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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【50】新野見 瑛莉華の話し……と決意?

 中学までの私は、内向的な性格で人付き合いを苦手としていて、学校でもいつも一人で本を読んでる、まあぶっちゃけて言えば根暗な子だった。ただ、自分で言うのもなんだけど、容姿が整ってて背もやたら伸びたものだから、クラスで浮いてた私でもイジメられるようなことにはならなかった。


 まぁ、イジメてきたら倍返ししてやったと思うけどね。


 内向的で人付き合いが苦手だからといって、根性無しとは思わないで欲しい。人付き合いが面倒だから人とからまないだけで、私はやられたらやりキッチリやり返す。泣き寝入りなどしない。


 私の容姿につられてか、男子に何度か告られたりもしたけど、全て興味ないからとその場で断った。


 おかげで私の学校での評判はあまり良いとは言えないもので、クラスの皆からコソコソ陰口をたたかれてたのも知ってる。あだ名だってつけられた。


『ボッチェリカ』


 最初、耳に入ってきたとき、なんだそれ? って思った。まぁトイレにこもってたとき、ベラベラしゃべってる陽キャ女子たちがそのことに触れたおかげで理由が判明した。


 ボッチのエリカ(瑛莉華)だからボッチエリカ。発音をならしてボッチェリカ……。


 ばっかみたい。


 学校には低能しかいないのかって思った。



 母は小さい時に亡くなっていて、男手一つで育ててくれた父はいつも遅くまで仕事をしてるので、家に帰っても誰もいない。なので広いマンションに私一人でいることがほとんど。


 マンションに一人でいるのが嫌でたまらなかった。



 高校生になり、ある程度自由に動けるようになってからは一人で出歩き、書店巡りすることが多くなった。私の唯一の趣味と言ってもいいかもしれない。



 そうした中で、私は運命と出会った――。



 ――地元の本屋を巡りつくした私は遠出し、初めて来た街の中を一人気の向くままに散策し、ふと気になって入った路地でそこを見つけた。


 年季の入った木造二階建ての古書店。


「こんなところに……、なんだかすごくいい雰囲気」


 入ってみれば、古い本屋さん特有のなんともいえない独特な匂い。でも私にとってはそれこそ心が落ち着くアロマそのもの。


 しばらくこの書店で時間を潰そうと、狭い店内に所せましと並ぶ本棚に目をやり、良さげな本がないか探すことにした。


「気に入った本があれば買っていこう……」


 

 どれくらい経っただろう。


 少し寂し気な西日が窓から差し込んでくるくらいには長く居たみたいで、そろそろ帰らなきゃと思った時。それが目に入った。というかまるで私を引き寄せたのではないかってくらい、その本にくぎ付けになってしまった。


「童話……かな?」


 本の雰囲気からそんな気がしたけど……、


 表紙や背表紙に使われてる変わった書体の文字は自分の知ってるどんな文字とも違う。中をパラパラ流し見てもやはり同じで何語で書いてあるのかさっぱり。所々ある挿絵も抽象的で何を表しているのかよくわからない。


 まぁなんとなく、何かが大きく燃えているのと、いびつな形の星の絵っぽいのが描いてあるのかなぁと思える程度。


 読めない本。


 それでも私はどうにも気になったのでその本を買って帰途についた。


 マンションに着くころには日が暮れていて、買った本がどうにも気になった私は急いで晩ご飯を済ませ、自分の部屋にこもった。


「うーん、わかって買ったとはいえ……、やっぱり全く読めない。何語なのかさえさっぱり……。私、どうしてこんな本買っちゃったんだろ?」


 自虐しながらも、あきらめきれず本のページを丁寧にめくり、読み進めていく。いや、読めないんだから読み進めるって変か。と、ともかく、内容は全く理解できないながらも最後まであきらめずページをめくり進めた。少しくらいわかる文字がでてこないかとはかない期待をもってめくったけど……、結局わからず仕舞いで終わった。


「挿絵は印象的で綺麗な絵だったけど、それだけじゃ……、うっ、いたっ」


 なんともむなしい読後の余韻よいんに浸ってたところで急に頭痛にみまわれた。


「なに、これ? 頭……割れるように……い、いたい……」


 今までに経験したこともない痛み。あまりの痛さに横になろうと動いたところで、座っていた椅子から転げ落ち、そのまま床でのたうちまわった。もう服装が乱れるとか、みっともないとか、そんな悠長なことを考えてる余裕なんて微塵みじんもなかった。


 床をいながらベッドに向かった。


 四苦八苦しつつも、なんとかベッドの上まで這い上がり、横になったところで力尽き……、私は意識を手放した。




「ん……、んん……」



 どれくらい時間が経ったのか……、真っ暗な部屋の中で眼が覚めた。


「あ……、あれは夢? それとも……」


 何か暖かい存在にずっと語りかけられていた。そんな漠然とした記憶が今も私の中に残ってる。そしてその中で授けられたある能力についても……。


 部屋の外からTVの音が聞こえる。どうやら父が帰ってきてるみたい。今日は少し早いのかな?


 時計を見れば二十一時を少し回ったところ。どうやら私は四時間ほど眠っていたみたいだ。


 でもちょうどいい。父には悪いけど実験台になってもらおう。



「父さん、お帰り。今日は早かったね」


「ああ、瑛莉華エリカ。ただいま。思ったより仕事がはかどってね、たまには早く帰ってお前の顔を見てみたいと思ってな。ずいぶんぐっすり眠ってたようじゃないか? いちおう声は掛けたんだがなぁ」


「ごめん、本読んでたらそのまま寝落ちしたみたいで……」


 会話をしながらも父を注視し、授けられたであろう力を確認する。



 …………。


 ……あっ、……ううっ……。



 父の、私に対して申し訳ないという想いがたくさん流れ込んできた。その想いはとても深くて重い。それにつられて、亡くなった母への途切れることのない思慕の気持ちまでもが流れ込んできた。



 ……ああ、待って。


 止まって。


 もういい、もういいから!



 こんなつらくて悲しい想い……。


 もうこれ以上は知りたくない。


 そんな気持ちに引きづられ……、


「え、瑛莉華? ど、どうした急に泣き出して! 何か嫌なことでもあったのか?」


 気持ちが抑えきれず、瞼から涙が零れ落ちてしまった。不覚……。


 父にみっともない姿を見せてしまった。


「だ、大丈夫。そ、その、あくび我慢しちゃって、そ、それでかな!」


 く、苦しい。


 なんともバツが悪く、逃げるように自分の部屋に戻った。





 「やっぱり夢じゃなかった……」


 父の想い……。私が知りたいと願うと、その想いが打ち寄せる波のように私の頭の中に流れ込んできた。来てしまった。



「……そんな、小説みたいなこと……」


 未だに信じられない。

 

 けど事実。



 夢の中で語りかけてきた存在。

 その存在から託された能力……。


 

 そのきっかけとなったのはやはり、あの本?


 もう一度見てみようと机の上に目をやる。



「え? うそ……」



 まるで始めから存在していなかったかのように、机の上には何も無かった――。







 ――それからの私は夢の中の存在から語られた言葉に従い、授けられた力の技量というか習熟度を上げ、レベルアップっていうの? まるでゲームみたいだけど、その段階を進めるため、ひたすら努力した。



 LV2、LV3と進め、LV4になった時はどういう仕組みか全く理解できないけど、スマホで今までのレベルアップの情報ログが確認できるとかわけわからないことまで出来るようになった。


 ほんといったい何なのだろう、この力。


 人の記憶や思考、物の成り立ちや情報。色んなことがその力を使えばわかってしまう。そんな不思議な力。もちろん万能ではないけれど、工夫次第でどんどんやれることも増えていく。


 長い時間がかかった。けれど、とうとうLV5まで到達した。


 夢に現れた存在により語られていた最終到達点。


 LV5になったことで今まで得た能力全てを無制限に用いれる。それはとてもすごいことだけど、問題なのは特典としてもらえた力の方だ。


 一年先までの未来視。


 この力を得たことにより、私はこの先に起こる恐ろしい出来事の予兆を視てしまった。


 でも、そうならないかもしれない予兆も同じように見えた。


 未来の出来事ははっきり道筋が見えるものや、あやふやでふんわりとしたものなど、見るものによって見え方が違う。不確定要素がどれだけあるかによって先の状況は変わっていくのだと思う。


 だったら恐ろしい未来がこないよう、私は足掻いてみようと思う。



 夢の存在が私にこの力を託したのだって、もしかして……。



 その鍵を握ってるのはある女の子。

 その女の子の存在も未来視で得たもの。


 それをもとに本人を見つけ出し、読心によってその子の《《真実》》を読み取った。


 それを知った時は、さすがの私もちょっと驚いてしまったけど。



 川瀬佑奈かわせゆうな



 見た目はとても可愛らしい、十五、六歳くらいにしか見えない女の子。この子は驚くことに《《元男性》》で、しかも二十三歳という年齢なのだ。絶対そうは見えないけど。


 あの存在の力はほんとにすごい。

 でもどうしてわざわざ男の人を女の子に?


 そんな疑問ももちろんあったけど、彼女の姿を見ればそんなことは些細な事と思えてしまう。


 ああ、例え元男で成人してるとわかっていても、可愛いが過ぎて頭が混乱してしまう。


 どうしましょう!


 …………。


 こほん。


 佑奈ちゃんには私の力も全部話し、これから起こることについて協力してもらうよう頼みこんだ。


 まだ何が起こるかは教えていない。知ればパニックに陥るかもしれないし、そうなれば、レベルアップの妨げにすらなり得るから。



 佑奈ちゃんはまだLV5に達していない。


 達しないことには未来視の悪い方向への分岐を無きものにすることができない。


 今もって未来視の先は、良きも悪きもまだ見えないまま。



 けれど、佑奈ちゃんの能力次第で未来視の先もきっと定まる。


 見ることしかできない私の力では佑奈ちゃんを直接助けてあげることも出来ず、ほんと、じれったい。


 それでも諦めることなんて絶対出来ないのだから、佑奈ちゃんにいやがられようが、きらわれようが、心を鬼にして頑張ってもらうしか他にない。



 ああ。


 ほんとは仲良く一緒に遊びたい!

 コスプレとか一緒にやってみたい!

 お買い物だって一緒に行ってみたい!


 解決したら絶対ぎゅっとして、はぐはぐして、ぷにぷにしてやるんだから!

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