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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【10】実家でのんびりはかなわない夢

 家族みんなの改変を無事やり遂げた俺に、さし迫ったうれいはとりあえず無くなった。なのでとっととマンションに帰りたいところなのだが、そうは問屋が卸してくれそうもない。

 まぁそうなるのは想定の範囲内ではあったが、出来ればすっぱり帰りたかった。面倒なことになるのは目に見えてるから。


 川瀬家の構成は、父さんと母さん、それに妹と俺の四人が全てだ。両親の祖父母は共に健在だけど、長男でも長女でもない両親は本家筋から離れ、独立して居を構えている。じいちゃん、ばあちゃん、親戚とかも改変しないと後々まずいだろうけど今すぐどうこうはさすがに無理だ。


佑奈ゆうな。お風呂先に入っちゃいなさい」


 久しぶりの家族勢ぞろい、父さんのアピールが少々ウザい夕食のあと、待っていたのは母さんからの風呂入れ指示。


「ええ? わ、私は最後でいいよ。父さんか澪奈が先に入りなよ」


 一人暮らしで、ほぼよそ者と化してる俺なんかより住んでる人優先でどぞ!


「お姉ちゃん、久しぶりの実家なんだから先を譲るよ」


「そうだぞ、佑奈。遠慮せずに入れ入れ。パパやママはお前たち姉妹の後でいいんだから」


 などと言われては入らないわけにはいかない。ま、俺も別にどうでもいいから、遠慮なく入らせてもらうとするか。


「じゃ、遠慮なく」


 遠慮もくそもないか、実家なんだし。


 俺は部屋に戻って着替えを用意すると、早速一階にあるバスルームへと向かう。着替えは妹と出かけた時に買ったやつで、パンツなんてもう男の時では考えらない小さな布っ切れでしかない。ちなみに家でも、胸周りに付けるアレは絶対装備するよう念を押されている。もちろん妹にだ。


 家には父さんがいる。父親とは言え父さんも男。俺のちょっと育ちぎみの胸を自由にさせたまま家を歩き回っちゃいけないと言われた。俺も元男だ。妹の言いたいことはわかる。けど何で家でまであんな窮屈な代物を付けねばならんのか?


 いや、着けるけどね。妹恐いし。更に母さんまでいるから付けないわけにはいかない。


「はぁ、めんどくさ……」


 愚痴りながら浴室に入る。ホテルのスイートもかくやってくらい実家の風呂はでかい。両親こだわりのバスルームである。マンションの風呂も狭くはないがこことは比べることすらおこがましい。三人くらいが全身伸ばして入っても余裕の浴槽。しかもジェットバス付。洗い場も二人並んで余裕で体を洗える広さがある。小さい頃はよく妹と二人、父さんに雑に体を洗われてワーキャー騒ぎながら入ってた気もするわ。まぁそんなのは小学校の低学年までだったと思うけど。

 洗面所や脱衣所もそれぞれ余裕で並んであれこれ出来る広さがあり、ストレスを感じることなんてほぼ皆無。いや、自宅でそこまでするんかい!って両親にツッコミたい気もするが、俺になんの不利益があるわけもでもないのでそんな野暮は言わない。


 服を脱ぎ、背は低いものの女性らしく育った体で浴室へと入る。特になにも隠すことも無い。ここは実家。しかも俺一人だ。女になったとはいえ、自分の体に何も恥ずかしがる要素なんてない。ないったらない。


 エロい気分になったのなんて最初だけだ。

 うん、最初だけ……。


 いやその、……たまに、ほんのたまにあるだけ、だ。


 シャワーで軽く汚れを落としてから浴槽につかる。ジェットバスの泡が気持ちよく、とてもよいマッサージとなる。これマンションの風呂にも欲しい。


 心地よい気分になり何気に正面に目を向ければ、知らない間にスピーカーやTVがついてる。ちゃんと防水対策された奴っぽい。


澪奈みいながせがんだに違いないな、コレ。風呂でまで音楽やら何やら聞かなくていいだろうに」


 なんて独りちりながらも、ゆったりつかってたらいきなりドアが開いた。


「お姉ちゃん、久しぶりに一緒に入りたくて来ちゃった。入っていい?」


「えっ?」


 妹が乱入してきた。


「いいもなにも、もう入ってきてるだろ! つか、もうまっぱじゃん!」


「お風呂に入るんだから当然服は脱ぐよ。それよりまた言葉。乱れてる~」


「いやそうだけど……、今、そんなのどうでもいいし。なんで入ってくんの?」


「なんでも何も、別にいいじゃん姉妹しまいなんだから。久しぶりに一緒に入りたいとか普通でしょ。お姉ちゃんこそ、なに恥ずかしがってるの」


 だからってその……、いくら姉妹とはいえ俺は元男……。


 いや、もちろん妹から見ればおかしくもなんともないんだろうけど。俺は女なんだ女。改変オルタードされた妹の中では俺は昔から女で、姉なんだ。そうなんだけど!


 なんというか、罪悪感というか、背徳感というか。……けど、こうなったら開き直るしかない。


「うう……。じゃ、じゃあ、すぐ出るから澪奈はひとまず先に体洗っててよ」


「いや、一緒に入りたくて来たのに何さっさと出ようとするかな。って、あ~! お姉ちゃん、思いっきり湯舟に髪浸けてるじゃん。何やってるの、も~」


 今度はなんだよ、もう。「そんなのどうしようが俺の勝手だろう!」そう言い返したい。まじで。まぁ無理なんでせめてもの抵抗で、こう言い返した。


「いや、お風呂に入ってるんだから髪も浸かっちゃうだろ普通。何が悪いの?」


「悪いに決まってる~。髪傷むし、汚れ吸っちゃうし、後でパサパサになっちゃうし……、いいことないよ! それに髪を洗ったあとだったりしたらトリートメントとかコンディショナーとか台無しになっちゃうじゃん! もうほんと、お姉ちゃん、今までずっとそうしてたの? 逆に、それでどうしてそんなに髪キレイなのか……不思議でしょうがない」


 うわ、とんでもない否定の羅列で返された。しかも正論過ぎて反論できない。

 

 結局、お湯に漬からないよう髪をゆるく巻かれ、頭の上でクリップ止めされた。終始、妹の裸体がチラチラ目に入ってくるので目のやり場に困ってしまったわ。


 けど、確かにこうすればお湯の中に髪の毛を漬け込むことは無くなるな。嫌がっておいてなんだが、体に髪がベッタリ張り付かなくなるし、濡れた髪は結構重いからこれはいいかもしれない。


 ちょっとしゃくだが、せっかく教えてもらったしこれからはこうすることにするか。


 あっ。


 っていうか、あれだ、髪の毛切れば全て解決じゃね? 最高か!


「なぁ澪奈。この際この髪切ってしまえば楽なんじゃない? 澪奈くらいならちょっとゴムでまとめるだけで簡単そうだし」


 澪奈の髪は肩に届くかどうかってくらいの長さで、見るからに楽そうだ。


「お姉ちゃん、何なめたこと言ってくれるかな? 私が毎日髪のセットにどれだけ時間かけてると思ってる?」


「え? その、えっと……、五分……くらい? あの、もしかして十分とか、二十分くらいかかったりして?」


 なんかちょっと澪奈()()がこわい。俺変なこと言った?


「ふ~ん、その程度って思われてるんだ。澪奈ショック……」


「ええっ、何? もっとかかっていらっしゃる?」


 まじやめて、こ、こわい。


「…………、ぷふっ、やだお姉ちゃん、オロオロしちゃって可愛い。ウソウソ。最初ので正解。五分ちょいくらいだから。毎日十分、二十分なんてかけてられないって」


「な、なんだよ、もう。おどかすなよ」


 心臓ドキドキだったわ、くっそ。


「で、も。お姉ちゃん。お姉ちゃんはその長い髪を切るのはもったいない。せっかく枝毛一つない綺麗な髪なのに……。なのにお姉ちゃん。毎日のヘアケア、めっちゃ雑だよね。それでどうして、なんでその髪が維持できてるわけ? おかしい!」


 いや、そんなの知らんがな!


 その後、澪奈に髪の手入れや洗い方とか、更にはついでに体の洗い方に至るまで散々、嫌というほど難癖なんくせつけられた。いやね、タオルでゴシゴシやってたらブチ切れられたというかね……。


 ああもう、ほんと女の子ってめんどくさいわ!


 男の方が気楽で手間もかからないし、何しろ何もごちゃごちゃ言われなかった。気楽なもんだった。



 ああ、男に戻りてぇ~! 


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