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勇者以上魔王以上 特別編 〜黒装束の策略〜<後編>

作者: コロコロ

最悪の出来です……ギリギリ間に合いませんでしたし。

〜アルス視点〜



「アルス、そっちだ!」

「せい!」


右から襲い掛かってきた男子を切りつけ、蹴り飛ばす。


「!リュウノさん!」

「はぁ!」


背後から襲いかかってきた女子に、振り返らずにカタナを突き刺すリュウノさん。あの華奢な腕一本で自分の倍はある体格の男子を投げ飛ばし、まるで踊るかのように敵をなぎ倒していく。しかもその動き一つ一つに無駄がない…すごいなぁ…。




「は!せいや!」

「はぁぁあ!!」

【ガギィンギィンズガァァァン!!】




…………あっちはもっとすごいですけど。


「うわぁ…リュウくんとアオイさん、すごーい…。」

「うむ…何気に周囲の敵も巻き込んでるしな。」


感嘆する魔王と、少々呆れながらも圧倒され気味のあちらさんの魔王…え〜っと、マーくんさん?でしたっけ?


…いやでもホントすごいです。リュウジさんの気功術といい、アオイさんの魔法といい、どちらも接戦です。互いに目で追えない速度で剣を打ち合ったり、炎や雷や魔力弾を飛ばし合ったり、周囲の敵を盾にしたり投げ飛ばしたり(!?)で……



…真似できません、ホントに…。




「てりゃあああ!!」

「むん!!」

【ギィィィィィィン!!】




そして今度は二人が鍔迫り合いに持ち込んだ時に生まれた衝撃波で、周囲の物や人を吹き飛ばす。ボクらは離れた位置で戦ってますから大丈夫ですけど、二人の近くで戦っている人達は大被害を受けていた。おかげでもう廊下の原型は保てていなくて、校舎は半壊、狭い廊下は一気に広くなっていた。


まさに人外バトル…って言ったら絶対リュウジさんに殴られるので黙っときます。


「!クルルちゃん!」

「えい!」


ユウキさんのバックアップもあって、魔王も順調に敵を倒していってる。


「このクソメガネ積年の怨み思い知れええええええええ!!」

「えぇぇぇ!?僕何か恨み買うことした!?てか初対面でしょあなた!?」

「うおおおおおおお!!!優貴に手を出す屑は私が許さああああああああん!!!」


……リュウノさんもすごい戦力になってるんですけど、基本的にユウキさんに襲い掛かってくる敵ばかりを倒していってる気がしてなりません。


「魔王、そっちです!」

「アキラ、余所見をするな!」


あちら側の魔王と勇者も一緒に戦ってくれているので、苦戦することなく順調に敵を打ち倒せています。この調子なら全滅させることも可能です。


…でも…




「『龍閃弾・双牙』。」

「ダブルショットー!!」

【ドドォォォォォン!!】




…全滅させたとしても、こっちの戦いは終わらないだろーなー……。


「!アルス、後ろよ!!」

「くっ…!」


えぇい、思考中断!!


「いきます!『ホワイト・ライン・スラッシュ』!!」

【ゴォウ!!】


ボクの奥義の一つで、光の力を剣に注ぎ込み、地面を切り裂きつつ振り上げて純白の衝撃波を飛ばす。


「がああああああああああ!!??」


光に飲まれた敵は、跡形もなく塵に帰った……あの、これ死なないんですよねホントに?


……それにしても……。


「アルス、ボサっとしない。次次!」

「…う、うん。」



…さっきから敵の様子がおかしい。



「うがああああああああああ!!」

「ぎええええええええええええ!!」



つい先程までは、ちゃんと人の言葉を話していたのに……いつの間にかケダモノのような唸り声や叫び声を上げるようになっている。


しかも目が……何か赤くなってないですか?



「アルス!上にいるぞ!」

「はぁああ!!」

「ぐげほぉ!?」


リュウノさんの声と同時に上段回し蹴りを放つ。蹴りは宙に浮いていた誰かに当たって、その人は吹き飛んだ。




……あれ?浮いていた?




「いって〜…何すんだイキナリ!?」


…………。


「…変態?」

「第一声それ!?」


いえ、だって……黒いヘルメットにそこからはみ出た白髪、それと薄汚れた作業服なんて見たら…


「誰だって怪しいと思うわよ。」

「んなぁ!?虫にまで怪しいって言われた!?」

「だ、誰が虫よおおおおおおお!!」

「お前だあああああああ!!」

「ちょ、二人とも落ち着いて!」


飛び掛ろうとする黒いヘルメットの人と、魔法を放とうとするフィフィを抑える。てかフィフィ、火炎弾放とうとしてるから熱い!


「と、とにかく落ち着いてください……って!!!」

【スパン!ガス!】

「いた!」

「ぎゃほ!?」


咄嗟にフィフィの頭を軽く叩き、黒いヘルメットの人の腹部を殴りつけた……ごめんなさい、あなたのは力入れすぎました。


「おごおおおおおおぉぉぉぉぉ………。」

「……。」



…あ、ちょっと本気でまずいかも。冷や汗がダラダラと……。



「……え、えっと……大丈b「よし復活。」早っ!!??」


回復力半端ないです!?


「ふぃ〜、危うく膀胱が外部からの衝撃で破裂するとこだったぜ〜。」


そして変に恐いこと言ってます!?


「……ちょっとアンタ、何なのよ一体?とゆーか怪しすぎるから近寄らないで。」

「おぉっと自己紹介忘れてたなぁって命令形かよ最後!?」


フィフィも結構キツい…。


「チェ、虫のクセに…。」

「んですってぇ!?」

「お、お願いですから話を途切れさせないでください!」


進みませんから!


「……あ〜、俺はこういうもんだ。」


そう言って、ボクに一枚の紙切れを投げ渡した。


「え〜っと?……………何コレ?」

「…自殺屋…ですか?」

「ジサツヤ?」

「とゆーより何だこの素っ頓狂な名前は。」

「“安全あんぜん 第二だいじ”って…普通そこは第一でしょう?」


あ、リュウノさんにユウキさんに魔王、いつの間にか来てたんだ。


周囲を見てみれば、ボクらに襲い掛かってきた敵は全員倒れ伏してて、今のところ敵は全滅、と見てもいいと思う。


「しかも社長代理の代理って……偉いのかどうかわかんないですよ?」

「偉いってことにしとけ。」


無茶です。


「…ところで自殺屋って何よ?」


フィフィが質問すると、ヘルメット被った……えぇと、ダイジさんは満足そうな笑みを浮かべた。


「死にたい! 逝きたい! 殺されたい! 自殺屋は自殺願望のある方に、満足のいく自殺を提供しますッ!」

「ふざけるなバカ。」

「ぐぶぉ!!」


リュウノさんが容赦のない蹴りをダイジさんの顔面に入れた。痛そう…。


「ぐほぉ……け、結構キツいが、こんなもの真慈のに比べれば…。」

「?シンジって誰ですか?」

「え?何か言った?」


あ、何か今カチーンてきた。


「……どうでもよいが、貴様は何故浮ける?」

「あ、ホントだ。」

「ずる〜い!私でも浮けるのはせいぜい四、五分くらいなのに〜!」


魔王、羨ましがることじゃないよ……。


「あれ、わかんないの?」

「わからないから言って……………。」



……ちょっと待ってください?常時浮いてるってことは……いや、まさか……ねぇ?



「………もしかして、幽霊さんですか?」


いえ、絶対、完全、明らかにあり得ないですよね?こんな明るい幽霊さんなんているわけな


正解しぇいかい!!」

「「やっぱしいいいいいいい!!!」」


ずさああああああ!!っと後ずさり!


「アルス、速すぎるぞ?」

「……龍乃さんは怖くないの?」

「私は確かに幽霊は苦手だが、優貴さえいれば平気だ♪」

「わぁ!?またくっ付く!」

「チキショー羨ましいじゃねぇかメガネコノヤロー呪い殺してやろうか?」

「えええええ!?じょ、冗談に聞こえないからやめてください!!」

「ゆゆゆゆ幽霊幽霊幽霊幽霊幽霊幽霊幽霊ええええええ!!!???」

「二人とも落ち着きなさあああああい!!!」




〜しばらくお待ちください♪〜




「はぁ…はぁ…ふぅ…。」

「落ち着いた?二人とも?」

「…ごめん、フィフィ。」

「ふ〜……。」


ようやく幽霊もといダイジさんに見慣れたところで、落ち着いてきた。


「いやぁそこまで可愛い反応されると、何だか幽霊になった甲斐があったもんだ♪」

「日本語変ですよ…。」


ユウキさん、ボクも同意します。


「とゆーか怪しいから成仏して?」

「とゆーかの意味わかんねぇし!?」

「ごめんなさい、成仏してください。」

「え、俺何か悪いことした?ねぇ?」


幽霊は苦手なんです、ごめんなさい…。


「……まぁそんなのどうでもいいけど、幽霊であるアンタが何でこんなとこにいんのよ?」


…まぁフィフィの言う通り、どうしてこんな物騒なとこに…あ、物騒だから!?物騒だから幽霊出たんですか!?いやぁぁぁぁぁ!!


「アルスよ、少し落ち着け。」

「す……すいません。」


さり気なく取り乱してたようで、リュウノさんに窘められた。


「え?何でか?んなのノリだ。」


ノリ!?


「ノリでこんなとこ来るんですか!?」

「いや、何かおもしろそうじゃん?」

「おもしろくないです!!」

「とゆーより迷惑だよー!」

「ひっで!?」


う〜、ただでさえボクら幽霊苦手なのに〜!


「アンタ達、いい加減幽霊とか慣れなさいよ。」

「「無理です!!」」

「即答!?」


……いえ、とゆーかそれよりも………




「そらよっと!」

「何の!」

【グァキンキィン!ドォン!】




…………リュウジさん達が戦ってる場所から、どんどん校舎が無くなっていってる気がする………。


「……なぁ、あれなんだ?」

「えぇっと……。」


幽霊であるダイジさんが戸惑うくらい凄まじい破壊のされようなんですよ今の校舎。


「……おいおい、このまんまだと当初の目的が……。」

「え?」

「いや、何でもねぇ。」


今なんか呟いたような?


「つーか、あれ止めねえのか?」

「止めれるならとっくに止めてます。」

「即答だねアルス…。」

「……しゃーねぇ、俺が止めてやる。」

「?ダイジさんが?」

「俺以外に誰がいる?」


……そりゃそうですけど……。


「大丈夫だ!俺はあの安全 第二だぜ?あれくらい簡単に止められるっつーの!」

「………。」


“あの”って言われましても、あなたのことは全く知らなかったんですが……。


でも考えてみたら、ダイジさんて幽霊だし…もしかしたらすごい術とか使えたりして…。


「……お願いします。」

「任せろ!」


ピュ〜っと激闘を繰り広げている二人のもとへと飛んでくダイジさん。


「……あれ、大丈夫なの?」

「……私は不安でしょうがないのだが……。」

「……大丈夫ですよ。信じてみましょう。」


と言うボクも正直すごく不安なんですけど……。




「お前達、やめないか!」

「邪魔だよ!」

「どけ。」

【ザシュドシュ!】

「ぐは!」

「おりゃあ!」

【ドス!】

「ぐほ!」

「せい。」

【ボギィ!】

「ぎゃは!」

「「どっこいせええええええええええ!!!」」

【ドオオオオオオオオオオオオオン!!!】

「オモロオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」




…………………………………………。


【ドスン】

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」


「………負けちった♪」

「「役立たず。」」

「ぐほぉ!?」



黒こげになって吹っ飛んできたダイジさんに冷たい言葉を投げつけるリュウノさんとフィフィ。



「……ダイジさん、カッコ悪い。」

「……反論できません。」

「僕も。」

「……………グスン。」


…ボクの不安は的中しました。


「うぅ……あいつら、霊力高すぎ……。」

「?何の話よ?」

「……別に。」


いえ、そんな膨れッ面になっても可愛くないですし……。


「でもどうする?あのまま放っておけばいずれ私達にも被害が及ぶぞ。」

「ですよ……ねってきゃああ!?」

【ドスン!】


リュウノさんが言った傍から瓦礫がボク目掛けて飛んできて咄嗟に避けた。危うく潰されるとこでした。


「ほ、ホントに危ないですね……ってうわぁ!?」

【ドオオオオオオン!!】


一際大きな爆発が起こり、大小様々な大きさの瓦礫がボクら目掛けて飛んでくる。


「!やば!『壁よ、遮れ』!!」


フィフィの声が響き渡り、ボクらの周囲を見えない壁で覆った。おかげで飛んでくる瓦礫は全て壁の前に弾き返され、粉々になっていった。


「あ、あっぶなぁ〜……ってあれ!?二人は!?」

「え?」


ふと気が付けば、二人がいなくなっていた。


「外だ!」

「追おう!」

「は、はい!」


ボクらは躊躇わずに二人が開けた大穴から外へ飛び出していった。




「お〜い、置いてくなよ〜!」




あ、ダイジさん忘れてました。







〜龍二視点〜



「でや!はぁ!せい!」

「むん!でい!そら!」

【キキィンガキバシィギギギィン!!】


お互いB号館の壁を破壊し、剣を交えながら外にある中庭へと飛び出していった。


ただ、超高速で剣を振ってると同時に、低飛行しながら戦っている為、常人では俺らの姿を捉えることはできねぇ。現にこうして解説してる間にも葵はドンドン攻めてきている。かといって俺だっていっつも受けっぱなしなわけがなく、こちらからもガンガン攻めていっている。


「は!」

「ふ!」


一瞬で互いに離れ、距離をとる。


「食らえー!ちょりゃあああああ!!」

「『龍轟咆りゅうごうほう月華げっか』!」


葵の上段振り下ろしからの魔力による真空刃と俺の炎で形成された三日月型の氣斬撃が互いに迫る。


【ドォォォォォォォォォン!!】


で、とんでもない衝撃波が周囲を襲い、無差別に破壊する。だがそんなの関係ない俺らは、煙の中に突っ込んでいく。


「とりゃりゃりゃりゃりゃあああああ!!」

「そらそらそらそらそらああああああ!!」

【ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!】


回転しつつ、互いに剣を振って火花を散らす。その剣戟の速度は風を切り裂き、同時に地面に亀裂を入れる。


「よっと!」


とっさにバック転をして俺は距離を離し、エルを大きく振り上げる。


「『龍王りゅうおう…』」


【ゴォ…】


「『爆斬衝ばくざんしょう』!!」


炎を纏ったエルを思いっきり振り下ろし、地面に叩きつける。



【ドオオオオオオン!!】



「!?にゅわあああああ!!」

「うおっとい。」



……ってこの技、発動時に起こる爆発によって俺まで吹っ飛ばされるの忘れてた。


で、おかげで俺と葵は仲良く宙を舞い……



【ドガシャアアアアアアアアン!!】



そして仲良くどっかの建物の屋根を突き破った。



「いったぁぁぁぁぁ!」

「よっと。」

【ドス】


葵は惜しくも着地に失敗、俺は見事に着地成功。まぁ、葵の場合は尻餅ついただけだから別に大したこたぁねぇだろ。


「……一時休憩。」


エルを鞘に収め、葵のケツの痛みが引くまで周囲の確認っと………ありぇ?ここ体育館か。


さすが全校生徒が入るくらいの大きさだ、すんげぇ広いぜ。あれ?でもこんな床やわらかかったっけか?




「い……いでぇ……。」

「?葵何か言ったか?」

「さっきからず〜っと痛いって言ってるよ〜……いたたたた。」


ふむ、葵の口調とは違うな……どこからだ?


「あ、足元足元!」

「おりょ、メンゴ。」




誰か踏んでました。




「いっつつつ〜…………んだよいきなり……。」

「お?」


ブツクサ文句言いながら立ち上がったこの鎌持った黒髪野郎は………



「和也じゃねぇか。」

「へ?……って龍二さんだったのか!」



まぁまぁ、ご丁寧に聖涼とかいう高校の制服血みどろじゃねぇか。それ洗濯して落ちるか?まぁどうだっていいけど。


「お前、何でんなとこにいんだ?」

「いや、雑魚追っかけ回してたら体育館にいつの間にか…。」


あ、ホントだ粉砕された入り口の扉の前に一人男子生徒が倒れら。お疲れー、結界解けたら生き返ると思うからー。


「……そういう龍二さんは何で上から落ちてきたんスか。」

「あぁ、ちょいとな。メンゴメンゴ。」

「……謝る気ゼロかよ……まぁいいか。」


そういや、着地の時に床踏む音じゃなくて人踏む音だったなぁ……あん時気付けばよかったぜ。


『いやぁにしても、今回は私バリバリ使ってくれて超ハッピーなんだけど♪』

「黙っとけ鎌折るぞコラ。」

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。』


あ、そういやこの鎌喋れるんだっけ?え〜と確か『ディスティニーデビルブレイカー』?


『ははは、ザマァないな鎌よ。いつぞや私より便利と言っておきながら惨めなものだ。』

「お前も黙っとけや。」

『す、スマン。』


ま、こっちもウザったい剣いるけど?


『やーいやーい、怒られてやんのー惨めー。』

『んな!?き、貴様が言うなこの使い道ゼロの草刈鎌以下め!』

『んにゃに!?言ったな所詮包丁レベルのくせに!』

『何だと貴様ああああああああああ!!!』

『やんのかコラあああああああああ!!!』

「「黙れ★」」

『『すんませんでしたあああああああああ!!!!』』


うん、ホントクソやかましいなこいつら。折りたくなる。


「和也、大変だな。」

「龍二さんも大変っスね。」

『『意気投合してるし……。』』


お前らもな。ハモるな。




「コラァ!私を無視して和むなー!」

「いやお前悶絶してたじゃん。」


ようやく復活した葵が立ち上がり、プンスカ怒り出す。別に和んでもなかったんだけど?


「つーか二人は何してたんだ?」

「ん?ああ、バトってた。」

「お互い、勝ったらバケツプリンかバケツラーメン奢るんだよねー?」

「ほぉ?」


…………………うむ、和也の次の一言が予想できるな。


「………龍二さん。」

「何だ?」

「おもしろそうだからオレも混ぜろ!」



ほら見ろ的中。



「つまり三つ巴合戦ってことかい?」

「へぇ、おもしろそう。」

「だろ?」


いや、俺はもうぶっちゃけどうでもいいと思っているんだけどなぁ。大体、展開早すぎ。


…まぁ、一度受けた勝負を突っぱねる気分じゃねぇしな今は。


「……じゃ、さっさと再戦すっか。」

「おー!」

「うーし、オレの力見せてやるよ。」

【ジャキ!】


俺はエルで脇構えの形を取り、葵は剣を正眼、和也は鎌を振りかぶるように構える。それぞれ三角形を描くような立ち位置をとった。


「……。」

「……。」

「……。」


ジリジリと、互いに距離をはかる。今回は無駄口はなしだ。


「……。」

「……。」

「……。」


まだ動かない……………。






「「「うりゃああああああああああ!!!」」」



ここで三人同時に一瞬にして間合いをつめ、攻撃をしかける!










「はーいストップストップー。」

【ドゴン!】



突然響き渡った声により制止しようとしたが見事に三人同時にデコゴッチンした。いい感じに衝撃波が周囲に広がった。


「お〜こりゃいい音出たね〜。もっかい再現して欲しいくらいだ♪」

「いった〜……もぉ!誰よ!?」


あれ程の衝撃を受けたにも関わらず、俺らはピンピンしていた。そりゃ葵は肉体強化施してるし、俺と和也は普通の衝撃食らったって屁のカッパだし。


いや、そんなこたぁどうでもいいか。



「……ライターじゃん。」

「ピンポーン♪」



第三者の声の主は、黒装束を着込んで素顔を隠したこの大会の主催者、ライター。何か体育館の舞台の上で仁王立ちしてるし。しかも背中と腰から何か黒い棒出てるし。


「いやぁにしてもやっぱお三方がここまで来れましたかぁ♪」

「ちょっと邪魔しないでよ!今私達はプリン賭けてバトってるんだから!」

「ラーメンだろ?」

「オレはおもしろそうだから参加しただけだけどな。」


バトルの邪魔をされてご立腹の葵、そして俺と和也はどうでもよさげ、そしてライターは舞台の上で上機嫌(顔は見えないが何かそんな雰囲気)。何だこの対照的な図は。


「おぉっとっと、そりゃゴメンしたねぇ。」


全く反省した素振りも見せずに首をすくめるライター。


「でもぉ、もう戦う必要はナッシングさ。」

「…へ?」


?何言ってんのこいつ?


「そうそう。ルール説明ん時言い忘れてたけど、俺がいる場所、つまりここ体育館まで来れた人は制限時間に関わらず問答無用で優勝者候補になるわけで。」

「優勝候補?」

「そそ。」


……………。


「え〜っと…つまり、私達優勝!?」

「ちゃうちゃう。候補。まだ優勝じゃナッシング。」


……………。


「んだよそれ?もしかして優勝候補同士、争えっての?」

「それならさっさと始めようよ〜!」

「まだ話の途中だっちゅーの。」


……………。


「で、とりあえずこの場にいる方々には、






俺こと、ライターと戦ってもらいます。」



……………ふぅ。


「「………はぁ?」」

「あれ?耳が聞こえませんでした?ダメですね〜。」

「んな!?」


やれやれ、と言った感じに首を振るライターにカチンときたらしい葵。


「………にゅおお!バカにしてぇぇぇ!!」


そして右手に大きな魔力球を作り出した葵は、


「ぶっ飛べええええええええ!!」

【ドォン!】


その球をライターのいる舞台目掛けて放った。


「…フフ。」


ところがライターは軽く笑い、



闇龍乃口やみりゅうのくち』。」

【キィン】



ただ一言、そう呟いた。


「……あ、あれ?」


攻撃した本人が呆気に取られる。



そりゃ無理もないだろう、ライターの目の前で何かの金属音と共に魔力球が消えたんだからな。文字通り、フッと。



「こらこらぁ。慌てちゃダメよーん♪」


右手の人差し指でチッチッチっと振る。明らかに挑発している。つか腹立つ言い方。


「さて、と……。」


一息入れたらしいライターは、背中と腰に出てる棒に手をかけ…


【シュイン】


抜いた。


その両手に持っているのは、柄が漆黒の小太刀。なるほど、背中と腰の後ろから出てたのは、こいつらの柄だったか。


一見、何の装飾も施されてない、ライターの腕程度の長さの刀……だが、何か妙に禍々しさを感じる。



「……遊びますか♪」



二本の刀を同時に高速回転さて、体を半身にさせながら左腕を前に、右腕を上段にして構えた。二刀流でよく見られる構えだ。


「……なぁ龍二さん、ここはオレに行かせてくれないか?」

「いいぞ別に。」


何か若干殺気だってる和也が一歩前へ出た。さっきの挑発が軽く頭にきたんだろう。


「……アンタ、ライターだからって調子乗ってんじゃねぇぞ?」

「え〜?これがいつもの俺だけど〜?」

「………うし、殺す。」


あぁ、あれか。普段自分とこの作者イジってるだけにああいうのにバカにされると頭にくるわけだな、和也の奴。


「行くぞ、釜。」

『漢字違う気がすんですけど!?』


勘違いだろ。


「…はぁ!」

【バッ】


一足飛びで舞台の上へと飛び上がり、鎌を振るう。


「『雨宮流鎌術』……」


大上段に振り上げた鎌が炎を纏い、


「『襲牙焔』。」


一気に振り下ろされた。その速度は軽く神速を超えていた。




【ギィン!】

「!?な!?」

「無駄無駄♪」



だがその会心の一撃は、右の刀にあっさりと塞がれた。


「んじゃ消えろ。


魔刃閃まじんせん』。」

「んにゃろ!!」

【ドオオオオン!】


横に薙ぎ払った左の刀を、上半身を逸らしてマト○ックスの要領で交わす和也。ライターの真空刃の一撃は、舞台の正面の壁にバカでかい真一文字の傷を付けた。



【ゴン】

「いぎゃ!?」


飛んできた瓦礫が葵に当たった。ドンマイ。




「そらそらぁぁああ!!」

【ギギギィンギィンガギィン!!】


そこから、ライターは踊るように刀を振るい、和也を攻める。縦横から来る超高速の斬撃に、和也は受け流すばかり。ただ、時々反撃はするが軽くいなされている。


まぁ、和也の大振りでリーチがある代わりに隙がでかい鎌と、ライターの小振りでリーチが短いが隙が小さい刀だと、超接近戦ではライターの方が有利か。


「く!この!……なめんな!」


一瞬の隙をついてライターを蹴り飛ばし、鎌を横に振るいながら突撃していく和也。


「無駄♪」


すぐに体勢を立て直したライターは、両手の刀を左右に払うように薙ぎ払う。


「『雨宮流鎌術』」

【シュ!】

「およ?」

「『魔閃』!」


だが、その攻撃は空振りに終わる。一瞬にしてライターの背後へと回った和也が、その首をかっ切らんと振りかぶる。



「『魔空槍まくうそう』。」

【ドォン!】

「な、なに!?」


ライターが呟くと、ライターを取り囲むように周囲の床から漆黒の槍が現れた。間一髪、ギリギリのとこで和也はそれを回避する。


【ヒュ】

「死ね♪」

「!?」


あ、テレポートで和也の背後取りやがったライターの奴。


…しゃーない。


「『龍閃弾』!」

「おおっと?」

【ドォン!】


和也に切りかかろうとしたライターに一瞬で接近して龍閃弾。でも軽く避けられた。




…………こいつ…………。




「この野郎!!!」

「よせ和也。」

「ぐぶえ!?」


また突っかかって行こうとした和也の襟を掴み、引っ張る。勢い良すぎて和也首しまって尻餅ついた。メンゴ。でも声おもしろかったからまたしたろ。


ま、とりあえず。


「『鎖電チェーンプラズマ』。」

【バヂィ!】

「…ほぉ?」



隙が出来たライターをエルの力で形作った電流の鎖で拘束する。うし、時間稼ぎできた。



「な、何すんだ龍二さん!?」

「何って逃げんだよ。」

「……はぁ!?」


何だよー逃げるって言ってんのにその反応はー。


「おいおいおい、龍二さんともあろうものが、敵前逃亡って!?」

「逃げるのも戦略のうちってゆーじゃん。ほら、あいつ縛ってる間チャッチャと逃げるぞ。」

「何言ってんだ!今こそチャンスだろう!?」

「……はぁ。」


……聞き分けのない奴は……。



「えーい。」←棒読み

【ボス!】

「ぐぶほ!?」



テンプル☆スマッシュ。



「おい、葵起きろ。逃げるぞ。」

「……ふにゃ?」


気絶した和也を担ぎ上げ、床に倒れた葵を強引に立たせる。ライターは鎖を解くのに必死だが、もうちょい時間がかかりそうだな。


「行くぞ。」

「……へ?あ、待って〜!」


とっとと体育館からズラかる俺の後を、ようやっと覚醒した葵が追っかけてきた。







走ること数分、体育館から大分離れた。ここまで来りゃ大丈夫か。


「も〜龍二くん速いよ〜!」

「わりわり。」


だが俺の走りに一応ついてこれたのはお前含めて数えるくらいしかいねぇぞ。


「おいしょ。」


ドサっと担いでいた和也を地面に降ろす。そのうち目が覚めるだろ。


「さてっと……どうすっかね?」

「わかんなーい。」


そりゃそうか。


「………ところで何で逃げたの?龍二くんならライターくらい楽勝でしょ?」

「ん?ああ、確かにそうだがな。



ここ以外だと。」

「…ほえ?」


そう、考えてみればこの空間はあいつが作り出した空間、いわばテリトリーだ。つまりこの空間にいる限り、あいつはあらゆる力をコントロールすることができる。


「………ここ以外って、どゆこと?」

「簡単なこと。今の俺らの力は、あの黒バカ野郎によって支配されている。よって強くしようが弱くしようがあいつの自由ってこと。」

「………つまり?」




「つまり、俺の力と和也の力、お前の魔力…全部の力が弱体化されてしまったってーこと。」




「………嘘ん?」

「マジかよ…。」


あ、和也起きた。


「だからぁ、お前が鎌で切りかかったところで今のあいつには子供が木の枝振りかぶってきたのと同じようなもんになっちまうんだよ。」

「………そりゃあんだけ攻撃しても軽くいなされたわけだよ……クソ。」


ドンマイ。まぁ俺の龍閃弾も避けられたしな。簡単に。


「で、だ。何とかあいつから撒くことは出来たが、この学校内のどこに逃げたところであいつは居場所を突き止めることができるし、この空間全てがあいつによって支配されているわけだからぁ。」

「「??」」






「うおおおおおおおお!!いたぞおおおおおおおおおお!!!」

「荒木 龍二と雨宮 和也と里原 葵だあああああああああああ!!!」

「ブチ殺せやああああああああああ!!!」






「ああいうわけだ。」

「「…………。」」


何かに取り憑かれたかのように目が赤く光った生徒が数百名という大群で俺らに迫ってきていた。


「……どうすんスか?オレらの力は弱体化されてんでしょ?」

「ま、確かにされてるな。まぁそこは気合と根性で何とかしようや。」

「え〜〜〜〜?」


葵、そんなダルそうな声を出すんじゃない。


「さ、行くぞ。」

「「…は〜い。」」


やる気ゼロ。







〜アルス視点〜



「はぁ、はぁ……二人ともどこへ行ったんでしょう…?」

「こっちで合ってるハズだというのはわかるんだが…。」


見失ったリュウジさん達を追いかけるべく、さっきから校舎中を走り回ったり、操られたかのように襲い掛かってくる人達を退けたりで、ボクらもうヘトヘトです……。


「いんや〜にしてもどぉこ行っちゃったんだろうな〜。もう疲れたぜ。」

『…………。』

「あ、いや、マジすんません調子乗ってましたハイ。」


空中・・にいるダイジさん目掛けて、ボクらは一斉に睨みつけた。楽でいいですよね……ホントに。


「……つ、つーかそこの小さい嬢ちゃんだって飛んでるから楽してるじゃないの!」

「アラ?羽動かすのって案外大変よ?何も動かさないで飛んでる誰かさんより。」

「……小悪魔。」

「何?」

「すんません。」


フィフィ、怒ると結構恐いんだよなぁ……ダイジさん、空中で土下座はやめてください。


「……それにしても、二人ともどこへ行ったんだろうな?」

「それがわかれば苦労はしませんよ……ふぅ。」


隣では、マーくんさんとアーちゃんさんがため息を吐く…………すごい違和感ありますね、“くん”や“ちゃん”の後に“さん”付けというのは……でも本名知らないし……聞いたら失礼だろうし……どうしよ。


「リュウくーーーん!どこーーーー!?」

「ちょ、アンタクルル!大声出したら目立つでしょうが!」

「だってだって!リュウくんの身に何かあったらやだもん!」

「そりゃ私だってやだけだどさ!」

「ふ、二人とも落ち着いて…。」


かたや、言い争うフィフィと魔王を宥める優貴さん。何だろう、親近感湧きます。


「……それにしても、生徒達のあの豹変ぶり……気になるな……。」

「…リュウノさんもそう思います?」

「ああ、さっきまで正気の目をしていたのに、急に目が赤くなるなど異常だ。」


…実際、この空間では何が起こるのかわかりませんが………でも、この空間のせいだとすると、ライターさんは一体何がしたいんでしょう?


「まぁ、命を懸けてでも私は優貴を守りきる。」

「ちょ、そんなのダメですよ龍之さん!」

「……嫌なのか?」

「え、いやそうじゃなくて……僕ばかりが守られてたら、男として格好つかないし…。」

「……じゃあ…私が危なくなったら、優貴が助けてくれるのか?」

「//////……も、もちろんそのつもりだよ。」

「優貴……////////」



………ユウキさんとリュウノさんが二人だけの世界に入り始めました。



「ちょっと、アンタ達。こんな時に二人だけの世界に入らないの。」

「!?あ、ああすまない!」

「ご、ごめん!」


フィフィによって現実世界に引き戻された二人は慌てて顔を逸らした。




…………何だろう、いいなぁって思う…………。




「第一、そんなのアルスとクルルに見せ付けてたら二人とも恨みがましい目で見r」

「「フィフィーーーーーー!!!」」

「うひゃあ!?」


なななな、何言ってるんですかこの子おおおおおおお!!!


「な、何よぉ!?そんなに叫ばなくてもいいじゃないのお!?」

「叫びます!何言い出すんですか!?」

「そうよそうよ!」

「いやぁ若いっていいねぇ♪」

「「…………。」」

「すんませんすんません睨まないで。」


空中でニヤついている(顔見えませんけど)ダイジさんを魔王と一緒に睨む。


「……そんなことどうでもいいとして、これからどうするんだ?」

「そ、そうですよ。」

「……はい。」


マーくんさんとユウキさんに言われ、現実世界に復帰してきました。そうですよね、今は状況打開が先決です。


「さて、ここが最後のはずなんだが…。」


リュウノさんが目の前の建物を見上げ、つられてボクも見上げる……


ここは、体育館……壁のそこかしこに穴が開いていて、ボロボロになっていた。


校舎中を探し回ってもいなかったし……ここにいると思うんですけど…。


「とゆーより、あの二人の騒ぎようだったら目立つはずなんだけどな。」

「……そういえばそうですよね……静か過ぎる気がします。」


……さっきから敵も現れません…全滅した……んでしょうか?


「…ここにはいないんでしょうか?」

「そうかも…………ん!?」

「?リュウノさん?」


何かに気が付いたリュウノさん。でもボクらにはわかんないです。



「…!アルス、危ない!」

「え?」




【ドォン!!】




〜龍二視点〜



「おらぁ!!」

「てい!!」


言い忘れてたが、現在地中庭。噴水とか花壇があって生徒の憩いの場となっている。



が、今じゃ俺らの攻撃やら銃弾やらで花壇は吹っ飛び、噴水は瓦礫と化して水が変な風に飛び出している。



「ぎゃあああ!!」

「ぐえええええ!!!」


……ま、それはどうでもいいとして…。


「しゅ!」

「ぎゃは!!」


刀を振り上げてきた男子生徒の背後へ一瞬で回って、右ハイキックを繰り出して頭から元花壇へと吹っ飛ばす。また瓦礫が増えた。


ふむ、大したことねぇな。


「このぉ、しつこい!!くらえ!『呼ばれて飛び出てビックリ箱』!!!」


怒った風に葵が両手を掲げると、頭上から漆黒の穴が開き、そこからカラフルな色彩の箱が現れた。


そんで、その箱が開き…



【ドガン!バゴン!】

「ぎゃあああああああああああ!!!」

【ズドン!ドゴン!】

「ぎょえええええええええええ!!!」

【バギン!ボゴン!】

「あひゃああああああああああ!!!」




何とビックリ、電柱やら車やらポストやらが雨あられと落ちてくるじゃあ〜りませんか。




「そんじゃオレも………雨宮流無差別格闘術!」


今度は和也が鎌を持っていない左手を振り上げ、



「『波龍拳』!!!」

【ドゴォン!!】

「ぎゃああああああ!!!」




地面に拳を叩きつけ、衝撃波を発生させた。おお、面白いように敵が吹っ飛んでいく。



…………あ、次俺か。


「……はぁぁぁぁぁ……。」


深く腰を落とし、腰を左に捻ると同時に氣を溜めていく。



「『怒龍閃空殺(どりゅうせんくうさつ』!!!」



氣を炎に変え、捻った腰を元に戻すと同時に飛び上がる勢いを利用し、一気に左拳を突き上げた。



【ドオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

「うぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



俺によって生成された炎の巨大竜巻は、周囲の敵を全て空高くへと巻き上げていく。そして上空に舞い上がった連中は皆消し屑となって地上へと落ちていった……大丈夫だろ、この結界解けたら復活するだろうし皆。


「はぁ、はぁ……あっぶねぇなぁ龍二さんの技。」

「お前らもだろ。」

「結界張るのが遅れてたら巻き添えだったよ〜…。」


んむ、そりゃすまんな。


「で?大方片付いたか?」

「そうっスね。こんなもんだろ。」

「弱体化したとは言っても、別に支障ないし、大したことなかったね。掠り傷程度だし。」


中庭は掠り傷っつーよりすでにクレーターになっていて見る影もねぇけどな。まぁいいや、元戻るし。


「さて、それじゃあのクソライターんとこ行って殴り込みしにいくか!」

「賛成〜!」

「いやだからダメだっつーの。お前らじゃ」




「俺に勝てるわけないもんね〜♪」

「「!?」」



【ドガン!】



俺の言葉を紡ぐかのように声が響くと同時に、俺ら三人を漆黒の闇が包み込んだ。


「うぁ!?」

「いた!?」

「んむ?」

『リュウジ!』


「クハハハハ………バカな奴ら♪」


上から圧し掛かる重圧で俺ら三人はひざまずいている所に、歩み寄ってくる影があった。



「テメ……ライター……!」

「無駄だよ、無駄……お前らは俺に勝つことなんざできやしねぇよ。」


顔は見えないが、明らか侮蔑を込めた声で睨みつける和也を見下ろす。


「こんのぉ!……ぶっ飛ばしてあげるんだからぁ……!」

「おぉおぉ、恐い恐い……でもね、無駄だって言ってんじゃんねぇ?わかんないの葵さん?」

「ムキャーー!!すっごいムカつく!!」


ライターって相手をムカつかせるのだけは得意なんだよな。


「大体さ、考えてもごらんよ?ここ俺が作った結界内よ?そんで俺を誰だと思ってんの?ライターよ?神よ神?」


いやわかっとるがな。


「そんな奴を相手にとって、君らが勝てると思う〜?ククク……無駄な足掻きだな。」

「コノヤロウ……。」


おぉおぉ、和也キレそう。


「ま、さすがの龍二も、こればっかりは無理だな♪



じゃ、諦めて………魂もろとも死んでくれ♪」


そう言って差し出した右手を、ギュっと閉じた。




「うああああああああ!!?」

「にゅわああああああ!!?」



俺らを包んだ闇が放電し始め、同時に和也と葵が苦しみだす。



………………。


「…おい、ライター?」

「ん?何だ?」


余裕こいてるのを証明するかのように、侮蔑を込めた声で俺の方を向く。ふむ、これは勝利を確信してるな。



だがな……。



「一つ、お前は見落としてる部分があるぞ?」

「……何?」


あ、声元戻った。


「それはな……。」


【バギィン!】


「………へ?」


素っ頓狂な声を上げるライター。ま、当然だわな〜。




三人にかかった闇を普通に払いのけたんだからな、俺が。




「俺が」


そしてサっと立ち上がり


「お前みたいな」


エルを勢いよく





「作者権限を使えるってことだ!!!!」

【ドン!】

「ぐはああああああ!!!?」




ライターの腹目掛けて突き刺した。




「…………バ……バカ、な……。」

「ダイジさん、今です!!」

「おっしゃあああああああ!!!」


突然、アルスの声と誰かの声が響き渡ったと思うと、ライターが輝き始めた。






「……さっさと地獄に帰るぞ…………『サタン』!!!」

「ぐぎゃああああああああああああああああぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」





ライターからこの世の者とは思えない咆哮が響き渡り………学校を光で圧した。













「…………なるほど、そゆことか。」

「ええ……。」


夕暮れ時………ライターが倒れたことにより、結界が解かれた学校を後にした俺達は、帰路へとついていた。


いや、ライター、じゃねぇか……正しくは、ライターに乗り移っていた奴………え〜っともう帰っちまったけど、幽霊のあれ、誰だっけ?忘れた……まぁ黒ヘルでいいや。見た目そうだし。


あいつ曰く、ライターに乗り移って操っていた奴は、地獄の牢獄から抜け出したサタン……だと。この世を征服するために、あの学校で魂集めようとしてたらしいな。


姑息なまねしやがってさ……ま、いいけど。


「あ〜、にしても疲れちまったな…。」

「そうだね〜。」

「……お前達を探すのにどれだけ苦労したか、わかっているのか?」

「ま、まぁまぁ魔王……無事だったし、よかったじゃないですか。」

「そうだぞ。」

「…龍之さん、ピンピンしてますね。」

「すっごいね〜。」

「…この世界の人達ってどうなってるんですか…。」

「アルス、気にしたら負けよ。」

『そうだぞ。』


………まぁ、個性豊かな連中が集まったことだしなぁ……このまま帰るのもなぁ………




うし。




「んじゃ皆でどっかで打ち上げしようか。」

「お、龍二さんナイスアイデア!!」

「その話乗ったぁ!プリンプリン!」

「ちょと待て!それもしかして私の奢りか!?」

「多分、そうなるのではないかと…。」

「頼むぞ、マーくんとやら。」

「……すいません、マーくんさん。」

「ごめんなさい。」

「ありがとーマーくんさん!」

「あんがとね。」

『私は食えんがな。』



夕焼けが眩しい町に、マーくんの悲鳴が響き渡った…………どうでもいいがな。


さ、ラーメンラーメン♪







〜その頃〜



「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

「……なぁ駿、一聖?」

「何ですか…?」

「何で俺ら……ここにいんだ?」

「……わかんないです。」

「「「…………。」」」





深夜、皆が帰った暗い学校の隅にあるウサギの飼育小屋には、影薄同盟三人が体育座りで誰かが来るのを待っていたそうな。


どうもー。何かサーバーが込み合ってるとかいう理由で投稿遅れたコロコロです、すんません。


もうちょっとキャラ出す予定だったのに……特にコニさんとこから……他の作品も出したかったのに……しかも時間オーバー……まぁとりあえず投稿するだけ投稿してみます。他の作者さん、ごめんなさい。

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