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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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114/194

【114】暴走紡祈様と、佑奈の切なる願い

爰姫えんひめ様、本当に自らおもむかれますか? 本来、『ひえんの社』第二位のかんなぎのお立場にあるあなた様であれば、こちらに召し寄せればよいと思うのですが」


 瑛莉華えりかさんと帰省の準備をしてたら橘川きっかわ課長がひっつめ中村さんとやってきたんだけど、ちょっと昨日までと態度が変わってる気がする。むぅ、なんだろこの違和感。


「ん~、そうかもしれない、けど……、家族のことだし、ずっと内緒にしてて……その、アレだし。やっぱ自分から行かなきゃダメかなって」


「なるほど。爰姫様がそうまでおっしゃるのであればこれ以上申しませんが。ご家族想いでいらっしゃいますね、爰姫様は。ですが、ご家族も『ひえんの社』に入るということがどういうことなのか、ある程度理解はされていたはず。いくらご家族とはいえ、爰姫様がそこまで気を使われることも無いと思われますが」


 終始こんな感じである。


 すっごくへりくだってるって言うか、いや、昨日までだって丁寧に扱ってもらってたとは思うけど……、なんか根本的に扱いが違うっていうか……。まるで俺が爰姫って存在になるのが当然だったかのような、初めからそういう立場であったみたいな……ごく自然にそう扱われてるような気がしてならない。



 つうか、これもしかして橘川課長にもひえん様の力の影響出たりしてる?

 関係者だった人にまでさり気なく影響及ぼしてる?


 巫女さんズはまぁいつも通りだったけど、あいつらは元々そんな感じだったから参考にならない。


「佑奈ちゃん? ぼーっとしてどうしたの?」


「え? あ、そのなんでもない」


 つらつら考えてたら瑛莉華さんに突っ込まれた。


 瑛莉華さんは今までと変わらないんだよなぁ……。これってやっぱ異能力もちだったせい?


「新野見君、場をわきまえなさい。いくら親しくしているとはいえ爰姫様には敬意を払わねばなりません。せめて佑奈様とお呼びするように」


 ええ~! 橘川課長。なにもそこまで言わなくても。昨日までなら絶対そんなこと言わなかった。


 こっわ。ひえん様の影響こっわ。


「ふふっ、そうですね。私としたことが……。気を付けるようにいたします」


 瑛莉華さんも察しているのか特に気を悪くすることも無く、苦笑いとともに素直に謝ってる。


 まぁともかく、そんなこんなで俺は急ぎ実家へと帰ることとなった。


 いや、正確には母さんの実家、だけど。うぅ、ばあちゃんと顔合すのは面倒だけどまぁ仕方ない。これさえこなせばきっともう俺の立場は安泰。もう問題も無くなってくれるはずだ。


 がんばるぞ俺!





***



『もうすぐ着くからばあちゃんにもよろしく言っといて』


 澪奈みいなにそうLINIE(リニエ)を入れて、前振りしておく。


 今回の集合場所は母さんの実家、ばあちゃん家である。


 参加メンバーは『ひえんの社』側が俺、瑛莉華さん、橘川課長とひっつめ中村さん。あとWeb会議の要領で紡祈つむぎ様も参加。迎えてくれるのはもちろん佐久目さくめ家の当主夫妻とばあちゃん夫妻。俺の両親と澪奈。巫女さんズは仮宮でお留守番である。めちゃ付いてきたがってたけどね。


 これだけのメンバー集めて俺の話しなきゃいけないなんて苦痛以外のなにものでもない。でもやっとかないと後々チクチク言われそうだし、今はなんとか乗り切るしかない。


『了解。もうみんな大広間で待機してるし、おばあ様とえっと、何て言ったっけ、いつき……いつきひめ? いつきひめ……様って偉いかんなぎ様と二人でお話し盛り上がってる。私すっごく居心地悪いからお姉ちゃん早く来て』


 え?


 ちょっと待って。いつきひめ? 斎姫いつきひめって紡祈様じゃん! あのくそばばぁ何でそこに居るんだよ!


『え? な、なんで? そこに紡祈様居るの?』


『え? その人、紡祈様っていうの? その方、朝から百瀬ももせさんていう侍従長の人とお側付き? の巫女さんいっぱい連れて来たみたい。私たちがおばあさまの家に着いた時にはもういたよ』


 ええ? なんで? どうして?


 うそでしょ。そんなの聞いてないよ~!


 俺は慌ててLINIEでのやりとり画面を瑛莉華さんや橘川課長に見せつける。


「ははっ、これは……やられましたね。一緒に行くと言えばこちらが難色を示すと察し、自ら行動を起こしてしまわれましたか」


「そうですね。課長を通り越して上の方に無理を通したのではないでしょうか? 官房副長官辺り、紡祈様直々にお願いされれば嫌とは言えないかと」


「まったく。困ったお方だ」


 瑛莉華さんも橘川課長も苦笑いだ。ほんとにさ。困ったばあさんだよ、まったく!



 そんなイレギュラーが発覚したものの、今更どうこう出来るはずもなく。俺たちを乗せた黒塗り高級リムジン公用車はばあちゃん宅に到着した。ちなみに前後に護衛の車付きである。すごかろう。




「ようこそいらっしゃいました。すでに第一位巫、斎姫様は早くにご到着され、皆様方とご歓談なされております。さぁさぁ、お嬢さ……あぁ、これは失礼を……今はもう爰姫様……とお呼びしないといけませんね。皆様爰姫(えんひめ)様のご到着をお待ちかねです。どうぞこちらへ」


 住み込み使用人の田代さんが変わらず優しい笑顔で、でもちょっと戸惑った感じで迎えてくれた。


 俺の呼び方なんて今まで通りで全然かまわないんだけど。ま、今までのお嬢さん呼びもこそばゆかったけど……爰姫様よりはよっぽどマシだったな。



「ご当主様、爰姫様をお連れいたしました。爰姫様、皆様方、どうぞお入りください」


 ノックと共に大広間の観音開きのドアを開け、田代さんがそう声をかけて俺たちを中に導き入れてくれた。ぶっちゃけ案内無しでも来れたとはいえ……田代さんありがとう。


「おお、これはこれは爰姫様、待ちかねておりました。ささ、どうぞお席の方へ」


 現当主である隆正たかまさ伯父さんが、なんかめちゃくちゃ他人行儀で居心地悪い。でもめちゃホッとした表情。


 席を見やれば予定通り佐久目家、川瀬家の面々が勢ぞろい。澪奈が母さんの隣で小さくなっててウケる。長いテーブルの長辺両サイドに両家が分かれて座っていて、部屋に入って一番奥、短辺である上座側に紡祈様がニコニコ顔で座ってる。その後ろに侍従長を筆頭に巫女さんが二人並び立ってるのがちょっと異様だ。


「皆さま、お待たせしました。伯父様、お久しぶりです。おばあさま、いつぞやはお世話になりました。……えっと、では失礼してすわりゃ、座らせていたでゃきます」


 くぅ、か、かんだ!


「ぷふっ」


 くっ、今吹いたの澪奈だろ!


 くっそぉ。引きこもりな俺にこんな場所で真面目な挨拶なんか出来てたまるかっての。それでも頑張ったんだぞ!


 まぁ澪奈はともかく、周りは何も無かったかのようにスルー。俺たちも席について無事懇談の場が整った。ちなみに俺は紡祈様と向かいになる短辺側。橘川課長と瑛莉華さんは川瀬家側に座ってもらった。中村さんと運転手さん兼護衛の人は俺の後ろに立ってる。


「嬢や、遅かったの。瑶子ようこが話し相手になってくれたからいいものの、は待ちくたびれたぞ」


 何言ってんのこのばあさん。俺、プチっときた。


「は、はぁ? 紡祈様、勝手に来ておいて何言ってるんです? 来るなら来るでちゃんと話通しといてください! Web会議方式で参加じゃなかったんですか?」


 きつい口調になっても仕方ないよね!


「ふん……、我、そんな面妖なもので話なぞしたくないからの。やはり来ることにした。恒志こうしに言うとうるさいゆえ成通しげみち(※侍従長)に動いてもらってここまで来たわな。なかなか仰々《ぎょうぎょう》しくて大変だったが久しぶりの外は楽しいものであった」


 うん、それは十分わかってる。駐車場、黒塗りの車だらけで笑うしかなかったし。きっと家の周りもSPだらけだと思う。かごの鳥のごとく、ずっとやしろこもってる紡祈様に同情したくなる気持ちもほんのちょっと、ほんのちょ~っぴりくらいはあるけれど。


 それはそれ!


「うっわ、もうめちゃ自分勝手だし~! しんじられ――」


「まぁまぁ爰姫さま、落ち着いてください。それについてはまた『ひえんの社』に戻ってから()()()()お話し……しましょう。今はあなたの現状をしっかりとご家族に説明しないといけません」


「ううっ、そ、そう、ですね。わかった……あ、いえ、わかりました」


 くっそ紡祈様めぇ、あとで覚えてろよ~。そう思いつつ紡祈様の見てみれば、さすがに紡祈様も若干笑顔がひきつってる。橘川課長の()()()()発言におののいてる。ふん、ざまぁみろだ。


「こほん。まぁ色々段取りの行き違いもありましたが、守護六家に連なる両家のみなさまにこうしてお集まり頂いたのは、ここにおられます爰姫様の今現在のお立場、およびご本人の状況や異能についてご理解いただくためであります」


 橘川課長がみんなを前にして説明を始めた。


 俺が話すより理路整然としてわかりやすいし、澪奈とか横やりも入れにくい。俺の出番は最後に異能力の実演をする段になったときくらいだ。




 

 ってことで、おかげさまで話はとどこおりなく進んでいった……はず。



 異能力の実演も一応して見せた。収納と転移の実演効果は絶大だった。


 まぁ改変オルターについては余りにヤバイ力すぎて世間にも公開されていないし、家族にも非公開。代わりに【対象理解】って能力名でいつわって説明してる。



 うんうん。


 これで富士山頂にいた言い訳も、小鳥が集まる理由もきっちり説明できた。


 と思う。


 けど、家族も、ばあちゃんたちも……、お口ぽか~んでしばらく黙り込んでしまった。



 まぁそうなるとは思ってたけど。


 

 ちょっと寂しい気もする。



 いくらひえん様の権能でそういう能力もある世界へとうつろっていたとしても……、実際そんな力を見ることなんてほとんど……というか、まずないのは変わらないわけで。



 だから、仕方ないよね。



 あとは時間が解決してくれる。そう願うしかない。家族に怖いものを見るような目で見られるようにならなきゃいいけど。



 もし家族にそんな目で見られたら俺――――




 ――でも、もしそうなってしまった時は……改変する!


 俺の都合のいいように……。

 引きこもり系社会人な俺は、でないと耐えられない。




 だから受け入れて。お願い!

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