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勉強会1

読みに来て下さり、ありがとうございます。

家族が溶連菌にかかってしまい、バタバタしております。

なんとか更新できましたが、少し短めです。すみません。


早いもので、この学園に入学して3ヶ月が経った。

最初は、同じクラスの攻略対象者とヒロインにビクビクと怯えていたが、今のところは特に関わることもなく過ごせている。


私の取り巻きになろうとしていた令嬢達も、お昼休みはアルフレッドと過ごすことで接触を減らし、教室でも関わらないように逃げまくった。

さすがに脈が無いことに気付いたのだろう、いつの間にか声をかけられることはなくなった。

心は少し痛んだが、断罪へのフラグになりそうなものは、なるべく折っていきたい。


ヒロインはクラスでも目立つ存在で、明るくて、誰に対しても朗らかに対応している。

その中でも、下位貴族や新興貴族の令嬢達と仲良くしているようだ。

攻略対象者のクラスメイトの2人とアルフレッドとは、目立った接触は無いように見える。

しかし、担任のウィリアム・クルス先生とは仲良く喋っている姿を何度か見かけた。


(ウィリアムルートに入っているの?)


それならイリスが断罪される可能性は低い気がする。

とりあえず先生に目を付けられないように、しっかりと授業に取り組むように気を付けている。


そして私は取り巻き達が諦めた後も、また似たような状況になるのが怖くて、クラスで積極的に友人を作ることが出来ないでいた。

簡単に言うと、ぼっちだ。

選択的ぼっちというやつだ。


(きっと前世の経験がなかったらもっと辛い気持ちになってただろうなぁ)


私も前世の学生時代は、気の合う女友達と一緒に過ごしていた。

でも、大人になり社会人になると、1人で過ごす時間も気楽で平気になっていた。

今更クラスでぼっちでも、登下校とお昼休みはアルフレッドと過ごしているし、クラスは違うが同じ学年にはシオンもレイラも居る。


(案外、このまま平和に過ごせたりして……)


◇◇◇◇◇◇


そんな風に気を抜いていたからなのか……。


今日から一学期の後期試験のテスト勉強期間に入る。

試験日の10日前から、部活や放課後の役員会議なども全面禁止で、試験勉強に時間を充てろということだ。


私はほぼ毎日、アルフレッドに送り迎えをしてもらっていたが、このテスト勉強期間中は、前期試験の時から断るようにしていた。

ただでさえ、アルフレッドは王宮で公務もあって忙しいのに、貴重なテスト勉強時間を私の送り迎えで潰してしまいたくなかった。


いつもはアルフレッドを待たせてはいけないと、授業が全て終わるとすぐに馬車乗り場へ向かっていた。

しかし今日は私1人なので、初めて学園の図書館に向かっている。

図書館の中には本を読むスペースだけでなく、借りた本を持ち込めるカフェや、自主学習スペースもある。とシオンから聞いたのだ。


(前期試験はずっと自室に籠もってテスト勉強してたけど、あんまり捗らなかったのよね〜。ちょっとどんな所か覗いてみよ)



図書館に向かう為に中庭を歩いている時、ふと赤が視界に入り込んできた。

この広い中庭は日当たりもよく、お昼休みは外でランチを摂る生徒達に人気で、ベンチも沢山設置されている。

そのベンチの1つに赤い髪のデカい男が三角座りをしながら、うなだれていた。


(アーサー?)


この目立つ赤い髪は攻略対象者のアーサー・イワノフだった。

まさかこんな所で会うなんて…。

周りには他に生徒は見当たらない。


(よし、とりあえずスルーして…あっ!)


目が合ってしまう。

そのまま、じーっとこちらを見つめて来る。

さすがに無視は失礼な状況になってしまった…。


「あ、あの…こんにちは、イワノフ様」

「うん。こんにちは。君は同じクラスの……?」

「はい、イリス・バーンスタインです」 


挨拶だけして、そのまま立ち去ろうとしたのだが、なぜかアーサーがそのままじっと見つめて来る。

しかもその目は潤んでいる。


「えっと、こんな所で何をされているのですか?」


すると彼は嬉しそうに顔を輝かせた。

どうやら、話を聞いてほしかったらしい。


「実はこの前受けた前期試験の結果が悪くてさ、先生に後期試験は頑張らないと留年になるぞって言われて……」

「そ、そうなのですね」

「でも俺勉強苦手だからさ、どうしたものかなぁってここで考えてたんだ」


こんな所で考えずに、帰ってテスト勉強したほうがいいと思う。


「どの教科が苦手なんですか?」

「えっと、座学全部」 

「……」


思った以上だった。


「あ!イリスちゃんって前期試験どうだった?」

「わ、私は、座学はそこそこでしたが、実技のほうがいまいちでしたね」

「そっかぁ、俺と逆だね。俺は実技は良かったんだけどなぁ…」


いきなりの名前にちゃん付け呼びに動揺してしまう。


「座学は何位だった?」

「えっと、座学は総合で12位でした」

「すげーじゃん!イリスちゃん賢いんだね。いいなぁ」

「いえ、そんなことないです」


悪役令嬢なのに、トップでもなく10位以内に入る訳でもない微妙な成績です。

ちなみにシオンは2位、レイラは5位だった。


「あのさあ、良かったらなんだけど、俺に勉強教えてくれない?」

「えっ?」

「このままだと、俺ほんとにヤバくて…」

「あの、私、勉強を人に教えたこと無いですよ!」

「うん。大丈夫!」

「いや、大丈夫じゃなくて…」

「イリスちゃんは俺が留年してもいいの?」

「いや、それは、その…」

「どれか1教科だけでもいいから!お願い!」


そう言いながら、瞳をうるうるさせて見つめて来る。


なぜだろう。

シオンのようにかわいらしい顔をしている訳ではないのに、むしろ筋肉質でデカい図体をしているのに…かわいいと思ってしまう。


結局、押しに負けてしまい、放課後アーサーに勉強を教えることになってしまった。





誤字報告ありがとうございます。


こんにちわ→こんにちは


修正致しました。すみません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「こんな所で考えずに、帰ってテスト勉強したほうがいいと思う。」めちゃ笑ったw冷静なツッコミ好き!アーサーの瞳うるうる可愛い、強引だけど良い人そう!気になるな〜
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