せ、そう聞いてきた瑛莉華さん。あれ? 心、読んでないの?


 俺はにへらと笑い、小さな手でVサインを作って見せた。



「……! そ、そう、そっか……、そっか!」



「へぁ? あぷっ!」


 おもっくそ瑛莉華さんに抱きしめられ、俺の顔面はそのでかい胸に埋まり込んでしまった。


「よくやりました、よくやりました佑奈ちゃん! ほんとに、ほんとにあなたは、すごい子です!」



 ナデナデ攻撃、始まった。




「あ~、その君たち。これはいったいどういう……」



 歓喜にむせび泣き出した瑛莉華さん。その周りにいるここの所員さんたちはとんでもなく置いてけぼり状態。


 急に泣き出したクール系美女、瑛莉華さんの扱いに困ってる感じだ。


 瑛莉華さんも気が早すぎだろ?


 まだ結果も確認してないのに。



「佑奈ちゃん! 佑奈ちゃん! ほんとに、ほんとに……もう……」



 何か言いたそうだけど、泣いちゃって感情乱れまくりの瑛莉華さんは落ち着いて会話がまだできなさそう。いや、ここまで気持ちを露わにした瑛莉華さんってマジレアもの。


「落ち着いて、ね、瑛莉華さん、おちつこ?」


 抱き着かれて身動き取れないながらも、腕を背中に回してサスサスする。ほ~ら落ち着いて、落ち着いて~。



「主任! こ、こ、これ、これ……、うそ、うそでしょ……、し、信じられ……」



 今度は画像見せてくれてた女性所員、藤村さんが騒ぎ出した。なんだよもう、騒々しいなぁ。


「藤村君、どうしたんだ? もうこれ以上の騒ぎは勘弁してほしいのだが……」


 藤村さんがPC画面を指し示し、主任さんがのぞき込んだ。



「なっ! こ、これは、そんなバカなこと……、ありえるの、か?」


「主任、一体どうしたんです?」


「何があったんですか?」


 主任さんが驚いたのを皮切りに次々所員さんが覗き込み、そしてみんなが同じように驚くってパターン。


 そこからはもう俺たちすら置いてけぼりの大騒ぎになってしまった。


「小惑星の形状が大幅に変わってる! この極めて短い時間のなかで小惑星内部で何が起こったかわからんが……、この変化は非常に重要だ」


 やべ、主任さんめっちゃ興奮してるわ。


「ここまで小惑星の形状が変わったとなれば、その重力バランスも変化するし、なにより太陽光圧の受け方が一変する。それによる軌道の乱れはかなりのものになるだろう!」


 なんかすごいこと言ってそうだけど、ようわからん。


「私、小惑星の新しい外観形状を元に軌道の再計算します!」


「たのむ! 東山主任、よその観測センターにも連絡いれて早急に軌道計算のやり直しを依頼してください! 試算データは多い方がいい」


「観測員は他所の観測所からの観測データ収集急げ。ある程度まとまったらこちらの藤村君にまわせ。時間は短くてもかまわない、何よりも早くどう変化したか知りたい!」



 なんかもう居場所無い感じ?


「……佑奈ちゃん、ごめんね。私ったら取り乱しちゃって……。もう落ち着いたから」



「う、うん。それはいいけど……」


 色々聞きたいことだらけだ。そんなふうに瑛莉華さんの顔を見つめる俺。


「とりあえずここから、出ましょう。部外者はもうお邪魔でしょうから」


 そんな俺の頭を撫でながらそう言った瑛莉華さん。わかったから、頭撫でないで。さっきからもうね、子供扱いがすぎるわ。

 



 そんなこんなで俺たちは大騒ぎの観測センターの一室からひっそりと退出した。



 相変わらず場違いな二人組の俺たちは、出会う人にいぶかしがられながらも、能力だよりでなんとか観測センターから出ることができたのだった。


 なんのかのでもう夕方になってて草。

 一日の出来事、濃すぎ。



 でも、とりあえずはうまくいった……のかな?



 そう願わずにはいられない。



 そんでもって、もうこんなことするの二度とゴメンだわ。勘弁して!







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※話中の組織とか設定は全てフィクションであり、適当な屁理屈で構成されております。

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