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指導とワガママ3

前世で社会人になって3年目に、初めて新人教育を任された。

その任された新人の女の子はとても素直ないい子で、教えたことを一生懸命こなしていた。

でも、同じミスをよく繰り返していた。


最初の頃は私もその都度伝えていたが、彼女は「すみません」と素直に謝りはするが、なかなか直らなかった。

そのうちに私もミスの指摘をせずに、こちらで訂正しておくようになった。

いい子だから怒りにくかったというのもあった。


そして新人教育が終わり、数ヶ月した頃に事件は起きた。

彼女はまた同じミスを繰り返してしまい、しかも運が悪いことに、私が有休消化で休んでいる日に上司にバレて大目玉を食らったのだ。

翌日出社して、この話を聞いた私は、彼女だけが悪いのではなく、新人教育の間に気付いていたミスをする癖を、きちんと自覚させずに、なあなあにしてしまった自分の責任だと上司に告げた。

もちろん彼女にも謝罪した。


その時に学んだ。人は誰しもミスをするし、癖は自分では気付きにくい。

しかし、それを自分自身で自覚することが、ミスを減らす1番の方法だと……。

彼女のミスを指摘するだけでなく、ミスしたところを本人にやり直しさせるべきだった。

何度でも自覚するまで。



「ねえエマ、今回は私が気付いたから良かったけれど、もし別館にお客様を招いた時だったら、どうなっていたかしら?」

「……」


言われて理解したのだろう、エマは唇をきつく結んだまま俯いている。


「これからは拭く時に気を付けることと、拭き終わった後にチェックをすること。これを徹底してね」

「はい、かしこまりました。それでお嬢様、その、私への罰は……?」

「えっ?」


(なんかさっきも罰とか言ってたわね)


「ミリー、このお屋敷ってなにか罰を与えるルールでもあるの?」

「……いえ、そんなルールは全くございません」

「罰なんてないんだって。エマこれからも頑張ってね」


私が笑顔を向けると、エマはホッとした顔で何度も頭を下げた。


(ふふっ、これで使用人への指導はクリアね。次は食事へのワガママかぁ……)


考え込みながら歩くイリスの後ろで、ミリーとオリバーが顔を見合わせていることにイリスは気付かなかった。


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