【52】新野見さんからの緊急依頼?
『お姉ちゃん、なんだかんだ言って結局茂木君と付き合ってるの?』
LINIEにそんなコメントが飛び込んできた。もちろんコメ主は澪奈だ。
『どうしてそうなる?』
当然、付き合ってない。あいつは友人。男と付き合うなんてノーサンキュー。御免である。
『これ』
短いコメと一緒にリンクが張られてきた。即タップで確認する。
…………。
『あちゃ~、これか……』
開いた先はいつもの掲示板サイトだった……。
【ロリコン歓喜!】ついに合法ロリを発見してしまう。合ロリ14
246.☆☆☆てぇてぇ☆☆☆
20**/11/**(土) 10:36:47
合法ロリに彼氏?
あのスポーツカーの助手席に若い男を乗せた合法ロリを発見してしまった!
以前目撃情報のあった公園手前のイチョウ並木で、あの派手なスポーツカーを止めてその男と仲良く写真撮影してたわ
紅葉シーズン真っただ中で、それを背景に写真を撮っていた模様
一応男の安全確保のため?モザ入れとくwww
画像
スポーツカーのドアに寄りかかってポーズとってる合法ロリ
黒っぽい服装にスカジャンってファッションが小悪魔的で今までと違う可愛さ!
画像
男と会話してる合法ロリ
自然な笑顔で可愛さマシマシ
今までにない表情
男のせいか!
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だんだんギャラリー集まってきて焦ってる合法ロリ
この後男を助手席に座らせ慌てて帰っていった
男は高校生っぽかった
247.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:01:18
スレ主登場
うpたすかる
男がめちゃいいカメラで撮ってて草
248.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:05:32
ポーズ取った姿を見るになかなかのスタイル
胸もけっこうあるな
男は彼氏か?あの胸をアレしたりコレしたりしてるのか!
俺とかわれ
249.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:07:29
未成年男子と成人過ぎのはずの合法ロリ
犯罪臭しかしない
でも見た目は普通の学生カップルで草
250.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:08:47
男が普通すぎやん?
俺とかわれ
251.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:08:59
どうせお前も一緒
252.奈々氏さん
20**/11/**(水) 11:09:08
お前もな
――――――
――――
――
なんだこいつら。
もう見るに堪えんわ……。
『まぁなんだ、これにはたいして深くもない事情があってだな。あ~、もう、めんどくさい電話する!』
LINIEではまだるっこしくて、直接電話した。電話で話すなんていつぶりだろ? そんでもって俺の言い分をしっかり言い聞かせた。
<うんうん、そりゃ事情はあるよね。うんうん>
<いや、だから変な勘繰りすんな! とりあえず付き合ってなんかないから。まじ勘違いすんなよな。あの日はほんとたまたま、たまたま偶然出会っただけだし。横に乗せるのだって友達なら普通にあるだろ? だから……>
懇切丁寧にこれでもかって言うくらい説明した。ついでにしゃべり方が乱暴だってまた注意された。
<はいはい、もうわかったから。お姉ちゃんしつこすぎ。もう切るね>
俺があまりくどく言ったせいか、珍しく向こうから切られてしまった。
で、電話切ってからも念のためコメにも『付き合ってなんか絶対ないから!』と入れといた。
こんだけ言っとけば大丈夫だと思いたい。
ほんと天変地異が起きようと、男と付き合うなんて絶対ないから。頼むわまったく。
それにしてもSNS掲示板、マジ情報収集力パネェ。どこに奴らの目があるか、わかったもんじゃねぇわ。
不特定多数の目なんて気をつけようもないし。
頼むからほどにしておいて。
お願い。
***
十二月。
季節はもう冬だ。
寒いとお腹冷えて月イチのアレに響く。やだやだ。
LV4になってからもう四ヶ月近くになる。五月からトントン拍子にレベルアップしていったのにここに来て足踏み状態が続いてる。
とは言うものの新野見さんに言わせれば俺のレベルアップは異常に早いらしく、自分の時と比べれば理不尽さを感じると嘆いていた。
彼女に早くレベルアップしろって言われてる身としては、それこそ理不尽な気がするんですけど!
けどまぁ、新野見さんがLV5になるまで五年以上かかったっていうから、そう言いたい気持ちもわかるわ。人の気持ちや記憶を覗くとか、精神的にくるものあるだろうしレベルアップ条件がきつそうだし……。
その点から見ても改変は色々融通聞くし、やれる幅も広いからレベルアップしやすいのかもな。何しろ俺の力は一方的だからな。相手なんか関係ないもん。
それにしたって、新野見さんがレベルアップにかかった時間を聞くに俺のレベルアップペースは確かに早いわ。でもまぁ、人は人、自分は自分だ。
なるようにしかならない。
自分なりに頑張ってLV5にするさ。
そんなことを思いながらも自分の趣味部屋でPCに向かってダラダラ時間を過ごしてたらスマホが鳴った。
「ん? 噂をすれば……で、新野見さんだ。なんだろ? また頭覗かれてたのか? 愚痴られるのか~?」
入ってきたLINIEのコメントを見てみる。
『佑奈ちゃん! お願いです。今すぐここへ行ってください!』
そんな必死さを感じるコメントと共にお願いスタンプが大量に貼られてきた。コメントには行ってほしい地点へのリンクも貼られてる。リンクをタップすると地図アプリが開いてその場所が確認出来た。
俺のマンションからは徒歩で十分もかからない場所だ。
マンションや雑居ビルが建ち並ぶ一画。特に目立った店とかあるわけでもない普通の街中。
けれど、もう一本奥の筋に入ればビル街というより雑然とした個人所有の建物が並ぶ景色へと変わっていく、そんな一帯だ。
「もうめんどくさいなぁ」
俺は文句を言いながらも、必死さを感じるコメントに重い腰を上げた。急ぎっぽいから着ていたTシャツとパーカーはそのままに、下だけジャージからスキニーパンツにはきかえる。外は寒そうだし、さすがにジャージはやめておく。
ニット帽をかぶり薄手のダウンジャケットを羽織り、スマホだけ持ってマンションから出た。
新野見さん曰く、行けばわかる、急いで! だと。
なんだそれ? ちゃんと説明してよ。
ぶーたれながらも速足で歩いていけば目的のビル、そこもマンションだったけど……そこの十三、四階あたりのベランダからもうもうと煙が出てるのが嫌でも目に入った。
「え、何、あれ。もしかして火事?」
マジかよ。勘弁して!
俺は、もう走る勢いでそこ目指してる。もしかしなくても、あそこで何か起こるに違いない。そして、俺が行かなきゃ何かまずいことになるんだ。
いやもう火事にはなってるけどさ。
御託はともかく、俺が行けば何とか出来るって思ってるわけだ。
あまり期待されても困るんだけど……。
マンションの下まで到着すれば、そこにはすでに野次馬がわらわら湧いていて、鬱陶しいことこの上ない。まぁ俺もその一人だけど、平日なのに暇なやつ多すぎ。
遠くから消防のサイレンが聞こえてくるのでそのうち到着しそうだ。見上げれば煙はさっき見た時より激しくなってて、ときおり炎が混じりだした。これは本格的にヤバそう。
マンションの住人がぽつぽつ出てきてるけど案外少ない。平日の昼間だし、留守にしてるところも多そうだ。
「あ、おい、あれ見ろ!」
野次馬の一人が指さして叫んでる。
「人が出てきたぞ!」
「子供じゃないか? あれヤバイぞ!」
おいおいマジかよ。
マジで子供だ。七、八歳くらいの男の子? 煙に巻かれながらも外に向かって必死に手を振ってる。泣き叫んでるようにも見える。そりゃ恐いよな。苦しいよな。
新野見さん? まさかアレをどうにかしろと。
俺、念動力とか瞬間移動とか使える訳じゃないんですけど?
どうやって助けろっていうの?
「消防まだかよ? 早く助けないとやばいぞ」
野次馬が大騒ぎするも、もちろんどうこう出来る訳もなく。
俺は俺で、どう対処すればいいのか全くもっていい案が思い浮かばない。
「おい、あの子供、ベランダの上にあがったぞ!」
「やだっ、やめて~!」
「まずい、まずいって!」
本格的に炎が上がって来て子供がいたベランダもあっという間に居場所がなくなっていき、追い詰められた男の子がとった行動。ベランダの手すり壁によじ登り、その上に立ち上がった。煙に巻かれたせいか、随分動きがふらふらしてる。
どうやら手すり伝いに隣に移ろうとしてるみたいだ。ベランダの仕切りはまさにこういう時のために蹴破れるようになってるはずだけど、小さい子には厳しいだろうし、そもそもそういうことすら思いつかないかもしれない。
そんな時だった。
部屋の中から爆発音がし、ことさら大きな炎と爆風がベランダに向け吹き荒れた。ガラスや建物の破片が外に向け飛散する。
「あっ!」
野次馬の声が一瞬やみ……、最初の誰かのそんな一声。
「お、落ちたぞっ!」
「いやー!」
皆が一斉に騒ぎ立てる。
そんな中、俺は無意識のうちに改変を使っていた。




