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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【119】ぐだぐだお花見会

 到着したみんなはひとまず応接の間に通されたらしい。


 俺は巫女さんズを従えそちらへと向かう。


 ま、正確には俺が二人に挟まれてっていう方が正しいけど。なにしろおしとやかに歩けって二人がウルサイ。普段はかしましいのにさすがに今は真面目モードみたいだ。関係者以外にはよそ行きの姿を見せる二人。めちゃあざとい。


 楓佳がドアをノックし、彩如が引き戸を開けてくれる。改めて二人が俺の両脇に付いてそのまま中に入る。


 部屋に入るとみんなの目が一斉に俺に向けられる。


 うひぃ……、なんかみんなの視線がやたらきっつい。そこまでガン見しなくてよくない?


 俺の目の前に勢ぞろいした久しぶりに会う人たち。座布団に座ってテーブル囲んで出されたお茶飲んでるみんな。


 澪奈にめぐちゃんに奈津美さん。従妹のりんもちゃんといる。茂木クンに奏多かなた音乃のの。仕切ってくれた瑛莉華さんとひっつめ中村さんは壁際で立ちん坊だ。まぁこの二人は運営側だしな。


 お花見会なんてメンドクサイって思いの方が強かった俺だけど、こうしてみんなを目の前にしてみればやっぱ懐かしさを感じている自分がいる。


 たかだか一、二ヶ月会ってないだけで懐かしいもなにもないだろってセルフ突っ込み入れたくなるけど、ここ最近の俺の周辺環境の変化からしてみれば、目の前の奴らの顔を見るとなんとも安心した気持ちになるのは紛れもない事実。


 不本意ながら。


 澪奈みいなと目が合う。さすがの澪奈もこの場の雰囲気では俺に声をかけずらいのかダンマリだ。その隣に座ってる従妹の凜。こいつ相変わらずすっげぇ美人だな。男の時はこのちょっと冷たい感じが苦手であまり関わり合うこともなかったけど。


 二人とも……っていうか、他のみんなも表情がめちゃ硬いな。


 『ひえんの社』って独特の雰囲気あるみたいだし、みんなそれにのまれてる感じか。俺的にはそんな緊張するようなとこじゃないと思うけど。『ひえん様』や紡祈つむぎ様に都合よく使われてるイメージしか持てない。


 つうか俺がなんか言ってみんなの緊張ほぐしてあげなきゃダメか。


「えっと……」


 俺が口を開いたとたん、みんなの目力が更に増した気がする。だからみんな怖いって。もっと力抜こうよ。


「その……、みんなこんな辺鄙へんぴなところまで来てくれてありがとう。久しぶり……だね?」


「おねぇ……あっ、えと、爰姫えんひめ……様? 今日はお招き……ありがとうございます」


 俺の言葉に最初に反応したのはやっぱ澪奈。ま、妹だし他の奴らはさすがにいきなり口開けないよね。


「くすっ、澪奈? そんなに畏まらなくていいし、爰姫とか無理して言わなくていいから。お姉ちゃんでいいし、みんなも佑奈ゆうなって呼んでよ、佑奈って。以前と同じで全然かまわないんだからね? っていうかこのもよおし自体、私の気分転換にって宮の人たちが企画してくれたんだから……無礼講でいこう、無礼講で! ね?」


 思ってること一気に言ってやった。ニッコリ笑顔も付けました。


 こんな緊張した空気いらね。もっと気楽にいこうよ、気楽に!


 

「ほんと? 偉い人に叱られない? その両脇の人たちも大丈夫?」


 澪奈め、疑り深いな。つうか巫女さんズなんか気にするに値しないぞ。むしろこいつらこそ、誰か叱ってほしいまである。


「大丈夫大丈夫。っていうか私、ここで二番目に偉い人。その私が言ってるんだから大丈夫に決まってるし! この巫女さんたち……、彩如さゆき楓佳ふうかって言うんだけど……今は真面目ぶってるけど普段なんて全然こんなんじゃないから」


 俺の言葉に彩如や楓佳の頬が膨らんでるが知ったこっちゃない。


「わっ、ホントですか! ならなら、私まずは一緒にお写真撮りたい! 佑奈ちゃんちょっとヤバイくらい神々しくって可愛らしくって、もうサイコーです! 鼻血でそう!」


 まさかの奏多かなたが先に爆発した!


 澪奈が呆気にとられた顔してる。あはは、奏多、あんたほんとぶれないな!


 奏多のはっちゃけがきっかけとなり、みんなの緊張感が一気に緩んだっぽい。座ってたみんなが立ち上がり俺の周りに集まってきた。ちょっとした見世物の動物気分である。ほぼ女しかいないこの場で、口も滑らかになってきたようでなかなか騒がしい雰囲気に変わってきた。


 唯一の男子である茂木クンはちょっと居場所に困ってるんじゃないの?


 と思って目をやれば、全くそんなことはなく一生懸命写真撮りまくってて、俺の心配は無用のようだ。


「さぁみなさん、雰囲気が和らいだところでお花見会の会場に移動しましょう。佑奈様もお早く。主役がお動きになりませんとみなさん動きずらいですから」


 瑛莉華さんがそう言ってみんなを外の会場へと導いてくれる。そうそう、盛り上がるなら花見会場でお願いね。狭い六畳間でお騒ぎ禁止。





「うわ~、綺麗ですね」


「ほんとうに。こうしてゆっくりお花見するのも久しぶりな気がするな~」


 凜と奈津美なつみさんが赤い布――緋毛氈(ひもうせん)っていうらしい――で覆われた縁台に座り桜を愛でながら(みやび)な語らいをしてる。瑛莉華さんやひっつめ中村さんもそっちよりに居がちな感じ。何気に美人度めちゃ高くて目の保養になる。


 お花見会会場に移ると自然と大まかなグループができてる。大人グループと子供グループ。奏多と凜は微妙なお年頃だけど、まぁ性格的にこのグループ分けになるのも当然と言えよう。奏多が今年十九歳。凜はもうじき二十一歳。二歳違いでしかないのに落ち着き方が天と地ほど違う。


 奏多は当然子供グループな。


「佑奈ちゃん、ほらほらこのお料理もおいしいよ。食べて食べて」


 おい、最初の遠慮どこいった?


「わっ、ちょっと式守しきもりさん。口に突っ込もうとしないで!」


 巫女さんズが俺の両脇を固めてるのをものともせず、奏多はガツガツ攻め込んでくる。そばにいるめぐちゃんですら呆れるアクティブさ。澪奈も苦笑いだ。


 笑ってないで助けろ、妹よ。


 抵抗虚しく口の中に突っ込まれた。ちなみに焼き鳥である。しかも塩じゃなくタレ。もうね、口の周りべっとべとになった。で、そんな様子を茂木クンがちゃっかり写真に撮ったりしてくれるわけさ。


 まったく。勘弁してよね!


 べとついた口周りは楓佳が拭ってくれた。唇に赤い紅をさしてもらってあるけどこの調子じゃそのうち全部とれちゃうんじゃないかな? ま、それは別にいいけど。


 会場には雅な縁台のほかに立食用のテーブルとかも用意されてて、巫女さんズに加え、紡祈様のところの巫女さんも応援に来てくれてて、色んな食べ物を用意してもらってある。三色団子や桜餅、お寿司に唐揚げ、さっき口に突っ込まれた焼き鳥も各種ある。大人な人様に一応アルコール類も用意されてる。けど子供グループはお茶やジュースを飲みたまえよ。


 二十四歳で大人な俺は当然お酒、飲んじゃおうかな~!


「あ、お姉ちゃん、お酒! 弱いくせに飲んで酔っ払っても知らないよ?」


「ええ~、ゆーなさん、お子ちゃまなのにお酒なんて飲んじゃいけないんだ~」


 澪奈とめぐちゃんがすかさずツッコミ入れてきた。いや澪奈はともかく、めぐちゃん? あなた何言ってくれてるの?


「めぐちゃん? 私、二十四歳。もっといえば今年で二十五歳になる大人の女だよ?  お酒なんてどんとこいなんだよ?」


「えー? うそ~」


 こ、こいつ! 知ってるくせにふざけおってからに!


 ちょっとイラっときた俺はめぐちゃんが手にもってたスマホに軽くタッチし、異空間収納に放り込んでやった。


「あっ!」


「おお~!」


「爰姫様の異能力キター!」


 みんなが速攻で気付いた。な、なんだよ君たち。さっきまで思い思いの行動してたくせになんでそれにはすぐ気が付くわけ?


 君たちみんなエスパーかなにか? もしかして異能力もち?


 そんなタイミングで今度は小鳥たちの群れが飛んできて俺の周囲にまとわりついてきた。うっそぉ。


 な、なんなの君たちまで。小鳥の癖に空気読み過ぎじゃね?


「あーもう、ゆーなさん。からかってゴメンなさーい。だからスマホ返してくださーい」


はかどる! めっちゃ捗る! 佑奈ちゃんの神秘初めて見た。奏多、もっともっと見せて欲しいな~!」


「ちょ、ちょっと式守先輩! おさえて、抑えてください。ああ、佑奈さん、先輩がごめんなさい!」



 な、なんなのこれ。

 凄まじい混沌ぶり(カオス)である。


 助けて瑛莉華えも~ん。


 そう思って瑛莉華さんの方を見れば、もうこっちのことは無関心に徹してるようで奈津美さんたちとご歓談あそばされてる。


 くぅ~、見捨てられた。


「じゃあじゃあ、今から爰姫様の異能力、独演会といきましょ~! わ~い」


 奏多が調子にのってそんなことまで言い出した。


 が、さすがにそれには巫女さんズがキレて奏多の両脇を二人で抱え、足早に俺たちの前から消え去ってしまった。


 あはれ奏多。骨は拾ってやるからな。達者でな!


「ほんと先輩がすみません」


「あはは、いいよ別に。まぁなんのかの楽しんでる」


 茂木クンが謝って来たので気にするなと肩をポンポン叩いてやった。モギモギ背が高いから姿勢的にちょっと苦しかったけどな。


 一時的に巫女さんズがいなくなったおかげか、他のやつらも寄ってきた。

 大人グループの人たちも寄ってきた。


「写真撮らせてもらっていいですか?」


 モギモギ、おまえ案外要領いいな。その横でなにげに音乃もカメラかかえてニヘラと笑っててちょっとキモイ。悪いけど。


 みんなが俺の周りに集まり、自然と並びだす。小柄で主役な俺は前列ど真ん中。


「はい、撮りま~す!」


 満開の桜をバックに、巫女さんズと奏多を除くフルメンバーで集合写真を撮った。応援にきてくれてた紡祈様のとこの巫女さんも入った。カメラマンも茂木クンと音乃、交代交代でちゃんと入った。



 いやぁ、なんかわけわかんないお花見会になった感じだけど。

 頭空っぽで楽しめた気がする。



 うん、たまにはこんなのもいいかもしれない。



 そう思えた俺だった。














 あ、ちなみに。


 しばらくして戻って来た三人がすさまじ~く不貞腐れたので、ちゃんともう一度集合写真はとりましたとさ。




 さらにちなみに、三人で俺のコスプレ写真見てたらしい。彩如に楓佳。おまえら奏多を叱りにいったんじゃなかったんかい!





 ま、今更か。

 なんとかにつける薬なし。



 三人のことはもういろいろ、あきらめよう。


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