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しばしのお別れ

「お疲れ様」

「疲れたわ」

「見事な花束ね」

「そう。急に辞めたのに送別会してもらっちゃったの。いい会社だったわ」

「それは良かったわね。あんたその足でここまで来たの?」

「いいじゃない。あんたにも色々迷惑掛けたんだし一言言いたかったの」

「じゃあ、今日はあんたの奢りね。まあ、ね。新居に移るのはいつ?」

「来週の水曜日。って、嫌よ! あんた飲む気でしょ!? 引っ越しするのに結構お金使うんだからないわよ」

「ケチね。仕方ないからあたしが奢ってあげるわ。……待って! 送別会したのだったらケルヴィン様は!? ケルヴィン様は送別会どうしてたのよ! まさか……」

「何もないわよ。女の子たちに囲まれてちやほやされてたから近付きもしなかったわ」

「それならいいけど、ストーカーだから……引っ越しまであたしんちに泊まる? 引っ越しが決まって油断してたらぱくりって可能性もなきにしもあらずよ」

「怖い事言わないでよ。兄さん……ていうか、姉さん……今世の兄さんがあんな妖艶な美女になってるだなんて思ってもみなかった」

「あたしもよ。まあ、前世と全く同じだったらそれもそれで怖いけど、あたしも男に生まれちゃってたからちょうど良かったんじゃない?」

「そういや、あんたって……工事したの?」

「……してない」

「あれ? そうだっけ?」

「だって、メス入れるとか怖くて……他の人がやったって聞くたびにあたし……」

「あー……確かに怖いもんね」

「うん。ヒアルロン酸注射ぐらいしか無理だったわ」

「……似たようなもんじゃん」

「違うわよ! 切ったり縫ったりするんでしょ! 注射ならちょっとチクッてするだけじゃない!!」

「いや、まあ、そうなんだけど……」

「で、今日は泊まるの? 泊まらないの?」

「泊まろうかな?」

「そうね。着替えはあんたが前に泊まってった時に買ったのが残ってるからあれ着なさい」

「分かった。でも、に、姉さんはいいの? あんたんちに泊まってっても」

「いい。というか、三人で川の字になって一緒に寝ましょ」

「狭いじゃない」

「思い出話しするんだからいいの」

「どっちの?」

「どっちでもいいわ。だって、この三人でゆっくりできるだなんて思ってもみなかったもの」

「そうよね。私もまだびっくりしてる。もしかしたら他にも私たちの知り合い生まれかわってる人いるのかな?」

「もしかしたらいるかもね。誰だったら嬉しい?」

「兄さんが生まれかわってたから……そうね父さんたち。最後が最後だったからお別れなんて出来なかったし」

「なるほどね」

「あんたは?」

「あたしはロージャン様だけで十分よ」

「ノロケか」

「というか、あたしの場合は刺されそうじゃない」

「いきなり物騒な話しになった」

「だって、前世は男遊びしてたのに、今世こんなのよ」

「夢が壊れるから? でも、あんた昔は美少年だったんだからその変なメイクと派手なヅラやめたらいいだけじゃない?」

「これは、もうないと外歩けないの。あたしの戦闘服だから」

「近くのコンビニにもそれで行くの?」

「むしろ、化粧の途中でサンダルやスエットで行く方が職質されちゃうのよね、何でかしら?」

「よく捕まんなかったわね」

「悪い事してないもの当たり前でしょ!」

「ごめんごめん」

「誠意が足りないわ。でも、奢ったら許してあげる。奢りなさいこのあたしに」

「無理」

「知ってる。仕方ないから引っ越し祝いに奢ってあげるわ。マスター、ジプシーちょうだい」

「ありがとう。でも、同じお別れだったらギムレットの方がいい。あいつとはもう関わりたくないもの」

「もう注文しちゃったからいいじゃないどっちでも」

「そうね。ついでにギムレットも奢りなさい」

「嫌よ。図々しいわよ」

「ケチね」

「奢ってあげるのに生意気ね」

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