晴れやかな心で
「ダメだった」
「何が」
「新しい恋人作り」
「結論出すのはまだ早くないかしら? だって、この間あんたがここで愚痴ってから2週間ぐらいしか経ってないけど? 収穫なかったの?」
「そうなの。合コンは人集まらず解散。婚活パーティーにも一応参加してみたけど、イマイチで近場で探すかって会社で探してみたんだけど、なんか、前より男たちに避けられるようになったような気がするの!!」
「それって、あんたの目がギラギラし過ぎて怖いとかじゃないの?」
「えっ、そうかな?」
「鏡見るなら男見る時に見た方がいいんじゃない? ここにいるのはオカマと枯れ木のようなマスターぐらいよ」
「そっか、うん。そんときは気をつける。で、誰か紹介して」
「あたしの? ちょっとあんたこの間あたしに男取られるだのなんだの言っといて紹介しろはないんじゃないの?! 図々しいわ!!」
「ごめん。でも、こんなに見つかんないんじゃあんたに頼むしかないのよ」
「でも、ケルヴィン様が現れてからまだ1ヶ月も経ってないんでしょ。そんなに焦んなくたってその内見つかるわよ」
「その内っていつよ! その内その内言ってたらおばあちゃんになっちゃうじゃない!」
「焦り過ぎよ。あたしらまだ若いんだからこれからいくらでも出会いはあるわよ」
「そうね。焦り過ぎてたわ。あいつから離れたいばっかりになんとしても男探さなきゃって思ってたわ」
「あら、分かってくれて嬉しいわ。で、ケルヴィン様どうなの? なんか進展あった?」
「あるわけないでしょ。というか、向こうは色んな子と噂があるみたいで、全く進歩してる様子なかったわ」
「ちょっと! 1ヶ月経ってないのに噂が立ってるってどういう事よ」
「知らないわよ。既に修羅場二回ぐらい会社でやってて今日上に呼ばれてったわ」
「え、じゃあ、ケルヴィン様クビ?」
「にはなんないけど、注意されたって後輩ちゃんたちに言ってたわよ」
「そうなのね……って事はあんたが男探すより先にケルヴィン様の方が先に退場する可能性もあるのね」
「そうなの」
「だからあんたすぐ冷静になれたのね! まあ、嬉しそうに笑っちゃって!」
「もう嬉しくて嬉しくてあいつが辞める事になったらお祝いするつもりよ」
「あら、じゃあ、あたしからもお祝いしなくちゃね。マスター、エバ・グリーン二人分ちょうだい」