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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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125/196

【125】佑奈、羞恥とあきらめ(いつもどおり)

「んんっ……、やば、も、もれる!」



 生理的欲求のせいで目が覚めた。


 ベッドからもぞもぞ起き上がる俺。


「はぇ? このかっこ……」


 俺、いつの間に着替えさせられたの?


 知らない間に和風な寝間着を着せられてる。うへぇ。も、しかしてパンツとかも?


 か、勘弁して。恥ずかしすぎる!

 っていうか、俺いつベッドに……?


 土石流防ぐのに力使って……きっと、うまくいったはずで……、それから?


 ……やばい、全然記憶にない。


「あっ、佑奈様! よかった、ようやくお目覚めですね!」


 ベッド脇のテーブルでスマホいじってた彩如さゆきが俺の動きに気付き、嬉しそうに声をかけてきた。


「え……、よう、やく? それってどういう?」


 ああ、でも今はそんなことより!


「と、といれ! 彩如トイレどこ!」


「えっ? ああはい、こ、こちらですっ!」


 俺の切迫した表情に彩如もすぐ理解したのか小走りに案内してくれた。






「はぁ~」





 やばかった。


 漏らさなくて良かった。二十四にもなっておしっこ漏らすとか勘弁だわ……。




「ふふっ、間に合われたようで良かったです! 佑奈様がおトイレで慌てるなんてすごく珍しいです……って、あ、そうか。二日近くお眠りになられていてはそうなられるのも無理ないですよね!」


 いや、そんなこと、わざわざデカい声で言わなくても……って、え?


「ちょっと、ちょっと待って。二日? 二日も寝てたの? 私」


「はい。素晴らしいお力で土石流の発生を未然にお防ぎになったあと、崩れるように眠られまして……。それが先先日のお昼すぎで、今ももうじきお昼の時間です。ちょうどよかったです。よろしければお昼ご飯、お持ちしましょうか?」



 ええ……。まじか。


 二日ってか。まぁ小惑星の時もけっこう寝た記憶あるけど……、やっぱ規模でかかったり難易度高いと改変したあとリバウンドみたいなのあるのかね? それにしても二日は寝すぎだろ。EXレベルアップで代謝機能向上とか老廃物減化みたいなのあってトイレ行くこと激減したけど……さすがに二日寝たらおしっこも溜まるか。



 はっ。



 俺はなに真面目におしっこのこととか考えてんの。


 今はそんなことより。


「お腹空いてないからいい。それよりあれからどうなったか教えて?」


「む~、少しはお腹に何か入れないと体によくありませんよ~! とりあえずご説明しますけど、絶対ご飯も食べてください!」


「わかった、わかった。食べるから。今はまず説明よろしく」


 ほっぺたぷっくりな彩如をなだめつつ、今日にいたる経緯の説明を受けた。




 

***



「まだ現地のホテルって。なんかみんなに申し訳ないな……」


「そんなこと、お気になさることなどまったくありません。佑奈様がなされたことに比べれば、そんなことほんの些細なことです!」


「う、うん……」


 彩如はすごく真面目な顔でそんなこと言ってるけど、俺が寝ていた間のことを思うと、イマイチ釈然としない。


 気を失うように寝入ってしまった俺は公共施設の一室から運び出されて、宿泊先のホテルで寝かされたってことだ。もちろん着ていた巫女装束は脱がされ、寝間着をきせられたわけで。まぁそれは今のこのかっこで嫌でもわかるが。


 やばいのはそこからで、お風呂はさすがに無理だったからとかいって「きっちり二人で体を拭かせていただきました」とかのたまったことだ――。



 両頬に手を添えて体よじりながら言いやがったから余計イラっときた。


 何それ? それどんな罰ゲーム?


 しかも初日の夜と昨夜の二回。二回もだ!


 ひぃ~!


 恥かしすぎる~!


「佑奈様、湯あみのお手伝いをさせていただけませんから、今回、とってもやくと……、あ、こほん、お役に立てて嬉しかったです!」


 こいつ。今役()って言いかけただろ!


「佑奈様、肌がまるで子供のように艶々しっとりでほんと、うらやましい限りで……」


「ああもうそんなのいいから。ほんと恥ずかしいったらない」


「そういうことにもお慣れいただきませんと。ほんとなら佑奈様のすべてを私たちで綺麗にして差し上げたいくらい……」


「い、いいから普通にして。自分のことは極力自分でするから! 今回のことは、その、助かったし迷惑かけちゃったけど……、これからも自分のことは自分でするから。そこのところ()()()()()ヨロシク!」


「…………」


「返事は?」



「は~い……」


 大丈夫だろうな? こいつ。



 ――もう彩如と楓佳ふうかはチェンジのがいいんじゃないだろうか?


 それとも俺が考え改めなきゃいけないの?


 いや、一般庶民でしかなかった元男の引きこもり系サラリーマンの俺の考えの方が普通だ。普通なんだ、流されちゃダメだ!




 話を戻そう。戻すんだ俺!



 で。


 そうそう、土石流の話、土石流の。


 結果的には死者一名、行方不明なし。


 死者は、まぁお約束と言えば聞こえが悪いが、うちの田んぼが心配でってやつ。これ、ほんと無くならない。お願いだから田んぼより自分の命、大事にして!


 怪我人は若干出た。ただしそれは避難行動の際の怪我で、災害によるものじゃなかった。まぁ間接的にはそのせいだって言えるかもだけど。


 長く続いた大雨のせいで山の斜面の至る所から、しみ出してた水とかも何もなかったかのように収まり、むしろけっこうな深さまでカラカラになってるみたい。ってことで当面崩れることは無さそうとの見解が出てるそうだ。


 そうだろうそうだろう。相当の水を飛ばしてやったからな。おかげで俺二日弱寝込んだわけだし。


 あの辺は逆に渇水を心配しなきゃいけないレベルになってるはず!


 まぁ、雨はまたすぐ降るだろうしそんな状態は少しの間だろうけど。


 なんにしても。


 土石流発生を無事阻止し、被害にあうはずだった多くの人を救えたことは素直に嬉しい。がんばって良かった、うん。



「それでですね……、少々お話ししずらいのですが……」


 一通りの話を聞いたところで彩如がちょっと言いにくそうに俺に話しかけてきた。話の途中で楓佳も加わってたので今は二人並んで俺の前。揃ってめちゃ言い出しにくそう。



 いやな予感しかしない。



「聞きたくないからパスで」


「あっ、そんな、ずっる」


「佑奈様、パスは却下です。お役目はきっちり果たして頂かないと困ります!」


 彩如と楓佳がそれぞれの言葉で突っ込んできた。いや、彩如、おまえさぁ……。



 ま、いいけど。俺も似たようなもんだし。





「マスコミの相手? ま、マジで?」


「はい、マジです」


「お役所とか国の人が会見したんでしょ? それでいいんじゃ……」


「もちろん、すでにそちらは当日の内に済んでいます。けれど、国民が欲しているのはそういうことじゃないんです。あ、いえ、もちろんそちらも大事なんですけど……」


「みんな佑奈様のお顔が見たいんです。お声が聞きたいんです! 見目麗しく、お可愛らしい、まるで物語に出てくる可憐でファンタジー感あふれるお姫様のような佑奈様のお姿を……、みんなが見たいって切望してるんです!」



 ええ……、彩如おまえ気合い入りすぎ。ちょっと引くわ。


「そ、そんな大げさな……、私程度のことでそこまで……」


 だって、俺だぞ。


 元男で二十四歳の引きこもりだ。俺が姿を見せるのを切望してるだなんて……そんな。


「「大げさじゃありません! 佑奈様、現実逃避をやめてしっかり受け止めてください!」」


 いや、二人なんでそんなピッタリなの?


「ううっ……、そ、そんな」


「佑奈様……、爰姫えんひめ様が目を覚まされたことはすでに瑛莉華さんに連絡しましたし、ずっと待機中のマスコミにもすぐ伝わるでしょう。もうやるしかないんです! ほら佑奈様。しっかりしてください。会見の際は瑛莉華さんと橘川課長、こちらの役所の人も同席されるそうですから大丈夫です」


 楓佳がグイグイくる。逃げ道塞いでくる、ヤダー。


「佑奈様~、ほらほら怖くないですよ~」


 くっ、彩如。こいつあおってきてないか?


 彩如のくせに~!



「ああもう、わかった。やる。やればいいんでしょ!」




 結局言い負かされて記者会見する羽目になった。


 もちろんその前に、身ぐるみはがれてお風呂にぶち込まれ、二人に隅々まで洗い倒された。今まで一緒に入るのだけはなんとか阻止してたのにあっさりそれも乗り越えられた。


 嫌っていってももう通用しなかった。「隅々までお体お拭き差し上げたのに、今更恥ずかしいも何もありません」って感じでなし崩しで突入された。


 もうお嫁にいけない。


 見られた分、しっかり二人のも見てやった。存分に!


 小柄な俺より色々とスタイルいいことは十分理解できた。俺、今はもう女で、それ見てもどうにもならないし、ナニしようとも思わないってことも……。


 なんだかなぁ。




 身ぎれいになって、緋袴が目に痛いくらいに目立つ巫女装束を着せられ、いつもの千早を羽織り髪飾りもしっかり挿され、俺は詰めかけたマスコミさんたちがぎっしりの記者会見会場に引っぱり出された。



 どよめきと歓声、それとともに浴びせられたカメラのフラッシュの嵐。


 目が眩む~。かんべんして。


 

 俺を改めて紹介し、会見の開始の挨拶をする橘川きっかわ課長。堂々としたものである。イケオジは何でもそつなくてキライ。



 その先のことはまったく記憶に残ってない。


 いや、残したくないから抹消した。



 もう二度と記者会見なんてしたくない。

 そう心に決めた俺だった――――。









 絶対守れない、つか、守らせてもらえない自信ある。














 泣きたい。

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