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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【14】元男と逃れられないもの

 とりあえず特典のおかげで、やらなくてはいけないと思っていたことがたぶんもうやらなくて良くなった、はず。


 じいちゃん、ばあちゃんの記憶。最適化ってやつがされてるなら、父さん母さんの祖父や祖母の中で俺はもともと女の子って認識になってるはず。ついでに写真とかも写ってるのは女の俺なんだろうなぁ。


 もっと言えば学生時分のどこかの誰かの記憶の中でも俺は元から女であって、これでもう……世の中に男であった俺の存在を証明するものは無くなったってこと、だよな……。


 まだ確認したわけじゃない。ないけど……なんだかずっとしたくない気もする。くっそ、毎度のことながら寂しい気持ちにさせられるわ、これ。


 まぁとりあえず、今日は疲れた。もう寝る。



***



 ゴールデンウィーク最終日はあいにくの雨。


 朝寝坊した俺が一応着替えてかなり遅めの朝食をとりに行くと、妹の姿はすでになかった。どうやら友達と遊びに行くとかで、しとしとと降る雨にもかかわらず、朝も早くから出かけたそうだ。なんとも元気な妹様である。だがおかげで静かに過ごせていいとも言える。


 俺は日課である株式市場の確認や情報収集、収支チェックをしてしまえば何をするとか決まった予定もないわけで。


 だから雨も降っていることだし、部屋に引き籠ることにした俺は何も悪くない。


 母さんたちもさすがに今日はゆっくりしたいのか、特にお呼びがかかることも無くマジで一日のんびりできそうだ。


 部屋に戻り日課を済ませた後、まずやったのはスマホの確認である。昨日は改変オルターレベルアップがらみでスマホが落ちるなんて珍しいことを引き起こされた。PCと違ってスマホなんて普通に使ってれば早々落ちはしないのに、キッチリあっさり落ちてくれた。


 即、再起動させてみたけど案の定、例のメールはキレイさっぱり消えていた。


 で、今も念のため履歴やゴミ箱、迷惑メールとか色々確認してみたけどPCの時同様、なんの痕跡も残ってなかった。


 安定のお手上げ状態。

 ま、いいけど……。


 とりあえずだ。


 改変に関する諸々(もろもろ)めんどくさくわずらわしいことは今日一日は置いておき、久しぶりにゆっくり趣味にでもひたろう。


 そう思っていたのだが……。


 せっかく趣味に興じれる時間がとれたのに……、なのにどうも気分が上向いてこない。それどころか時間と共に意味もなく沈んだ気分にすらなっていく。


 外が雨のせいなのかねぇ……。


 けどなぁ、もとよりインドア派の俺が雨ごときで気が滅入るとか、落ち込むとかないわぁ。


 ああもう、なんなんだ、この落ち着かない不安な感じは。イライラする。


「こんな時は寝る。それに限る。よし寝よう!」


 色々やろうと思ってたことを放り出し、寝ることにした。


 朝起きて着替えてたロングTシャツとデニムパンツのラフなよそおいから、昨日みんなの前で着て見せた、くま柄が可愛らしい淡いピンク色の半袖シャツ&ショートパンツの部屋着に再度着替え、ベッドにゴソゴソともぐりこむ。


 ちなみに男時分の部屋着定番だったジャージも、抜かりなくきっちりサイズの合ったものを買ってはある。けど、悔しいことに今着てるこの部屋着のほうが着心地も良く、寝る時に楽ということが判明したので、見た目が可愛すぎだろうが実を取って着ることにした。着るのは家だけだし、どうせみんなに見られてるし、恥ずかしいとか……今更だしな。


 元男のプライドより楽をとった俺だった。



***



佑奈ゆうな、お昼ご飯、いいかげん食べにいらっしゃい。片付かないでしょう」


 何度か呼ばれたけど下まで降りていくのも億劫おっくうで、そのまま布団にくるまってたら母さんが部屋まで押しかけて来た。


「ちょっとだるいからパス……」


 寝たら気分が良くなるどころか、更に落ち込んできて、心なしか体もだるくなってきてた。せっかく休んだのに意味なさすぎ。マジなんだろこれ。


「パスって……あなた。ほら起きて。気分がすぐれないのならそれこそ少しでも食べて、その後ゆっくり休みなさい。ね?」


「う、うん……」


 結局言いくるめられて、のっそりと起き上がり食堂まで足を運んだ。食堂といってもうちはリビングダイニングで食堂と居間は繋がったレイアウトだから、食事をすでに終えてソファーでくつろぎながらTVを見ていた父さんが、俺を笑顔で迎えてくれた。


「佑奈、遅かったな。悪いけどパパはもう食べてしまったぞ」


「ああうん、ごめん。気にしないで。あぁ、え~っと、わ、私が悪いんだから」


 ああもう、言葉遣いがめんどくさいな。うちにいて、なんでこんなことに気を遣わなきゃいけないんだっつうの。


 ……いや、落ち着け俺。どうにも気持ちがすさんで考えが不穏になる。良くないぞ俺。


 まぁとにかく、俺はなんとか昼ご飯は無理して食べた。うう、でもやっぱ気分が良くなる気配はない。これっぽっちもない。俺は洗いものをしてる母さんのところまでなんとか食器を下げるも、もうダメだ。早く横になって休みたい。


「佑奈、ほんとに辛そうね? 大丈夫?」


「大丈夫じゃない。もう最悪。なんかお腹まで痛くなってきた気がする」


 気分がすぐれないどこじゃなく、なんかもう下腹がしくしく痛み出してきて絶不調もいいとこだ。


「あなた、それって……」


「え? なに?」


 俺の様子を見て母さんが何か言いたそうな顔をしてる。


「でも二十三にもなって自分の周期くらい……」


「何なのもう、母さん、何かあるんならはっきり言ってよ」


 妙にはっきりしない物言いにイライラする。っていうか、俺は何で心配してくれてる母さんにまでかみついてるんだ。ああもう、自分で自分がよくわからん。


「もういい。夕方まで寝る。そうだ、澪奈みいな帰ってきても部屋に来ないでって言っておいて……って、あっ!」


 なんだ?


 股からなんか垂れてきた。


「佑奈、ちょっとこっちへいらっしゃい!」


 突然()()になった俺の様子を見た母さんの反応は早かった。腕を引かれ、なかば強引に脱衣所まで連れて行かれた。



 そこでの出来事は俺にとってまさに青天の霹靂(せいてんのへきれき)といえた。



「あなた、自分の周期くらい把握してるでしょ? 何初めて来た子みたいな失敗しちゃってるの。パパ、絶対気付いてるから。ほんとにしょうがない……、家族とはいえ男の人にそんなこと気付かれたくないでしょ、年頃の娘なのに」



 う、うそ……、だろ。



 呆けてる俺に容赦ない母さん。小言と共に汚れたショートパンツとパンツを脱がされ、ついでとばかりにブラも上着もはぎとられバスルームに放り込まれた。



 なんでこんなに急に。



「着替えと用品持ってきてあげるからよ~く温まっておきなさい。特にお腹周りはしっかり。まったく、あなたって子は準備もして来てないだなんて移動中に始ってたらどうするつもりだったの!」



 ごめん、母さん。そんなの把握出来てるはずないって。

 男だったんだから。



 けど、よく知らんけど、こんなのってもっと前振りというか、前兆というか、その、色々あるんじゃないのか?


 なんで今日いきなりなんだよ!

 突然すぎるだろ。


 改変か?

 改変で急に女になったせいなのか?


 

 勘弁してくれよ~。






 泣きたい。

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