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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【25】イベント前のあれやこれや

 ソファで下着姿のまま寝てしまったおかげで髪はクシャクシャで、おまけに空調で体が冷え切り、鼻水がたれてくる始末。起きて早々、慌ててお風呂に入り体を温めることでなんとかなった。張りっぱなしで放置だった浴槽の湯は、当然のごとくただの水と化し、残念だけど張り直した。


 にしてもやばい。


 こんなことで体調を崩しでもしたら、それこそ帰って来いって言う母さんへの絶好の燃料投下だ。気を付けなきゃ。


 バナナとヨーグルトで軽く朝食を済ませ、さっそく昨日のコスプレイベントの件で澪奈みいなLINIE(リニエ)してみる。オタク趣味は男時分はおおっぴらにしてなかったんだけど、女になって見た目も子供っぽいし、もう今更感があって特に隠したりはしていない。ま、澪奈にはとっくにバレてるけど……。


 今回は家族のトークルームじゃなく、妹狙い撃ちだ。


『二週間後の土日、こっちこれる?』


『一緒に行って欲しいとこ、ある』


 とりあえずこんなとこか。さて反応は……、


『え? 何? どうしたの。ヒッキーのお姉ちゃんからお出かけのお誘いって。大地震の前触れ!』


 はっや。もう返信来た。


『うっさい。で、どう? これる?』


『もちろん! もともと夏休みに入ったら遊びに行くつもりだったし。日程会わせるの余裕!』


 やっぱりか。妹来たら相手すんのめんどうだけど、今回だけは感謝だな。


『助かる。じゃまた、日が近くなったら連絡する』


 俺は言質げんちだけとったら即落ちしようとした。けど、


『待った! どこ行くの? 何するの? もっと詳しく教えて。じゃなきゃ行かない』


 ちっ、やっぱ逃げきれないか。メンドクサイなぁ。


『え~、その、イベント的な? ものあるから、それに行きたいかな、って』


『一体どういう風のふきまわし? この前の掲示板の件で外出もういやとか言ってませんでした~?』


 俺もそう思ってたけど。外に俺が興味ひくものがあるのも事実。ほんと悩ましいわ……。


『そ、そうだけど。今回みたいなイベント、前から興味あったし。たまたま誘われたから、行ってみようかなって』


『え、待って。誘われたって、誰に? お姉ちゃん、友達いたの?』


 いたのって、おま。失礼な。お、俺だってなぁ、俺だって友達の一人や二人くらい……いないけどさ。


『私にだっています~、最近知り合った子です~。でまぁ、それで、その子に誘われたけど、さすがにちょっと不安だったから澪奈にも来てもらえないかと思って』


『へぇ~、そうなんだ? どこで知り合ったの? どこかのお店の人? マンションのフィットネスルームで会う人とか?』


 フィットネスルームなんて使ったことすらないわ。


 にしても、やべぇ。話、終わらねぇ。澪奈の追及おそるべし。やっぱ全部話すしかなさそうだ。


『いやその、コンビニで。ほら、あのコンビニ強盗事件。あの時の店員さん』


『ああ、あの時の。あれ? コンビニの店員さんって確か二人いて、どっちも男の人だったよね? え、マジ?』


 そりゃ気付くよな。


 ああ、こりゃ当分LINIEから離れられそうもないわ。滅入る。



***



 結局、あれから二十分はLINIE(リニエ)から離れられなかった。根掘り葉掘り色々聞かれ、もう澪奈のが俺より詳しいんじゃないかって思えるほど、全て白状させられた。


 白状って……、俺は別に悪いことはなにもしていないし、ちょっと違うな。


 ま、いいや。とにかく妹の協力は得られた。茂木クンには悪いけど、これで二人っきりになることもないし、外出すること自体の不安感もだいぶマシになる。


 うむうむ。あとは事後承諾になって申し訳ないけど、茂木クンに連絡すればミッションクリアだな。彼も別に嫌とは言わないよね。


 むしろ女の子二人連れになるんだし、喜んでOKしてくれるに違いない!




『コンニチハ、川瀬です。イベントの件、行けそうです』


 早速、茂木クンにLINIEでコメントを送った。


 既読がすぐ付いた。澪奈なみの速さだ。こいつらスマホとずっと睨めっこでもしてんのか?


 少しの間を置き、返信が来た。


『ほんとに? まじで嬉しい。もうダメかなって思ってた』


 いや、俺かなり早めに返事したよな? 自分で三日前までにって言ってたくせに、どんだけ諦めはやいんだよ。


『それでね、もう一人連れて行きたいんだけど、いい? 私一人だとちょっと心細いから』


 暗にお前と二人っきりは心配だ……って言ってるようなもんだけど、そこは勘弁してほしい。なんて考えてたところに澪奈からもLINIEが来た。


 なんだよ? やっぱやめたとか困るぞ?


『そうなんだ。僕は全然かまわないけど。それって川瀬さんの友達? 女子ってことで、いいのかな?』


 茂木クンからも返信来たし。ああもう、あっちこっち忙しいな。


『お姉ちゃん、そっち行くのもう一人追加。いいよね? もちイベントも一緒に! もうその子ノリノリ!』


 はぁ~?


 この妹様、いきなり何言ってんの?


『なに勝手してんの? こっちにも都合ってものが。大体、彼にも悪いでしょうが』


『やだお姉ちゃん、【彼】だなんて。もう、ママに言いつけちゃうぞ~』


『ちが~う! 彼とか、ただの三人称だろ。変に曲解きょっかいしないでくれる?』


『お姉ちゃん、必死。もしかしてマジ?』


 くぅ。イラっと来た。こちとら茂木クンに返事してる最中だってのに、もう。


『もういい! この話断る! お前ももうこなくていいっ!』


『あ、え? ゴメン。ゴメンってお姉ちゃん! もうからかわない。茶化したりしないから、ゆるして~』


 コメントと共に色んな謝ってるスタンプが大量に貼られてきた。

 

 ったく。謝るくらいなら最初からそんなコメすんなっての。俺はそういうのが一番嫌いなんだ。


『で、なに。もう一人来るってのはほんと? イベントにも行くんだな?』


『うん、その、ゴメン。めぐも泊めて欲しい。沢谷萌美さわやめぐみって子なんだけど、ほら。前お姉ちゃんが掲示板に晒されてたやつ。あれ見つけた子。お姉ちゃんにめっちゃ会いたがってるんだ』


 あ~、あの掲示板ね。あれ見つけた子か。ちっ、しゃ~ないか。


『まぁいいよ。こっちから頼んだことでもあるし。でも、さっきみたいなの私嫌いだから。これっきりにして』


『は~い、了解であります。じゃあ、メグにもOKって伝えとくね。また後で細かいこと決めようね、お姉ちゃん』


 さよならスタンプと共に去っていった澪奈。一気に疲れたわ。


 

 …………。


 あ。


 茂木クン、放置したままだった。



『返信遅れました。ちょっとゴタゴタしてて』


『いや、いいんだ。急ぐほどでもないし』


 いいやつだな、お前。でもそれだけじゃダメなんだぞ? って俺が言うのもなんだけど。


『でね。もう一人増えそうなんだけど』


『え?』


『一人は私の妹。もう一人は妹の友達。私も会ったことない』


『マジで?』


『まじ』


『女子三人ってことだよね。そうか。三人』


 うんうん、さぞや混乱してるだろな茂木クン。ちょっとしたハーレムだ。俺が君の立場でも混乱する。


 わかるぞ~。


 引きこもり系社会人だった俺には対処不可能だ。まぁ頑張れ。


『妹たち、高二だから君と同じ歳だと思う。よろしくしてやってね』


『は? 高二? 同学年の女子……』


『うん。まぁ細かいこと決まったらまた教えて。合わせるから。じゃ、よろしくです』


『あ、こちらこそ!』



 ひとまずトークを終えたけど。いいのかこれ?


 面倒になる予感しかしない。



 なんか俺が外出しようとすると、どうしてこう面倒なことになっていくんだろ。つっても半分以上俺のせいだと思うけど。


 ほんと我ながら懲りないな。


 今回は妹くるし。大丈夫と思いたい。でもそれ、逆効果になる可能性も微レ存。



 とりあえず……、イベント、何ごともなく楽しめればいいな。







 無理か。

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