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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【27】いざコスイベ!

「ああやばい、もう帰りたくなってきた……」


 マンションを出て、電車やらバスやら色々乗り継ぎ、ようやく待ち合わせ場所である、駅前交番にたどり着いた。茂木もぎクン曰く、その辺が女三人で待ち合わせするなら安心でしょと。彼がそんな心配するのもっともだと思ったわ。


 やばい。マジやばい。


 何がヤバイって、人多すぎ!

 ここに来るまでだって多かったけど。人酔いするかと思ったけど。


 ついでに怪しい呼び込みがいたり、ナンパなヤロウが女性に声かけ回ってるわで混沌カオスすぎる。まだ本命イベントに辿り着きもしてないけど、こんな都心近郊まで来るんじゃなかったとすでに後悔しきり。



 「あ、川瀬さん、ここです!」


 同じように待ち合わせしてる人がけっこういて、茂木クンを見つけるのに手間取ってるとそんなふうに声をかけられた。見れば控えめに手を振ってる目当ての人物。


 Tシャツにベースボールシャツを羽織り、やたらポケットのついた短パンにごついアウトドアシューズって姿の茂木クンは背中に大きなボックスリュックを背負ってて重そうだ。きっとあの中にカメラとかの機材も入れてるんだろな。


 俺も小さく手を振り返し、駆け寄った。


「もしかして待たせちゃった?」


「……あ、いえ、その、全然そんなことないです。僕が早めにきただけなんで」


「そっか。ならいいんだけど……」


 待ちくたびれたのか少しボケっとした表情を浮かべてた茂木クンと挨拶してると澪奈たちも続いた。


「ども~、初めまして! いつもお姉ちゃんがお世話になってます。妹の澪奈でっす」


「引っ付いてきてゴメンね~。みーなのツレの沢谷で~す。今日はよろしく~」


 紹介するまでもなく、ぐいぐいいく陽キャたち。俺には絶対真似できんわ。


「あ、その、初めまして。茂木です。なんかその、今日のイベントに二人みたいな人が来て楽しめるかどうかわかんないけど……、とりあえず、よろしく?」


 「茂木クン、二人のことなんて気にしなくていいし。好きにさせとけばいいから。自分のやりたいことやって」


 フォローしてたらなんか澪奈がにやけた顔で俺を見て来る。


「な、なに?」


「べっつにぃ。二人はやっぱなじんでるなーって、思っただけだし」


「こ、こんなの普通だろ。ほらほら、もう行こ!」


 澪奈のツッコミにいちいち付き合ってられるか。自己紹介なんざ歩きながらでも出来る。こんなとこに留まってると周りの視線もツライ。


「じゃあ会場まで案内するよ。ここから二十分かからないくらいだから。ついてきて」


 ってことで茂木クン案内でコスプレイベント会場へと向かう。まだ二十分近くこの人混みの中歩かなきゃいけないのかと思うと、ほんと萎える。


 やっぱ帰りたい。



***



 会場のある複合商業エリアへ向かう道すがら。多くの店が雑然とした様子で建ち並ぶ中、ここも多くの人でにぎわってる。っていうか、行き先を同じとする人はかなり多いと思う。ま、そのエリアにはいろんなテナント入ってるし、ゲーセンやプラネタリウム、一角を占める高層ビル最上階に展望台とかもあるし、そりゃ賑わいもするか。


「お~、でけぇ~」


「地元じゃ絶対見れない景色! これ見ただけで来た甲斐あった~、あとで絶対上に行こ!」


 周囲の雰囲気もそうだけど会場の入ってるビルが合間に見えてきて澪奈たち……特に沢谷、いや、めぐちゃんに大うけしてる。二人とも田舎者まるだし。俺なんてもう五年こっち暮らし。これくらいどうってことない。ふふん。


「恥ずかしい。もうちょっと落ち着いて」


 そんな俺の言葉、二人に聞こえているのやら?


 茂木クンを少し前に、俺を挟んで歩く二人はずっとテンションあげまくり。ほんと元気なものである。しかし、茂木クンといい両側の二人といい、みな俺より背が高いので、囲まれた感じの今の状況はなんか守られてるようで、一番年上の俺としては少しばかり思うところはある。


「ま、この姿じゃ仕方ないか……」


 妹たちに色々コーデさられた俺は、過去一女の子っぽいカッコとなっている。二十三にもなってこんな姿どうなんだ? 膝上のスカートは落ち着かないし、胸元や髪のリボン、その髪もツインテールにされ――まだ耳下に抑えられてるだけマシだけど――、周りから見られてる気がして……というか確実に見られてるし。はぁ、帰りたい……。


「なに、お姉ちゃん? なんか言った?」


 こんな言葉は拾うんだから……。


「別に何も。寄り道禁止な。まずは目的地だから」


「わかってるって。これでも可愛いお姉ちゃんがナンパされないようしっかりガードしてるんだから。ありがたく思って? ねっ、めぐ」


「うんうん、ばっちりコーデ。二人で頑張った。ゆーなさん、ぐーかわでもうお持ち帰りしたい! 絶対守ります」


 ったく、何言ってんだ、この子。


 前の茂木クン、こっちの会話にぜんぜん加われなくてちょっとかわいそうだけど、俺も話しかける余裕ない。ゆるせ茂木クン。



 はぁ、暑くなってきたし、はよ会場入りたいわ……。



***



「涼し~! い~き~か~え~る~」


 めぐちゃんのそんなセリフに俺たちは完全同意だ。外はめちゃ暑かった。けどもうちょっと声抑えて、よろしく。


 無事会場までたどり着いた俺たち。チケットも前もって茂木クンが用意してくれてたので入場もめちゃスムーズだった。茂木クンさまさまである。


 会場はすでに多くの来場者やレイヤーさんたちで溢れてて、涼しいはずなのにすごい熱気だ。引きこもり系社会人の俺ですらテンションあがる。


「ささ、お姉ちゃんこっちこっち」


 茂木クンとコソコソ話してた澪奈とめぐちゃんが俺の手をしっかりとり、ある一点めざして歩き出した。茂木クンはカメラを準備するとかで荷物置き場の方に行ってしまった。


「ちょっと、これどういう?」


 連れて行かれた先は更衣室。解せぬ。


「いや~、やっぱせっかくきたんだし? ちょっとコスプレやってみたくない?」


「ええっ、ちょ、カチューシャ付けるレベルにするって言ってたじゃん? 言ってたよな?」


「うん、言った言った。カチューシャみたいなノリでってね。まぁおそろかどうかは微妙だけど。で~も、それはソレ。それだけで済ますなんて誰も言ってな~い」


 はぁ? 何言いだしてるのこいつ。


「迷ったけどお姉ちゃんのピンク髪活かせば楽だし、制服とか用意しやすいからコレにした! 協力はめぐ!」


 そんな言葉と共に手渡されたのは拳銃? もちモデルガンだけど、それが二丁。黒と銀で形は同じに見える。それとセーラー服の夏服。色は白地で差し色は当然の赤。えりにタイ、スカートももちろん赤で、淵に白いラインが入ってる。ご丁寧に赤紫カメリアのカラコンや拳銃のホルスターまで用意してあって、俺はそれだけでもう何のコスをさせようとしてるのか、わかってしまった。


 ちょっと古いアニメだけど、確か原作のラノベはまだ続いてるはず。イギリス人とのクォーターな女子高生が二丁拳銃ぶっぱなすやつで、声優が好きでよく見てたわ。てか澪奈よくこれを知ってたな。てかどこに隠し持ってた?


「くうぅ、澪奈、はかったな~」


「お姉ちゃんが素直すぎなんだよねー。まぁまぁ、せっかくなんだし。観念して着ちゃお? ちょっと色は派手だけど制服だし、あとはツインテールをもうちょっと上にくくり直せば、おしまいじゃん。似合うと思うよお姉ちゃん。めぐのキャラ選ハマリすぎ!」


 ぐぬぅ、なんか手のひらで転がされてるようでしゃくすぎる。でも、兄、いや姉としてはあまりごねるのもカッコつかない。


「し、仕方ないから着るけど……、もうこれっきりにしてよ? だまし討ち禁止」


「ゆーなさん、私がぜひって言ったからなんで。あまりみーなを責めないであげてください。でもほんと似合うと思うんで! 楽しみです」


 めぐちゃん。


 なんて自分の欲望に忠実な子。



***



 待ってる時間も惜しいと思ったのか、すでに茂木クンはあちこちに散らばってるレイヤーさんを求め、カメラを掲げて会場をうろつきまわってるみたい。


 ま、LINIE(リニエ)で呼び出しかけたよね。


 現れた茂木クンは、カメラが趣味と豪語するだけあってマジ高そうなカメラを首から下げ、付いてるレンズも結構ごつくていいお値段しそうである。そりゃ必死にバイトもするわ。


「え? 川瀬さん……そのかっこ?」


 言うな。言わないで。


 スカート短すぎて泣く。俺が着た中、過去一で短い。ニーハイソックス無ければ生足露出やばい。ま、運営さんの露出のチェックでパンツ見えNGなんで、スパッツはいてるからまだマシだけど。


「お姉ちゃん可愛いでしょ? でさ、茂木クン。川瀬呼びだとお姉ちゃんと区別つかないから、名前呼びでお願い。いいよね、お姉ちゃん」


「え? ああ、うん。もちろんいいよ。佑奈ゆうなでいいから」


 ま、俺は茂木クン呼びでいくがな。


「じゃあ、遠慮なく。佑奈さん、そのコス、すっごく似合ってると言うか……、ヤバくない? はまりすぎ。イメージピッタリで、めちゃ可愛い。写真撮っていいかな?」


 な、なんだ?


 いつもより断然グイグイくるな? 茂木クンって、趣味だと人格変わる系?


「やだモギモギ。私たちのことガン無視で、うける~。一応同じアニメのキャラコスしてるのに」


「ま~、そう言わない。いいじゃん楽しそうで。つうかこの会場やばくない? みんな頭カラフルすぎ。ここじゃお姉ちゃんも普通に見える!」


「いや、頭だけじゃないって。つうか頭なんてマシまである。ほらほら、モギモギ、ゆーなさん。写真ばっか撮ってないで色々見て周ろ!」


 相手が茂木クンだけに断るに断れない俺は、慣れない写真のモデルなんてものを赤面ものでやってたら、めぐちゃんが突っ込んできた。これぞ天の助け。


「うん、いこいこ! すぐいこ! 断然興味あるし」



 ってことで俺たち一行は広い会場を恥ずかしくもコスプレしたまま見て回ることとなった。


 いやまあ、周りもそんな奴だらけだし?


 気にしたら負けみたいな?


 俺は開き直って楽しむことにした。






 けど、恥ずかしいもんは恥ずかしいわ!

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