15.ありふれた「完了」と「合流」と「剣の極意」
昼の3時に寝て、起きたら翌日の6時だった。膀胱は満タン胃袋は空っぽだったので宿のフロントに声をかけてみたら、朝食は6時から用意できてるとのこと。感謝感激してシオンを叩き起こし朝ごはんを貪り食った。ギルドへの報告のためにノアたちと待ち合わせしたのは昼の12時。外套のクリーニングとシャツやレギンスの洗濯をフロントに頼み、流石に下着だけは洗面所で手洗い。朝温泉してだらだらのんびりしたあと10時には宿を出て街に向かった。最初に向かったのは武具店で根元が刃こぼれした剣を研ぎに出す。街中だし帯剣しなくても魔剣ナイフがあればいい。武器や防具に関してはまったく興味のないシオンはとにかくボクのやることを真似しておけばいいと考えているらしく、刃こぼれもしてない剣を研ぎに出してた。これが銀貨1枚。
シオンと朝ごはんを食べながら話した通りポーションショップに行く。金貨4枚、40万円もするグレードIIポーションを買うためだ。今後どこで骨蟲のような寄生生物に取り憑かれないとも限らないし、身体の後ろ半分が破裂しても回復できてしまう効果を目の当たりにして備えておくに越したことはないと考えたからだ。ダンジョンで金貨10枚をゲットできたのも大きい。ダンジョンに行く前は散財しすぎて金貨6枚にまで減っちゃってた。さすがに全財産金貨6枚で金貨4枚もする買い物しようとは思わないけどね。ポーション店を出て、西通り沿いのスイーツ店で白銀貨8枚もするチョコレート詰め合わせをシオンと割り勘で買った。教会が運営する治療院がポーションショップの裏手にあるので、フレルバータルさんとゲレルトヤーさんのお見舞いにいくことにしていたからだ。ポーションは肉体を修復してくれるが流出した水分や消費した生命力である『気』までは回復しない。なにより修復された筋肉はブランニュー状態である。つまり1度も使われていない状態なわけで、見た目こそ萎え細っていないだけで1週間寝たきりで弛み切った筋肉となんら変わらない。なので最低限の静養およびリハビリが必要になる。礼拝堂に隣接した療養所におふたりを訪ねチョコを渡す。味見していないので本物のチョコレートかどうかは定かではないが、この世界にもカカオに似た材料があるみたいだ。帰りの馬車の中での会話はノアに任せっきりだったのでコミュ障なボクとしてはおふたりに対する馴染み感覚ができておらず、お見舞いの言葉を述べた後はシオンに会話を任せた。感謝されるのが苦手なのは謙遜するのが面倒だからで感謝されることに関しては嬉しいという厄介な性格なため、防波堤になってくれるシオンには頭があがらない。遭難者と救助者という関係で、話し込むほどの接点もないから早々に病室を辞した。
気が重かったお見舞いを終えて楽になった気分のまま買い物タイムに突入する。ウキウキと商店街へ歩き、洋品店でダンジョンに捨ててきた焦げシャツブラウスの代わりを1枚買い増す。白銀貨3枚。隣のアクセサリーショップにシオンが捕まり髪留めひとつ買うのに30分かかった。ボクはもちろん買わない。シオンのみ白銀貨1枚の浪費。その2件先の野営グッズ店で寝袋を見つけた。先のダンジョンでノアたちが寝袋を使っていたのが羨ましかったのだけど、こっちの世界では圧縮袋に類したものがないためどうしても嵩張る印象だった。その店で見た寝袋は、収納時直径6cmの筒状にまで自然に小さく丸まるという。アルマジロ毛玉羊という野生生物の外皮と毛を利用して造られていて、内部はモコモコのふわふわでクッション性がありもちろん断熱性抜群。防水性に優れ、さらに透湿性は最高クラス。そのうえ鱗状外皮によりそこそこの防護機能まであるという。金貨1枚もするため大いに悩んだけど、ダンジョンで湿った硬い床に外套1枚で寝る辛さに比べれば安い買い物だというシオンの意見に負けて購入した。あっという間に昼になり、ノアたちとの待ち合わせ場所であるギルドのフードコートへ向かう。
ノアたちは15分遅れでやってきた。遅れてきたのにぜんぜん悪びれないのは日本人じゃないからだと思う。日本人は10分前に着くよう準備を始め、アメリカ人は10分過ぎてから準備を始めるというし。ノアは1kgはあるだろう超分厚い鼻猪のステーキ、ラウリはワンプレートに巨大ハンバーグとタルタルシュリンプとサラダの盛り合わせ。シュリンプはどう見てもエビだけど、こっちの世界のエビなんだろう。ボクたちは待たされている間お茶だけ飲んでいたのでお昼ご飯を追加で買ってくる。シオンはあいかわらずラーメンライス。ボクはガッツリ食べたい気分だったのでステーキとライスとサラダにした。白銀2枚と銅5枚もしたけど美味しかった。食べながらダンジョンの魔物の話、人モドキが使った矢の攻撃に対するボクの雷魔法以外での攻略法について、そこから発展して魔法全般の話、エコーロケーションの話、ステータスの話などを思いつくままおしゃべりした。ノアたちが過去に会った人たちのことなどいろいろ話して転生者の傾向がぼんやり見えてくる。大多数の転生者は転生前にチュートリアルゲームはしているがおざなりで、ゲームシステムまで踏み込んだやり込みプレイをしている人がほぼいないようだ。そのため転生が始まって20年も経とうとしているのに魔法に関しての知識や習得はこちらの世界の住人の方が進んでいるらしい。チュートリアルの時点で12回もキャラクターを作り直しステータスの振り分けを変える実験までしてやり込み、元になった試行ゲーム『幻夢』の設定集を隅まで読んで勉強したボクみたいな暇人には会ったことがない、とノアもラウリも断言する。話は盛りあがっていたがギルドへ報告に行く時間が迫っていた。といってもギルドの建物内にいるのだから時間ジャストに席を立てばいい。シオンがラーメンの最後の麺をずろろっと吸いあげるのを横目で見ながら、食事を終えてるボクは残りのお茶をズズッと飲み干す。外人さんおふたりには日本の食事中の啜り音と器を手で持つ作法については説明&了承済み。周りの人たちがどう思うかは知らん。
「ミナト。ミナトは自分のことをコミュ障で人見知りで人間嫌いだっていうけど、僕とラウリに対してはだいぶ打ち解けて話せるようになってるんじゃないかな。って思うんだけど、そこらへんどうかな」
ノアが真面目な顔でいってきた。ふむむ。そういわれると確かに、いつの間にかふたりのこと呼び捨てで話してるし、話しづらさを感じたり距離感を意識して話したりもしなくなってる。
「え。えと。うん。まあ。特に人嫌いセンサーが発動したりはしてないけど‥‥なんで?」
「もしミナトが嫌じゃなければ、僕たちとパーティ組んでもらえないかなと思ってさ」
「パーティ?」
思わずシオンを見た。ラーメンの最後のスープを飲もうと丼を手にしたまま僕を見ている目に期待感がこもってる。ラウリと並んで座る距離がダンジョン同行前より10cmほど近くなってる。なんとなくわかった気がした。
「シオンは賛成なんだね?」
「うん。このふたりは信頼できると思うんだ。ミナトのこと身を挺して守ってくれたし」
昨日の帰り道、ラウリとシオンは別馬車で一緒だった。そこでパーティ合流の話が出たのだろう。シオンは賛成らしい。ボクとしてもこのふたりは信頼できそうに思う。
「んーと。うん。オケ。わかった。合流でいいけど。条件がみっつかな。パーティの行動は基本、全員の合議制にしてほしい。そのうえでリーダーはノアで。で、最後にそれぞれの目的や方向性が違ってきたらいつでも離脱自由ということで。ならボクはいいよ」
「いや。リーダーはミナトだろう。昨日のダンジョンで、ミナトのリーダーシップがなかったら全滅してたかもしれない。『大地の獣』のふたりも救えなかった」
「そうだよ。ミナト。ウチもミナトが適任だと思うよ」
シオンにもいわれたがボクのコミュ障を舐めてもらっちゃ困る。
「絶対無理。断固拒否」
こればかりは謙遜でも遠慮でもない。むふーと鼻息荒くお断りするとラウリが落ち着いた口調で発言した。
「では、対外的なリーダーはノアで。ミナトは『影の黒幕』で『参謀』で『頭脳担当』っていうのならどうかな?」
結局その線で新パーティを組むこととなった。『影の黒幕』ってすげー悪人みたい。フードコートを出て総合受付へ向かいゾロゾロ向かっていると、カウンター列の裏からタルハン氏が歩み出てきた。ノアが代表して声をかける。
「タルハンさん。体調はいかがですか?」
「ああ。なんとか回復してるよ。君たちはこれからギルドへ報告か」
「ええ。タルハンさんは?」
「私はいま済ませてきた。報酬ももらったよ」
「そうですか。僕たちはこれから報告にいってきます」
とノアが告げ、タルハン氏が頷いた。軽く手をあげて歩き出す。ボクとシオンとラウリが軽く会釈して通り過ぎようとしたとき、タルハン氏の足が止まった。振り返りボクたちの背に声をかける。全員が振り返ってタルハン氏に向き合った。
「今回の救出でタスク達成したからパーティランクをアップできるといわれたよ。‥‥が、丁重にお断りした。『神の鉄槌』は解散だ。もう冒険者は引退しようと考えている。今回の報酬も入ったし貯金もそこそこある。商工ギルドへ加入するつもりさ。アルアラビの死に様を見たろう。ろくな死に方じゃない。冒険者の末路なんてああいうものだ。君たちも命を落とす前に転業した方がいいぞ。せっかく転生して授かった新しい寿命だ。無駄に散らすことのないようにな」
「はい。そうですね。慎重にいこうと思ってます。タルハンさん。お疲れ様でした」
去っていくタルハン氏の背中がひと回り縮んで見える。この世界に来て3年といっていたからまだ肉体年齢は20歳のはずなのに、その後ろ姿は60歳に見えた。総合案内に来意を告げる。待つまでもなくオーラさんの案内で2階の会議室へ案内された。円卓の入り口側に4人並んで座る。正面にはカウフマンさん。オーラさんも今回は横に座る。座って紅茶のような温かい飲み物が配られるやカウフマンさんが口火を切った。
「お疲れ様でした。そして救出ありがとうございました。任務達成です。しかし、まさかたった1日で達成するとは思ってもいませんでした。先に『神の鉄槌』のタルハンさんや『大地の獣』のフレルバータルさんから話は聞いていますが、皆さんからも詳しい報告をいただきたいと考えています。特にエコーロケーションという技法については詳しくお話を伺いたい。昔1度、南のギルドの長から『聴音覚』という特殊技能について聞いたことがあります。それと同じ技法なのか確認したいと思います。記録のため魔導器で録音を残しますがご了承ください」
聴覚のサブ項目の『音析:音紋解析』と『微音:微音感知』が8以上なら漠然とではあるが前方の異物を感知できるはず。それに加えて知力のサブ項目の『空識:空間認識』と『心象:イメージ力』が10以上なら脳内で立体図形が構築できる。転生が始まってからの20年で1億4千万人近い人間が転生している。覚値を筋力や生命力に振るのではなく知力や感覚に振る物好きが10%いたとして、そんな弱小ステータスでは生き残れず90%が死んだとしても140万人は生き残るはず。それだけの人数がいればもっと魔法やエコーロケーションについて知られていてもいいと思うのだけどなあ。エコーロケーションは和名で『反響定位』ともいったはずだけど、『聴音覚』という言葉は初耳だ。別に隠さなきゃならない一子相伝の秘技ってわけじゃないから具体的数値をあげて説明する。その後、方眼紙を借りて5階層のマップを描いたらボクの役割はおしまい。人喰い粘菌や人モドキとの戦闘に関してはノアとラウリとシオンに任せる。3人の中でいちばん要領よく説明できたのはシオンだった。
「シオンって中学で生徒会長とかやってた?」
「生徒会長させられそうになったけどね。部活の方がだいじだから辞退した。そのことウチ、いったっけ?」
文武両道の才女だ。ひと通り報告が終わり報酬話になる。まず救出ミッション成功により各パーティに金貨20枚。ひとりにつき金貨10枚の報酬。そして情報料。ボクが描いたダンジョン5階層の詳細マップ約100区画分に対して階層X区画数で銀貨500。つまり金貨50枚相当。未発見魔物情報が粘菌と骨虫で金貨10枚。マップと魔物情報に関してタルハン氏は権利を放棄したといわれた。いまさら追いかけてお金を押しつけるのもなんだし、ありがたく頂戴することにする。どこかでタルハン氏に会ったらラーメン奢ろう。金貨60枚を4人で分けてひとり金貨15枚。150万円也。魔石はダンジョン脱出の際に結界魔導器で燃やしてしまったため、買い取りなどはなかった。お礼の言葉とか社交辞令は軽く流して席を立とうとしたら引き止められた。『戦う妖精』パーティだけ残ってほしいといわれたが、新パーティを結成したことを告げてみんな一緒に待つ。10分も待たないで会議室のドアが開き、見知った顔の騎兵が入ってきた。第2外周警備隊、隊長のダムディン・アチバドラフさんだった。
「先日はご協力痛みいる。ミナト君、シオン君。おかげで戦乱の南から流れてこの地域に住みつこうとしていた盗賊団を壊滅させることができた。囚われていた人々も解放できた。君たちの活躍のおかげだ。城塞領主に申請してあった報奨金が支払われたのでこうして届けにきた次第だ」
そういいながらアチバドラフさんがずっしり重そうな皮袋を円卓の上に置いた。
「金貨30枚。遠慮なく納めてくれたまえ。聞くところによると困難な救出任務を成功させたそうだな。ギルドがせっせと喧伝している。救出成功の報せはダンジョン入場時の保険料が有意義だと知らしめるからな。入場保険料が高いとの声もしばらく収まるだろう」
カウフマンさんが苦笑いしていた。報奨金を断るなんて領主に対する反抗だと捉えられかねないから、ありがたくいただくことにする。報奨金は無税とのこと。へーっと聞き流していたがいままで税を払った記憶がない。この世界でも確定申告みたいなものがあるのかと心配になり、ラウリに小声で尋ねると、ギルドから支払われる達成報酬は5%程度の税を引かれた後の金額なのだそうだ。人種とお国柄の坩堝みたいな冒険者から徴税するのは至難の業で、大本のギルドが一括して徴収と納税を代行しているのだとか。そんなこんなでボクたちはいつの間にか高額所得者&高額納税者になっていた。アチバドラフさんにノアとラウリを紹介する。このふたりと4人で新しいパーティを結成したことを告げた。
「全員条件満たしていますので、本日付でCランクパーティに昇格します」
カウフマンさんが補足してくれた。
「ほう。Cランク。銀級か。手練れだな。まだ当分この街に滞在する予定はあるかね」
「ここの周辺にはダンジョンが集中してますからクエストも豊富です。前回のダンジョンでは自分達の力不足を痛感しました。しばらくはこの街を中心に修行しようと思ってます」
「ふむ。修行か。銀級にしてまだ腕を磨こうとする心意気やよし。ならば警備隊の練兵場を使うといい。警備隊の隊員にもいい刺激になる。君たちのパーティ名を名乗れば使えるよう話は通しておくよ。新しいパーティの名称は決まっておるのかな?」
ノアが代表で答える。
「僕とラウリが『白牙』を名乗っていましたので『戦う妖精』と合わせて『妖精と牙』でいいのではないかと話しています」
シオンを見るとテヘペロ顔をしている。さては名称も相談済みか。『戦う妖精』はシオンの昔のバスケチーム名だから、シオンがこだわらないならボクはなんでもいい。新パーティ名は『フェアリーズ&ファングス』。共通語なら『妖精と牙』でなし崩し決定した。
「では。警備隊の立哨にパーティ名を告げてくれたまえ。待っているぞ」
そういい残してアチバドラフさんが去る。明日にでも1度顔を出さないといけなくなった雰囲気だ。会議室を出てオーラさんに新パーティの手続きをしてもらい、タグへの登録も済ませる。ノアが個人的にお金を出してパーティ専用貸金庫を借りるというので、影の黒幕としてノーを出し4等分にした。ひとり銀2白銀5の出費。さらに4人で5金貨ずつ提供してパーティ用の運営資金にした。貸金庫スペースでそれぞれの貸金庫とパーティ用金庫に金貨を預ける。ノアが今後のパーティの行動方針を相談したいというのでフードコートへ戻った。途中クエストボードのお知らせ掲示板に張り出された掲示の前に人だかりがしていてワイワイ盛りあがっている。「妖精」ってワードが聞こえたからアチバドラフさんがいっていたボクたちの救出に関しての掲示かもしれない。そんなことよりおやつの時間だ。シオンはイチゴに似た大粒のフルーツがこれでもかと埋め込まれたシュートケーキと紅茶。ボクはチーズケーキとコーヒーに似た味の黒い飲み物。どちらも白銀貨1枚。席につき落ち着いたところでノアが切り出した。
「僕とラウリは1年前にきな臭くなってきた南方諸国を離れて、護衛任務で稼ぎながらサノンカリタト公国へ移ってきたんだ。ここに着いたのは半年ほど前。ここ城塞都市ベルダ・ステロを拠点にしたのは、このあたりにダンジョンが4つも集中してるっていうロケーションのよさからだ。最初は『kristala sanktejo 水晶の祠』で魔鉱石採掘と低レベル魔物討伐で金と経験値を稼いで防具や武器をグレードアップした。Dランクになってそこそこ稼げるようになりランクあげにガツガツしなくても暮らせるようになってね。もうほどほどにクエストをこなしてそこそこに暮らし、飽きたらまた旅に出るって生き方でもいいかなと考えていた矢先に君たちに出会ったんだ。自分たちが無能な筋肉バカに過ぎないって気がつかされたよ。だから僕とラウリは筋肉以外も強くならないといけない。このままじゃ君たちに守られっぱなしのお荷物になってしまうからさ。なので積極的にダンジョンに潜り覚値を蓄積しないといけないと思う。人モドキの弓攻撃に手も足も出なかったことを考えると、盾の携帯を考えた方がいいかもしれないし遠距離攻撃力をつけるために武器を購入して練習したい。かつ魔法も戦闘に使用できる実用レベルまで磨きたい。そのためにはもう少しこの都市に逗留して活動して行きたいんだが、ミナトは別な希望とかあるかな?」
ボク名指しか。ていうことはシオンはもうすでに希望を述べたってことだろう。
「シオンはもう自分の希望をいってるみたいだけど、ボクは聞いてないからいってみて」
「うん。ごめんよミナト。帰りの馬車でラウリと色々話してさー。ウチは基本のんびりしたいんだけど、あんまりのんびりしすぎると今度は動きたくてウズウズする面倒なタイプだからさー。ラウリたちと一緒にレベルアップするペースがほどよいんじゃないかと思う」
もっとラウリといっしょにいてオシャベリしたいという乙女心は秘密なわけね。
「うん。ボクも異論はないよ。ボクたちはまだ修行が足りない。経験も足りない。この街を拠点にして腕を磨くのは合理的だと思う。だから当分はここを拠点にすることに賛成。でもずっと後の話になるだろうけど、ボクはこの世界を見てみたいって欲求がある。何年も病室の白い壁しか見てこなかったからだろうと思う。いつかは旅に出たいな。いまじゃないけど、いつかね」
「わかった。旅に出たくなったらいつでも相談してくれ。僕たちも支障がなければ同行するよ」
「うん。ところで遠距離武器って弓とかのこと?」
「ああ。それもあるけど弓は嵩張る。もっといい武器があるんだ。ランチャーさ。この後、武器屋にいってみないか?」
もう1個ケーキを食いたいというシオンを「デブるぞ」と叱咤して全員で武器屋に向かった。ノアたちが武器の手入れを任せているという馴染みの店らしい。冒険者ギルドを出て中央広場を突っ切り商工ギルドの裏手に回る。ボクが防具を買った店の斜向かいに『Magiailo kaj Ar milbutiko de Beilschmidt バイルシュミット魔法具&武器店』があった。入ってひと目見てかなり上質な武器店だとわかる。十把ひと絡げに投げ売りされているような武器はなく、1品1品壁の縦長ショーケースに収まって展示されている。シオンが金額を見て丸が1個多いと目を回していた。店員がひとり立っていたがノアは手をあげて挨拶しただけで奥へ入っていく。奥のカウンターに座っていたのは妖艶な美女だった。
「フロライン・ロスヴィータ。紹介します、今度いっしょにパーティを組むミナトとシオン」
「あら。新人さん。綺麗な子たちね。妖精さんたち。今後ともよろしくお願いしますね」
「妖精2号シオンでーす」
ボクが1号なのかな。そうなのかな?
「ミナトです。なんでボクたちのパーティ名を。あ。ギルドの掲示板ってパーティ名まで書かれているんですか?」
「そう。亡くなった方が出たのは残念だったけど、ふたりも生還させた功績は大きいわ。で、今日は剣の研ぎかしら?」
その問いにはノアが答えた。
「いえ。その救出ミッソンで蛞蝓人間擬っていう魔物の大群に、弓で通路に封じ込められて膠着状態になりまして。遠距離でも戦える武器が必要だと考えていたんですが、以前ロスヴィータ姐さんに勧められた魔導ランチャーを思い出しました。それと盾も」
「それはそれは。ご贔屓いただきありがとうございます。でも貴方たち魔法どころか魔素が練れないって。結界魔導器すらやっとだったでしょ」
「いやまあ。お恥ずかしい。前回のクエストでのこのふたりの使う魔法に感銘を受けまして。このふたりに魔法を1から教えてもらってます。ふたりのおかげで簡単な火魔法での着火くらいならできるようになりました。なので魔道具の操作もできるかと。それとランチャーを試してみたいんですが」
ロスヴィータさんが後ろの壁のガラスケースから黒い金属の塊を出してカウンターに置く。筒状の銃身を持つ大型拳銃みたいだ。そして別のケースを開けてフリースビーほどの金属円盤が付属したリストバンド状の装備を取り出す。金属板には複雑な魔法陣紋様が刻まれている。これが盾なのか。かなり小さい気がするけど。
「じゃあ試し撃ちといきましょうか。テスト用の弾2発分はサービスよ」
ロスヴィータさんはごろっと重いランチャーを片手で軽々と扱い、ボクたちを案内して裏庭に向かった。縦に長い土庭で、左右の壁前には天井近くまで土嚢が積んである。的は50メートルほど先、庭の端に金属柱で立つ頭部のあるトルソー。顔の代わりに白黒で同心円が描かれていた。結構な距離だ。
「弾は火炎弾。中に推進用の魔石と着弾時発火用の魔石および燃料が仕込んである。発射は銃把へ魔力を送り込むだけだけど、不用意な魔力伝導によって暴発しかねないから引き金がつけてあるの。引き金は発射装置じゃなく安全装置ってことね。引き金を引いてからじゃないと魔力を送っても発射しない。簡単でしょ。向こうの世界のガンと同じ。構えて狙って引き金を引く。ただし留意点がひとつあるわ。魔石での推進は魔力の繭を作って弾自体を覆い1方向に飛ばすものだから重力の影響をほとんど受けなくなるのね。弾道は放物線ではなく弾1個分沈む程度のほぼ直線軌道となるわ。向こうの世界でのランチャー軌道じゃなくガンに近い。照準器で補正できるけど大雑把に真っ直ぐ飛ぶイメージで撃っても大丈夫よ。確かムトゥカさんはあっちで軍隊にいたっていったわよね。じゃあ、慣れてるでしょ。どうぞ」
ロスヴィータさんがランチャーをラウリに渡す。そして弾頭が赤く塗られた栄養ドリンクの瓶みたいなサイズの弾を手渡した。ラウリが銃把を握り、側面を見る。左手でレバーをカチッと押すと銃身がふたつに折れる。前部分に弾を押し込め折れた銃身を元に戻した。なんか扱いがハリウッド映画の感じ。カッコいい。ランチャーの上の照準器を触っていたが、つと脚を開き構えて無造作に撃った。スパンっと抜けた音がして50メートル先の人形の頭が直径2メートルの火炎球に包まれる。ちょっと遅れてドゴンっと内臓に重く響く音が届く。うわは。映画みたいだ。
「すごー」
シオンの声とともに熱風がブワッと押し寄せた。
「いまのところ弾頭は火炎弾のみ。ただし試写用の弾頭は街中で撃つぶん威力を抑えてあるの。実際の球は倍の炸裂範囲を持つと思って」
ラウリがランチャーをノアに渡す。ノアがラウリの説明を聞きながら銃を折り空薬莢を取り出す。試写用の弾をもらって詰める。
「爆発じゃなく火炎の奔流が渦巻く感じだから地盤の弱い地下の洞窟内でも使えるよな」
ノアが構えて撃つ。もう1発大輪の火炎が開花し熱風が髪をそよがせた。ノアは軍隊経験あるのかな。撃ちっぷりが堂々としてた。
「あのー。ちょっと聞いてもいいですか。なんで魔石と魔法陣で火炎弾なんですか。黒色火薬ならとうに作られていてもおかしくないと思うんですが」
ロスヴィータさんに聞いてみた。
「硝石と硫黄と木炭を混ぜればすぐに作れちゃうんだけどね。なぜかこっちの世界では燃焼速度が遅すぎて炸薬として使い物にならないのよ。爆薬としてはまるでダメ。銃器の炸薬としては量を増やしてかろうじて使えないこともないけど。効率が悪すぎるわけ。こっちの世界の電気も同じでしょ。魔素と電子がほぼ同じ物らしく混在しているからっていわれているけど。電子のスピンが右回り左回りと呼ばれるんだけど、魔素のスピンは裏回りと呼ぶみたいで魔界次元方向へ上下に回っているって。原子の中の電子の4割が魔素だといわれていて電気の通りが悪くなり魔法の通りがよくなるらしいわ。そのせいで燃焼速度も影響を受けるらしいの。いろいろ研究はされているけどまだ20年だし」
「なるほど。現代社会からの知識流入が20年もあるのに文明度がそれほど進んでないように見えるのはそういう理由ですか」
「魔導器で代替できる部分も多いから暮らしやすくなってはいるわね。さて。次はシールド」
ロスヴィータさんがノアとラウリに金属円盤付きリストバンドを渡す。教えられた通りラウリが腕に巻く。
「少し離れて立ってね。シールドが発動したらエッジはなまくらな包丁くらい切れるから。発動は念動。魔力の送り込み量に応じた大きさでシールドを開けるわ。やってみて」
ノアとラウリが腕の円板部を前に構え、なにやらりきむ。魔素練りもまだ未熟なふたりだったけど直径150cmほどの青白い半透明の円盤が形成される。
「うお。出た。軽い。っていうか重さはないのかこの光の円盤」
「じゃあ。こちらのお嬢さんたちも参加してもらうわ。後ろの壁に模造剣があるでしょ。それであの力場盾を思いっきり叩いてみて」
ボクとシオンが壁の剣立てからロングソードを手に取る。模造剣ってことは刃は付けられていないってことだろう。指を当ててみても研がれた刃先の鋭さは感じなかった。人に向かって斬りつけるなんて盗賊以来だけど、今度の相手は気心も知れた相手だから遠慮なく斬りつけられる。
「いくよー」
シオンが声をかけてラウリへ猛ダッシュした。ボクもダッシュで続く。あ。なんか。全力疾走が気持ちいい。上段で一撃。金属を殴ったようなガキーンと痛い手応えはなく、わずかに柔らかく押し戻されつつ芯に当たる感じ。グミでコーティングされたプラスチックを叩いた感じといえばいいか。剣が跳ね返される勢いを利用して身体を一回転させ今度は横殴りに一撃。またも跳ね返されるが、もう一度身体を反対方向に回転させ袈裟に斬りおろす。するとガラスが割れるような音と手応えで、シールドが光のカケラとなって砕け散った。もう一度念を送れといわれたノアたちが、前より小ぶりな直径1メートルほどのシールドを展開する。ボクとシオンにはシールドの同じ箇所を斬りつけろとの指示が出て、いわれた通りに剣を叩きつけると今度は2撃でシールドが砕けた。
「同じ部分に当たると脆いってことは覚えておいて。そうじゃなければ弓なら5射は保つわ」
「これは凄い。火炎弾ランチャーにシールド、ぜひ買いたい。ロスヴィータ姉さん勉強してくれ」
ノアが最敬礼していった。
「まったく。最初っから値切りかい。ウチは値札通りがルールなんだけどねえ。でもまあ。こんな可愛いお嬢さんたちを守るためっていうならしかたないね。あなたたち今後武器の購入とメンテは全部ウチでね。ダンジョンで魔道具を見つけたらギルドでは売らないでウチに売ること。そういうことでなら、ランチャーは金貨6枚を金貨4枚。シールドは金貨12枚を金貨7枚でいいよ。合わせて金貨11枚だ」
「まけてもらっても4人分で金貨44枚か。うむうう」
考え込むノア。
「いや、このお嬢さんたちのぶんはいらないよ。さっきの打ち込み見たけど、このおふたりさんパワータイプじゃなくスピードタイプでしょ。しかもシールドの同じ箇所への打ち込みの完璧さは精緻と感覚もあげてないと無理。あなたたちが魔法の使い方を習ってるっていうから、つまり魔法も使える。ということは知力もあげてるわね。なら道具に頼らなくても魔法を修練した方がいい。シールドは初級魔法にあるから学べるわ。知らなきゃ魔法ショップに行けば魔道書が売ってるしね。初級編なら金貨4枚。そっちの方が安いわ」
シールドの魔法か。そういえばチュートリアルで使う機会はなかったけど、設定資料で見た記憶がある。定型呪文も覚えてる。今度練習してみよう。
「じゃあ、ウチらはなし。ノアとラウリのふたりぶんってことで金貨22枚。それならパーティ専用口座に金貨20枚あるんだから、追加でもう1度ひとり金貨5枚ずつ出せばいいんじゃない?」
「いや、シオン。そこまで頼るわけには」
「あらー。ふたりとも転生前は日本人だったのかなー。謙譲の美徳は大和撫子のウチらに任せて、ガンガン使って魔物倒してよね」
「シオンの口から謙譲の美徳が出るとは」
「なんかいった、ミナト?」
「いえなんにも」
ノアとラウリがギルドの貸金庫へお金を取りにいく間、天気がよかったのでボクたちは日向ぼっこがてら中庭で待つことにする。土嚢の壁にもたれ、手にした模造剣の切っ先で地面に絵を描いて遊んでいた。そこへロスヴィータさんが寄ってくる。
「あのふたり。最近停滞気味だったけど、やる気出したようね。お嬢さんたちのおかげかな。戻ってくる間に暇潰しで剣に関する実践的アドバイスをしましょうか。私も昔は転生した冒険者。貴女たちと同じスピードタイプに覚値を振り分けてたわ。スピードタイプに振ったなら戦法はたったひとつ。ヒットアンドアウェイよ。ドラマや映画で華々しく切り結ぶ剣戟を見て育ったでしょうけど、実際にそんな戦場はないわ。『剣術に受けなし』っていわれるくらい。相手の剣を受け止めているようじゃ乱戦の戦場ではまず生き残れない。なぜなら受け止めるということは動きが止まるということ。相手に相対して相手しか見えなくなるということね。でも敵は右にも左にも後ろにもいるの。動かない貴女たちの背中なんて絶好の的。後ろからひと突きで、どこの誰に攻撃されたかもわからないうちに死ねるわ。1対1の決闘でも受けちゃダメよ。スピードタイプはあまり筋力に覚値を振れないから、押し負かされるわ。私は冒険者時代スピードタイプで、引退した時点で筋力には26しか振れてないの。でも多分貴女たちより多いはず。ひとりずつ剣を構えてみて」
まずボクが剣を構えるとロスヴィータさんが剣を持って接近しそっと剣を合わせる。
「これが鍔迫り合いって状態ね。ミナトさん全力で押してみて」
全力で押した。力の腕輪で底あげされているから腕力20あったが、ロスヴィータさんはびくともしなかった。ボクの全力プッシュが息切れした瞬間、ロスヴィータさんが押してきた。足を踏み替えて踏ん張る余裕もなく、押し潰されるように膝を突いてしまう。
「シオンさんも構えて。全力で押してね」
同じことが繰り返される。違いはシオンの口から漏れた「うきぃー」という鬨の声だけ。猿か。
「押し負けたら、不自由な体勢で次の攻撃を凌がなくちゃいけない。よほど幸運じゃなければ斬られるわ。貴女たちのステータスに表示されている職業は『冒険者』よね。決して『騎士』や『兵士』じゃないでしょ。『騎士』や『兵士』はときに国や主君に忠義を尽くさなくてはならず、自身の命よりも優先して役割を果たさなければならない場合がある。でも冒険者にそんなものはないの。忠義を尽くすのは『生き残ること』その1点のみ。たとえクエストが失敗しても、生き残れば次の機会がある。だから死にそうになったら逃げるし、そもそも死にそうになるような戦闘はしないわ。どうしても戦闘になってしまったらできるだけ自分は安全に敵を倒す。その極意がヒットアンドアウェイよ。じゃあ、ちょっとだけ実践してみましょうか。ふたりがかりで構わないからかかってきて」
いいのかなって目でシオンが見てくるので頷いてやった。ロスヴィータさんが構える。視界の端にシオンを捉え、シオンの突進に合わせてボクも急接近する。ロスヴィータさんが1歩引いてほんのわずか左へステップした。0.1秒の反応時間でボクとシオンも軌道を変える。けれど脚が地面を踏み、上半身がわずかに捻られ始めた瞬間、ロスヴィータさんが急制動をかけ半歩右へステップした。バスケで鍛えた感覚でシオンが反応しボクが少し遅れる。ふたりの身体が接触した瞬間、ロスヴィータさんが驚くほどの反動制御で左に身体を振ると同時に踏み込み、寝かせた剣先でボクの手を叩いた。かなり軽く手加減してもらったのだろうけど腕が痺れて剣を取り落としそうになる。
「もう1回行きましょう。今度はぶつからないよう離れていてもいいわよ」
ボクが頷いて横に回る。シオンとアイコンタクトを取り、同時に突っ込む。ボクはロスヴィータさんの背中に回り込むように円を描いた。しかし、とんでもなく素早いジグザグの動きに翻弄されその背に届かない。結局ロスヴィータさんがシオンの横をすり抜けながら脇に抱えるほど倒した剣の腹でシオンの脇を叩く。うきゅっとシオンが変な声を出した。
「1対複数のときは特に、じっとして受けていると複数の方向から斬り込まれる。なのでつねに動いて撹乱して、相手にいい位置取りをされないよう相対位置を把握するのがだいじ。すぐ突っ込むんじゃなく1歩引くだけで周囲の状況が広く見渡せるわ。そして耳も皮膚感覚も動員して背後の動きも把握するように立ち回れば生き残る確率があがる」
1対2の追いかけっこを後2回やらせてもらった。引退した冒険者とは思えない軽やかな足捌きに翻弄されっぱなし。結局1度たりとも剣を振る機会なく打たれまくる。真剣だったら手や脚や腹が断ち切られて血ダルマにされただろう。ノアたちが帰ってきた。
「ボーイズが帰ったから、最後にもうひとつだけ考える手がかり見せてあげますね。『剣に受けなし』っていったけど、どうしても受けなくちゃならないときもある。そんなときは『受ける』じゃなく『受け流す』の。簡単に習得できる技じゃないけど、そういうやり方もあると知っていろいろ研鑽する手掛かりになるでしょう。じゃあ、ミナトさん上から斬りおろしてきて」
「あ。はい」
相対し上段に構え、遠慮する方が失礼だと思ったので全力で振りおろした。ロスヴィータさんの剣がゆらっとあがり、ボクの剣と交錯したように見えた。ギャリンっと金属の打ち合わされる音を予想したが、なにかぬるっとした手応え。微かなチュインという響きと共に手首が勝手に捻れる。気がついたら剣が絡め取られ床に落ちていた。
「これが受け流し。剣をぶつけて強引に相手の剣の軌道を変える場合もあるけど、ぶつけるよりは剣身を添わせて最小限の力で相手の剣のベクトルを変える。そのまま回転させればいまみたいに剣を手放させることもできるわ。ただこれは精密なタイミングとコントロールの技。タイミングがずれたら斬られるのは自分だってことを忘れないで」
「あ。ありがとうございます」
「いーえ。大口取引のお客様にほんの心ばかりのお礼ですよ」
ロスヴィータさん。かっこえー。ノアたちが支払いしている間に、ボクはいまのロスヴィータさんの動きを脳内で何度も再生し記憶に焼きつけていた。なんというか、剣を使った合気道みたいだと思う。あっちの世界でさまざまな武道の動画を観まくったのは無駄じゃなかった。自分の身体や腰の動き、手首や肘や肩の動きと可動域と回転モーメント。相手の手首や肘関節の可動域と力のベクトルやモーメント。なんとなくだが『受け流し』の理屈がわかる気がした。弾代のことをすっかり忘れていたふたりに鷹揚に頷き、追加出費で火炎弾10発分の金貨2枚を認める。ロスヴィータさんにお礼をいい、手を振って店を出た。買い込んだ武器はギルドの貸し倉庫に預けるというふたりとギルドに戻る。そんなの持ってたんだ。僕たちも荷物が増えたら考えなくちゃな。貸金庫から金貨5枚を出してパーティ共有貸金庫に追加する。4人で5枚ずつ追加して20枚になった共有金貨からランチャーとシールドと弾の代金の超過分金貨4枚を差し引き、立て替えていたラウリに返す。共有財産が金貨16枚に。その後いったん宿に戻り温泉入ったり身支度したりして夜を待ち、パーティ結成記念で4人して酒場に繰り出した。