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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【30】茂木クンの成果、のちドライブデート?

 昨日は大変な一日だった。


 最後のほう、もう眠すぎて記憶があやしい。つかほぼ寝てた。

 帰り道で何かあったような気がするんだけど、澪奈みいなに聞いても別に何もなかったよって感じで、要領を得ない。微妙にきょどった態度とか……、絶対なにか隠してる。


 ま、変にやぶつつかなくてもいいか。


 引きこもり系社会人である俺に、まる一日外で動きまわる体力はなかった。それがすべてだ。


 鏡に映る俺の顔。


 今日も変わりない美少女のミドリみが強めの碧眼がこっちをみつめてくる。でも、心なしかまぶたがはれぼったく、カラコンいれたせいか若干充血してうるんでる気もする。


 ウチにお泊りしてる二人は、中華街とか見てまわるとかで朝から出かけてるからマンションには俺一人。俺も誘われたがお断りさせて頂いた。いやマジ無理だから。


 おかげでとても平和なひと時を過ごせてる。このままぐ~たらして体をしっかり休ませよう、うん。


 株がらみの日課を済ませ、しばらくPCを使って趣味の活動に勤しむ。昨日撮った写真もクラウドで共有してるからPCで閲覧出来る。


「う~む、澪奈たちが勝手に用意したコスだけど、やっぱけっこうイケてるよなぁ俺」


 あいつらが俺のスマホで撮ってくれたコスプレ写真や動画を見て自画自賛な俺。まぁちょっとアニメキャラより背は高いし胸あるし、しかも垂れ目ぎみけど……、細かいこと言い出したらきりがない。雰囲気出てればいいんだよ。


 つり目とか、テーピングとかで作ることも出来るらしい。合わせで写真撮った子が教えてくれた。みんな推しキャラに似せるため色々工夫してるんだなって思ったわ。


 それにしても動いてる俺、マジ可愛い。俺ってナルシストの気があるんだろうか?


「ん? LINIE(リニエ)入ってる?」


 昨日のことを思い浮かべつつ、ふとスマホ見てそれに気付いた。


「茂木クンか。彼にも色々面倒かけたな……、主に澪奈たちが」


 高校男子にJK二人と()()()()、三人連れて歩くのは相当難易度高かっただろう。俺だったら発狂する。


「おお、いいタイミングじゃん、昨日の写真か~」


 俺自身に余裕なかったから、あまり趣味のカメラの話とか聞いてやれなかったし、ちょっとかわいそうなことしたな。またいつか、フォローしてやるか。気が向いたら。


 おおっ、LINIEのアルバム機能でまとめて上げてくれてるじゃん。めっちゃ嬉しい!


 とりあえずお礼のコメを返して、さっそく写真を見させてもらう。


 「うわ、すごっ」


 投稿された写真がタイルのようにずらりと並んでて、スクロールしなきゃいけないレベル。いやすごいな。上の端の一枚を選んで、順番に見ていく。最初の方は他のレイヤーさんの写真ばかりだ。ご丁寧に俺たち以外の写真も全部アップしたみたいだ。そりゃ枚数も増えるって。


「さすがカメラが趣味って言うだけある。撮り方とかすごく上手だわ」


 構図とか光の加減とか?

 よく知らんけど。


「こ、これが俺!」


 俺こんな表情いつした?


 カメラ目線で柔らかな笑顔を向けるコスプレ美少女、実は二十三歳の元男、俺。ツインテールにしたピンクブロンドの髪にうまく光が差し、キラキラした透明感が写し出され、最高の演出になってる。そういや茂木クンいっちょ前にレフ板? とか用意して怖いもの知らずにも澪奈たちに持たせたりしてたしな。


「これ、けっこうローアングルな。やっぱ茂木クン、趣味だと人格変わる系だわ。ちょっと恥ずい……」


 色んなアングルからの写真がある中で、足元から仰ぎ見るようなやつを見つけた。もちろん多少離れてるので露骨にスカートの中が写ってるわけじゃない。それにスパッツ履いてたしな。ただ、写真で見ればそんなのはわからない。わからなきゃ履いてないのと一緒だ。


 我ながらすらりと伸びた綺麗な足を下から覗くそのアングル。見えそで見えない、絶妙なライン。


 いやぁ、叡智えいちだ。


 元男のこんな写真に需要あるかどうか知らんけど。そもそも誰に見せるんだって話しだけど。コスプレした時点で不特定多数の人に写真撮られてるわけで。拡散されても止めるすべはない。


 茂木クンにも撮った写真の扱いは任せるって伝えた。個人情報は出さないってことだけ念を押したけど……、気休め程度だな、そんなの。



 ま、コスプレなんて二度とすることもないだろし、すぐ忘却の彼方に置いてかれるさ。



 とりあえずお礼のコメ、返しとこ。叡智ですね? とかな。


 茂木クンの反応、面白そうだ。


 


***



 一日ゆっくりできた昨日と違い、今日は朝から忙しい。


 澪奈たちは明日地元に帰るわけだが、帰る前に是非ってことで、その要望に応えることにしたわけだ。お礼も兼ねてね。



「ゆーなさ~ん、こんな感じでいいですか~?」


 めぐちゃんが外出準備を整え、俺の前に立った。


 俺の真似か、ベースボールキャップをかぶり、袖と丈が短めのぴったりしたTシャツにショートパンツって装いで、ツートンのTシャツの袖の色とパンツの色が合せてある。うん、相変わらずボーイッシュでアクティブなめぐちゃんだね。Tシャツの丈、短かすぎじゃない? おへそ見えちゃうよ、それ。


「いいんじゃないかな。あと、日焼けが気になるなら上にパーカーとか羽織って対策してね? 日焼け止めとかもちゃんと塗った?」


「ぬかりなしです。ちゃんとゆーなさんの言いつけ守ってます! パーカーもリュックに入れてありまっす」


 ま、ってことで俺の愛車、めぐちゃん名付けたところの『きいろちゃん』でドライブに行くことにあいなったわけである。


「きいろちゃんに会えるの楽しみです! 早く行きましょう」


「お姉ちゃん、萌美めぐみのことよろしくね。うざかったらバシバシ言ってやっていいからね」


「みーな、ひどい。私はゆーなさんの言うことはちゃんと聞くし、いい子にするし~」


「はいはい、わかったから。騒がない騒がない。じゃ、行ってくるから澪奈みいな留守番よろしくな」


 そう、俺の『きいろちゃん』は二人乗りのミッドシップスポーツカー。後ろに人が乗れる余地など全くない。したがって澪奈はお留守番である。ま、明日の帰宅に向けて荷物整理とかもあるし、さすがに疲れてるからちょうどいいって、進んで留守番役を引き受けてくれたわ。


 めぐちゃんの体力、恐るべしである。さすがスポーツやってる系女子!


 ちなみにバスケやってるそうだ。うん、いかにも体力アリソウダナー。


「駐車場は地下なんですね! なんか秘密基地みたいでかっこいい」


 いや、そんな要素、みじんもないから。エレベーターで地下階まで直行し、車までスタスタ歩いていく。今回は軽く湾岸線を走り、アクアラインにある海ほたるPAで休憩して戻って来るだけだから往復でも二時間もかからない予定だ。


 ボディカバー外しをめぐちゃんも手伝ってくれたからちょっとラクだった。外すときだけ来てくんない?


「やだ、かわい~」


 か、可愛いか? こいつ。いや、小ぶりなスポーツカーだから確かにそう言えるのか? いや、でもなぁ。JKにかかればなんでも可愛くなるんだな。


「せっかく帽子持ってきてもらったけど、暑くなりそうだし、今日はオープンにするのやめとくよ。ま、被っててもいいけどね」


 俺も帽子はずっと被る。目立ちたくないし。


「そうなんですね~。残念だけど暑いのもいやだからりょ~かいです!」


 俺の『きいろちゃん』は車の構造的にエアコンの効きがイマイチよくない。オープンで走ればそれが更に顕著になってしまう。俺だけならそれでも我慢するけど、今日はめぐちゃんも乗る。日差しのばんばん入って来るオープンはやめとくに限る。


「うわぁ、ほんっと乗りにくい~」


 そう言いながらもうれしそうに乗り込んでくるめぐちゃん。さすがスポーツ系女子。世界でもトップクラスに乗りにくいこの車も彼女の前では形無しか。


「めっちゃ視線が低い~。てか、なにこれ、座ってても手が地面に届くんだけど? うける~」


 うん、楽しそうでなにより……。


 予想外にテンション上がってるめぐちゃんを抑えながら、俺は首都高湾岸線にむけ車を出した。何かするたびにテンション上げるめぐちゃんに、俺は逆に引いてしまうけど、俺の車に肯定的な人は珍しいから気分はとてもいい。


 なのでそんなめぐちゃんのためにも、短い間だけど素敵なドライブになるよう頑張りたいと思う!



 ま、俺ががんばったところで何も変わらないけど。



 だからこれから通る湾岸線とアクアライン、そして海ほたる様の力にすがり付くしかない。


 だから少しでも気分よくなれるよう、道が渋滞しないでスムーズに通れますよ~に。


 『きいろちゃん』は渋滞にも弱いのだ。ミッドシップは風当たらないとすぐ水温上がってオーバーヒート気味に。そして、それはエアコンの効きにも直結。車内は暑くなるって悪循環。


 めぐちゃんの機嫌はローテンプ!


 意味不明!




***



 俺の()()()()()()()()()か、目だった渋滞もなく無事海ほたるまで辿り着いた。目立つスポーツカーから毛色の違う可愛い女の子二人組が出てきて、車に注目してた人たちが驚いてた。ま、子供二人出てきたようにしか見えないから、そりゃ驚くわ。


 慣れてしまって、自分の見た目のこと忘れがちになるので気を付けないとな……。


 ともかく、そこで土産みやげ物を物色し、有名コーヒーチェーン店で軽く飲食を済ませ、無事帰途に付けた俺たちだった。

 

 めぐちゃんにも満足してもらえたようだし、なにより『きいろちゃん』の評価も変わらずだったので一安心といったところ。


 けどもう、横に人はなるべく乗せないようにしようと決意した。気遣うことがおおすぎ。面倒がすぎる。


 やっぱ、一人がいい。

 それこそが至高である……と、



 引きこもり系社会人の俺は認識を新たにした。

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