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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【15】街に出る。不安、そしてドキドキ

「ずるい、ずるい、ああ私も行きたくない~」


 そんなこと言われても知らんて。


 俺は忙しそうに学校に行く準備をしてる妹から、顔を会わせるたびにその言葉を浴びせかけられている。


 ずるいと言われようが、どう思われようが、俺だって妹が今やっていることを過去に体験してきてるんだ。そんなことを言われる筋合い全くないわ。


 ま、頑張って勉学に励んできてくれ、むふふ。



 例の件から三日ほどたち、ようやく鬱陶うっとうしくわずらわしい男の時ならありえなかった体験も終息へと向かった。向かってくれた。


 自分の周期や以前いつ来たとか聞かれても、全く答えられないわ、ソレ用の用品も用意してないわで、余りの俺のだらしなさに母さんがブチ切れ、延々説教垂れられたのはほんとたまらんかったわ。

 元男で最近女になったばかりの女性初心者に、そんなこと言われてもほんと知らんがなってなるけど……、言える訳もなく。ちょっと理不尽さを感じたがあまんじて受け入れざるを得なかった。その間、妹が援護をしてくれることは全くなく、我関せずを貫かれた。


 薄情者~。


 つっても俺だって荒ぶる母さんに関わりたくはないのは同じ。逆の立場だったらと思えばこれ以上言うことも出来ない。


 とにかく、そんなやむに已まれぬ事情のせいで、いまだ実家で足止めくらってる俺なのであった。


佑奈ゆうな~、何もしてないんだったら家のお掃除手伝ってくれてもいいんだけど?」


 基本、部屋に引き籠ってる俺がたまに冷蔵庫とか漁りにいくと母さんがそんなことを言ってくるので困る。


「やだ」


「まったく。それが嫌なら家にこもってないで出かけるなりしたら? 一緒に遊ぶ友達とかいないの?」


 うっ。俺にとっての禁則ワードを。


「ほら、子供のころ、吉田くんとか武藤くん。たまに遊びにきてたでしょ。……ん? こうしてみると男の子ばかりね。佑奈、女の子の友達いた?」


 ぐはっ。


「よ、吉田とか武藤って……いつの話しを。そんなの中学のころだから。もうとっくに付き合いないし。お、女友達なんて、その、いるわけないし」


 そう、俺は決定的に人付き合いべた。吉田や武藤は数少ない家まで来たことのある友達だったけど、高校が別になったことであっという間に疎遠になった。ましてや女友達なんて、こんな俺に出来るはずもなく。もうじき二十四になるこの歳まで、女の子とろくに会話すら交わしたこともない。母さんの言う女友達と俺の思う女友達だとちょっとニュアンスは違うだろうけど……、どっちにしてもいないってことでは一緒。


 もちろん家族は別だけど。


「やれやれ。佑奈の人見知りっていうか、付き合い下手もここまでくると病気レベルね。とにかく、動けるようになったんなら外にでも行ってきなさい。せっかく可愛い服だって買ってあげたんだから。行かないなら家事手伝い! ほら、どうする?」


 

 結局母さんの出かけろ圧力に屈し、俺は外に出ることになった。


「うんこれも可愛い。ほんと佑奈は着飾り甲斐があってママも楽しいわ。澪奈みいなはちっともママの意見聞いてくれないし、その点佑奈は素直でいいんだよねぇ。う~ん、もう佑奈こっちに帰ってくれば?」


 俺の外出のための服を、俺の部屋で当然のように見繕っている母さん。娘とのこんなやりとりが嬉しくて仕方ないみたいだ。で、先日の買い物で買い込んだ服を俺にあてがいながら、そんな話を振ってくる。


「やだ。一人暮らしのが気楽でいいし」


「ふ~ん、そう。澪奈もそっちに行きたがってるし……ママ寂しい。あ~あ、パパが甘やかして支援なんかするから……。支援なんてやめたらって意見しちゃおうかな~」


 ちょっと可愛らしく作った声で口元に指を添えてそんなことを言い出す母さん。いくら若作りで人から姉妹ですか~なんて言われてるとはいえ、御年四十六歳になる人のやることじゃないから。いずれにしてもこの家での母さんの発言力は絶大。敵に回してはいけない人。


「あ~、冗談でもそんなこと言うのやめて~。えっと、その、私でよければ母さんのしたいようにしていいから、ね。もうちょっとマメに帰省するようにもするし」


「あら、無理しなくていいのよ? ……そう? じゃ、ママもっと張り切っちゃう!」


 うう、藪蛇……。


「うん、これでいいでしょ。佑奈、お人形さんみたいに可愛いわ。我が子ながら二十三にはとても見えない。そりゃ澪奈も悔しがるわけね」


 肩のあたりが膨らんだ、ほとんど白に見える淡いピンクのブラウスに膝上丈の腰をきゅっと絞られた黒のスカートってよそおいの俺は、見た目どこからどう見ても二十歳以下の女の子って感じで、小柄なこともあり守ってやりたい系の愛らしさで満ちている。我ながら美少女すぎてちょっとひく。

 ピンクブロンドの髪は顔の横に触角のように少し残されたけど、頬に当たるのでちょっとうざい。耳の上あたりから編み込んだ髪は、後ろに流しながら長い髪と一緒に背中に自然にたらす感じになってる。首をふるとふぁさふぁさ揺れる。長い髪の女の子は見る分にはいいけど、自分がそうなるとめんどくさくて邪魔だし、これからは暑くなるだろうし、切りたい。


 更に言えば足を晒すことの不安感ったらない。股下もスースーするし。これはなかなか慣れない。やっぱジャージ最高。


 さ、行ってらっしゃい。早めに帰ってくるのよ? スマホの共有設定ちゃんとしてある? 変な人について行っちゃだめだからね?」


 最後までうるさい。だったら家でこのままのんびりさせて。言えないけど。


「大丈夫だから。子供じゃないから! 一人暮らししてる成人だから!」


 外に出ろって言いながらも出るとなったら心配しだす母さん。車で送ろうかなどと言いだしかねない母さんを振り切り、俺は逃げるように家を出た。


 出たのはいいけどどうしよ?


 車があれば楽だけど、当然向こうに置きっぱなしだからない。ま、普通にバスか電車だよな。やっぱ送ってもらえばよかった。歩くのいやだし。


 久しぶりの地元は都会とは違って、少し郊外に出るだけで緑が豊富で、景色も見通せるところが多いから開放感がある。要は田舎だ。まぁそうは言ってもこの辺りでは賑わってるほうだ。あっちと比較するのはするだけ野暮だ。

 とりあえずトボトボ歩けば公園に出る。平日の午前も早い時間。所々に小さい子を連れたお母さんたちの姿が見られて緩い気持ちになる。


「平和~」


 そんなこと言ってる俺も同じようなもんだけど。平日の昼間っから何もしないでぶらついてるんだから。


 十分ほど歩けば小さな単線の私鉄駅に到着した。前、母さんに迎えに来てもらった駅とは違って人影もまばらな駅だけど一応駅員さんはいる。これでも朝や夕方は学生や通勤の人でそこそこ込む。俺も毎週世話になってたから間違いない。


「さてせっかく出てきたんだし、こうなったら趣味に走る。せっかく街に出るなら本屋廻りでもしよう」


 俺は電車を乗り継いで街に向かいながら、移動中は面白い本屋がないかスマホで調べて過ごした。移動中、頻繁に俺を見て来る人がいるが極力気にしない。気にしてはいけない。


 この地方で一番の街にまで無事たどり着いた。かかった時間は一時間と三十分ほど。乗ってるだけなのにもう疲れた。引きこもり系社会人の女子初心者に電車移動はこくすぎた。スカートで座るとパンツが見えやしないかと気になって仕方ない。必要以上に内股で座ってしまい、我ながら何してんだって思う。自己嫌悪。

 隣に座ってくる人にも向かいに座る人にも終始ビクつく俺は元男としてどうかとも思うが、今はか弱い女子である。いざとなれば改変でどうにかしようとは思うが、あまりとりたい手段でもない。


 だから帰りは特急にしよう、そうしよう。

 ついでに母さんに駅まで迎えに来てもらおう、絶対に。


 慣れない駅ビルの中を外を目指しながら歩くも、広くて迷子になりそうだ。いくつか見繕ったよさげな本屋をスマホのマップ機能を駆使して目指すことにする。

 平日だというのに駅中にもそれなりの人がいて落ち着かない。みんな真面目に仕事してるのか?


 いやしてるだろう。してないのは俺だ。いや、俺だって日課の株式市場チェックとかはしてる。働いてないわけじゃない。断じてない!


 駅ビルを出てようやく陽の当たる場所に出る。なぜかホッとする自分がいる。都会のマンションで暮らしていようが、俺って基本田舎者だから……。


 午前中のビル街はまだやってない店も多いけど、目指す一角に近づけば開いてる店もそれなりに見られるようになる。そんなところに多くあるゲームセンターのたぐいには、これも平日にも関わらずどう見ても学生くらいの若いやつらが普通にゲームしてたりもする。学校行けや、おまえら。



「もしもし。ちょっといいですか?」


 え?


 後からのまさかの急な声かけに、心拍数が一気に跳ね上がる。

 なんで? どうして?


「は、はひぃ」


 俺はなんとか返事をするも、ちょっと怖くて振り返れずにいると、声の主が正面に回り込んできた。中年のごく普通の男の人だ。目つきが多少怖いけど、身なりもしっかりしててとりあえず変な人とかではなさそう。


 俺のドキドキメーターの針が少しだけ下がった。


 けど知らない人だ。

 一体俺に何用だ?


 俺は警戒を続けつつも、その人の言葉を待つしかないのだった。

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