洗礼の儀2
昼食を食べ終えヨル達は教会へ向かい歩き出した。
「いよいよだな」
「そうね」
「まぁ2人ともそんな気負う事はないよ」
「でもなぁ〜、これで良いスキル貰いたいと思うし」
「確かにそうだが、スキルよりお前達が日々身につけた事の方が大事だ。」
「そうだよ、2人の今までやった事はこれからの生活するなかで裏切らないしスキルは後から鍛錬や勉強して身につく事もあるんだから。」
「カミーユさんの言う通りだぞ、洗礼は神様からのちょっとした誕生日祝いだと思えば良い。」
「そうですね、お父さん、ユーティスさんありがとう。少し気分が楽になったわ」
「そうだなぁ」
この洗礼の儀を行うのは教会で少し大きい街なら大抵はある。教会は主に孤児の受け入れ、相談、礼拝を行なっている。また、冒険者のケガなどの治療や呪の解呪も行なっている。
「やぁ!良く来たね2人共、もう君たちも10才になるのですね。早いものです。」
この、穏和そうな顔で真面目な50代の叔父さんはこの教会で神父をしているディスカス神父だ。
「「こんにちは、ディスカスさん」」
「お久しぶりです。ディスカス神父」
「はい、こんにちは。ユーティスさんもお久しぶりです。」
「ディスカス神父今日は2人の事よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「えぇ、もちろんです。立ち話もなんですからとりあえず中へどうぞ」
教会はそんなに大きくはなくカトリック教会の様な造りをしており、どこか懐かしく古びた感じだが綺麗にされている。
「今、飲み物を用意しますね。」
「「お気遣いなく」」
「いえいえ、私はこうしてユーティスさんとカミーユさんが洗礼の儀を受けた時に、まさか2人のお子さんがこの教会で洗礼の儀を受ける日が来るとは思わなかった。それが凄く嬉しいのですよ。」
「その節は色々お世話になりました。」
「ヨル君は冒険者になるんだろ?ユーティスさんみたいにこれから此処に来ることも多くなりそうだね。」
「あぁ!あまりお世話になりたくないけど、その時はよろしくです。」
「ハァハァハハ 君は本当に凄いね。普通、冒険者をやる子供たちはケガはしないとイキがるのにね」
「ケガをしない高ランク冒険者なんかいないよ!俺もそこまでバカじゃない」
「ハァハァハ ユーティスさんに厳しくシゴかれてるみたいだね。ユーティスさんは(ケガなんかしなねーよ)っていきまいてたけどね。ハハハ」
「今思い返しても恥ずかしい。洗礼を受けた三日後にはケガをして仲間に運んでもらった事を思い出しますよ。その分ヨルには厳しくしたからある程度は大丈夫だろう。」
「ヘェ〜、ユーティスさんもヤンチャだったんですね。 ふふふ」
「ミーシャも気をつけるんだよ。依頼よりまずは自分の安全が大事だ。しっかり忘れずにね。」
「わかっているわ、冷静に判断するわぁ」
「そんなんだったんだなぁ父さん、だけど俺は父さんより早く高ランク冒険者になるからな」
「あははは!期待してるよ。それにこれからも鍛錬は厳しくやるからな」