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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【45】レベルアップネタを考える

 暑かった夏もようやく終わり、季節は遅すぎる秋へと移り変わろうとしていた。


 いや、近頃暑さが長く残りすぎだろ! 十月に入ってようやく秋を感じられるとか、もう勘弁してほしい。


「十月かぁ……、あと一月ひとつきで二十四歳。歳はとりたくないものだけど。けどなぁ、私の見た目は相変わらずの女の子ぶりだし。……まぁ半年でいきなり見た目がかわるはずもないけど」


 鏡に映る自分の姿。


 整った、でも少しも硬さの感じられない十代の女性ならではの柔らかなかんばせ。――実際はまもなく二十四歳になる元男なわけだけど。


 艶々ピンク髪に、ミドリみが強めな碧眼。ちょっと垂れ目で、くりっとした目に長いまつ毛。変に主張のないスッと通った鼻筋。その先の桜色をした小ぶりでぷっくりした柔らかそうな唇。

 海行ったり、コスイベ行ったり、小鳥と戯れたりと、夏の日差しを結構あびまくったけど日焼けもせず、相変わらずシミ一つない白くてきれいで滑らかな肌。


 どれをとっても我ながら感心してしまうくらいの美少女っぷりである。


 更に言えば怪我してもすぐ治っちゃう不思議すぎる体だ。


 改変による今の体を維持しようとする、強制力。自分でそう考えてるそんな力のせいで、俺は自分の将来の姿がどうなっていくのか少しばかり不安を持ってる。


 まぁ老けないこと自体はありがたいことなんだろうけど、それにも限度あるし。年相応な見た目になっていかないと、だんだん悪目立ちしていくことになってしまう。


 こんなこと考えるのももう何度目だろう?


 そんならちが明かないことを考えるのはやめて、すっぱり頭を切り替える。


「レベル上げ、なにしてけばいいかなぁ?」


 身の回りの小鳥たちは季節が変われば多少入れ替わるので、そいつらについては確認でき次第、さくさくっと改変オルタードしていってる。それ以外はといえば、小動物系で目についた奴なんかはその対象にしてるけど……、こんな都会じゃそうそう見かけないんだよなぁ。


 マンション暮らしじゃ犬猫ともそうそう遭遇しないしさ。


 外を出歩くのは、引きこもり系社会人には相変わらずハードル高い。数少ない行きやすかった場所、公園だって今となっては行きやすいとは言えなくなった。


「いっそ、山奥とか車で行って、野生の生き物改変してくか?」


 なんて思いもしたけど……、


「いや、でもなぁ」


 野生の動物相手はちょっとというか、かなり怖い。たぬきとかうさぎとか、小さいのだけならいいんだけど、でかいの出てきたら対処に困る。猪とか熊とか出たらどうする!


 っていうか、そもそも野生の動物なんてどうやって見つけたらいいんだ?

 街育ちのモヤシにはとんと思い浮かばない。


「ハードル高いわ」


 ……あ、そうだ。


「奈良公園とかいけば鹿がいっぱいいるよな!」


 安直にそう思った。

 ……ああ、でもだめか。


 あそこの鹿、ただでさえ人懐っこくてせんべい欲しさにまとわりついてくるのに、更に改変とかしたら押し倒される未来しか見えない。俺なんて一瞬でそうなる自信ある。


 いったん動物から離れよ。

 他になにかいいネタないかなぁ……。


 …………。


 うん。


 物の情報改変とか、やりやすいんじゃね?


 前公園で自分の周囲の空気温を調整して暑くないようにしたやつ。あんな感じで色々試してみたらどうなん?


 今の時期、暑くもなく寒くもなく、エアコンなしでも過ごせる、ちょうどいい時期なんで体の周囲温度の改変はなしだな。


 それ以外で、身近で簡単に出来ることで、やってないやつ――。



「あっ、水か。うん、水。水の温度、改変できるかやってみよ!」



 いや、これもっと早く試しててもよかったよな。マジ俺なにやってんだろ……。


 ま、そんな自虐は置いといて、とにかく実践あるのみだ。


 とりあえずキッチンで、コップに水入れて試してみる。一人暮らしで食器類もたいして充実してないのでコップなんて片手で足るしかないが。澪奈にいつも呆れられるが使わないものを買いそろえるのは無駄なだけだし。必要ならその時買えばいいだけだし。


「まずはお湯にしてみよ」


 テーブルの上に水を満たしたコップを置き、睨みつけてお湯になるよう願いつつ改変オルタードする。


 見る間に中の水から凄い勢いで気泡が湧き上がって来て、ヤバイと思う間もなく『パシッ』と短い破裂音とともにコップが割れてしまった。


「うっそ! あっつ!」


 飛び散った水、いや熱湯が目の前で睨みつけてた俺の腕や顔に多少かかった。


 マジ熱湯で泣く。ヤバイ。小さいながら水ぶくれになってる。


「くぅ、改変するとき雑念入ったかな? 勘弁してくれよ、も~」


 また一つコップが減ってしまった。

 割れたコップの破片と零れた水でひどいことになったテーブルを片付けつつ、次策を考える。水ぶくれは放置である。ヒリヒリするけどほっときゃ治るだろ。


「ま、素直にお風呂で実験の続きするか。バスタブに水張ってそれで実験しよ」



 そういうことにした。

 つか、ここ最近、ひとり言が激しすぎて笑える。いや、でも考えを口に出して行動するのはいいことだろ。決して寂しいからじゃない。



 ところを変えて、お風呂である。


 水遊び……、いや、改変の実験するから素足にパンツ、上はブラも無しのTシャツ一枚の超ラフな姿と化している。ジャージの短パンもブラも濡らしたくないからな。脱いじゃった。ちなみに部屋でもノーブラはダメと澪奈みいなや母さんからくどいほど言われてるし。


 バスタブの半分くらい水を入れたところで実験再開だ。


「ま、さっき熱湯にはなったし、改変できるのは間違いない。あとは温度調整の問題だな」

 

 別に熱湯でもいいけど、やるならやるでぬるま湯から熱湯までちゃんと自分の意志で調整できるようになりたいじゃないか。ねぇ?


「ちゃんと具体的な温度を考えながら改変オルタードしよう」


 ってことで俺は色々条件を変えつつ、水を改変する作業に黙々ととりかかった。温度を上げては下げ、下げては上げ。


 それの繰り返しだ。


 まぁコツはすぐつかめた。所詮頭の中で考えるだけだし。考え方さえ自分の中でキッチリ認識し、基準化してしまえばあとはただの作業だった。


「もうバッチリだな。コップ割っちまうことももうなさそう。つうかもう飽きた」


 ()()を始めて三十分もすれば早々に飽きてしまった。水の温度変えてるだけだからな。そりゃ飽きるわ。小鳥はよかったなぁ、可愛いもん。


 とはいうものの。レベルアップのためには我慢してやり続けなければ。俺は我慢してあと三十分ほどは水温改変作業を続けた。色々試してもみたさ。ゆっくりジワジワ沸騰するまで上げて見たり。そこからまたゆっくりジワジワ温度下げて見たり。


 零度までさげたらなんとびっくり、氷できちゃったよ。いや、零度なんだから水だって凍りもするんだろうけど。それでもびっくりだ。


 俺、人間製氷機になってしまった。


 物の形は変えられないと思ってたけど、やりようによっては氷程度なら作れてしまうこの事実。


「いや、改変マジ奥深い!」


 レベルアップのログだけ見てても、俺程度のオツムじゃこんなの連想できんわ。不親切すぎん? あのログ。


 ああ、なんかいつも同じような愚痴が出てしまう。よくないな、うん、よくない。


 ここ最近の改変の成果はなかなかのものだよな。新野見にいのみさんに出会うまでのことからすれば、めちゃくちゃ応用進んでるわ。俺ってのんびりしてるし、今が良ければそれでいいって奴だったから、外圧かからないきゃ動かないメンドクサイやつだったんだよなぁ。そんなだから会社勤めもすぐダメになったし。


 この調子でいけばレベルアップ、近い日にはるか?


 成って? お願い。








 そういや、顔や手の水ぶくれは実験終わった時にはやはりというか、すでに跡形もなかった。


 この体マジやばい。まじチートじみてる。

 ああ、これ考え出すとまたうつになりそう。



 こんな日はとっとと飯食って寝よ!


 それが一番だ。


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