喧嘩をしてもその日の内に仲直り
「ねえ、あの人が私の兄さんって本当? めちゃくちゃいい匂いしたんだけど」
「変態。あれはあたしのよ」
「いや、でも、さ、すっごいゴージャスな美女……って、誰が変態よ!! あんな美人が来たら誰だってああなるでしょ!」
「そうね。でも、ロージャン様はあたしのだからあげないわよ」
「いらないわよ。というか、同性だから」
「今時同性でも」
「変な道に誘わないで。それにあの美女あんたのだって言ったばかりじゃない!」
「そうだった」
「兄さん、というか、姉さん……ややこしいわね」
「あたしとロージャン様が結婚したら余計ややこしくなるわよ」
「……私あんたの事義姉さんって言わないといけないの?」
「それでもいいわよ」
「……想像したら頭痛くなってきちゃった。待って、義兄さん?」
「そんなのどっちでもよくない? あたしはこんなんだもの。頭痛いって大丈夫なの? もう帰って休んだら? あたしたちが無理言って転職させるんだから、体調崩されたら余計気になるもの。今度引っ越しは手伝うわ」
「それは助かる! 引っ越し業者どうしようか迷ってたから。それで、今日も送ってってくれるんでしょ?」
「ロージャン様と決めたからね。でも、連日美女たち連れ歩いてたら近所で噂になっちゃわない? 引っ越し当日はあたしのオネエ仲間も呼ぶから大騒ぎになっちゃうかもね」
「美女は兄さんだけ。あんたはただのオカマ。……妖怪大運動会みたいになってももう引っ越ししちゃうからいいわよ」
「オカマの中ではかなりの美人よ!! 失礼な女ね! だから男が寄り付かないのよ! もしかしてケルヴィン様以降ずっと男日照りなの? ああ、やだ女の嫉妬は醜いわよ」
「んな訳ないでしょ! 私が失礼だって言うならあんたも十分失礼よ!!」
「ふんっだ! もう送らないわよ」
「ごめん。一杯だけ奢るから許して。マスター、モスコミュールこいつにちょうだい」
「感謝してるならこれからもずっと奢りなさいよ」
「それは無理」
「なんでよケチ」