表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女友達  作者: 早川由香
4/4

三人の章

<三人の章>


 もうすぐ卒業だ。


思えば私達三人はバラバラだった。クラブも研究室も進路も。卒業後の進路は沙希は大学院、美紀は病院、奈津子は製薬会社と異なる道を歩むことになった。学校にいる間の多くの時間を共に過ごしたが、配属や進路が三人が一緒になったことはなかったように思う。同級生の中には仲のよいグループでまとまって行動する子達も多かったが、三人は相談こそすれど、最終的には自分で決めた道を進んだ。わざとそうしているのかというぐらい三人の選ぶ道は違っていた。

「本当に被らないね。」と、いつも笑いながら話していた。馴れ合いを好まない三人にとって他人の意見に流されない自立した関係は居心地が良かった。それでいて自分の意見を他人に押し付けることもなく意地を張り合うこともなかったのでこの四年間三人でうまくやってこれたのだと思う。


 こんなにも性格の違う二人と四年間けんかもせずに毎日楽しく過ごせるとは知り合った当初は思わなかったなあ、二人に初めて会った時のことを思い出す。たまたま席が近かった。派手な化粧と服装で目を惹いた奈津子。見た感じお嬢様で不安そうに辺りを見回していた美紀。大人しそうな美紀はともかく、きつそうな奈津子とは気が合わないだろうと警戒していた。それが共に過ごすにつれ最初のイメージは変わっていった。付き合っていくうちに(毒舌なところはイメージ通りだったが)奈津子に悪意は無く場を盛り上げようとしているだけだと気づいた。意外だが美紀も奈津子に負けずと毒舌だがお喋り好きで三人でいるといつも盛り上がり、心の底から笑えた。沙希は二人といて毎日本当に楽しかった。

彼氏ができたら真っ先に二人に相談しよう。参考になるかどうかは微妙な二人だが学生時代と変わらず三人ならまた楽しい時を過ごせるだろう。



あーあ、早く結婚して優雅な主婦になりたいな、なんて薬剤師になってバリバリ働くぞという入学当初の志はどこへやら。この四年は楽しかったな。理想の高い沙希にはついに彼氏ができなかったな、なっちゃんはドラマみたいな恋愛してたな、思わず笑ってしまう。何気なかったが楽しかった会話が次々に思い出されて楽しい気持ちになると同時に涙がこぼれそうになる。本当に楽しい四年間だった。大学は大嫌いでも二人(と彼氏)がいたから四年も我慢して通えた。二人には感謝の気持ちでいっぱいだ。本当に共通点の少ない性格だったと思う。けれどそれが分かった上でお互いを認め合えたことが何より嬉しい。友達も捨てたもんじゃない。今まで彼氏に固執していた美紀にとって新しい発見だった。

もう毎日二人に会えなくなるのか、寂しい。これから働き出しても会えるかな、二人から元気をもらえなくなるなんて、と弱気になってしまう。学生でいたいなあ。


 濃い大学生活だった。彼氏が複数できたことも、死ぬほど愛されたことも、手術をしたことも何もかも予想外だった。一番は親友ができたことだが。マイペースすぎる奈津子は周囲に馴染むのが苦手だったが、馴れ馴れしい関係を求められず自分の思った通りに行動しても二人から非難されることもなかった。二人も、気の弱い美紀でさえ自分の意見は持っていた。そんな二人だから自分のことを受け入れてくれたのだろう。友達を作ろうという気はなかった、受け入れてもらおうとも。けれど知らず知らず二人に惹かれいつしか三人でいたいと思うようになった。

 二人と離れてしまうのか。卒業式には泣いてしまうだろうな、人前でまた泣いてしまう。卒業までに二人に素直に感謝の気持ちを述べることができれば、と思う。気持ち悪がられるだろうか、いや、きっと笑ってくれるだろう。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

小説を書くことの難しさを知りましたが書いていてとても楽しかったです。



もしよろしければ、感想、評価を頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ