ピュアラ・ラルラ
たしか、次にワタシとしての記憶とかいろいろが戻ったのが身体年齢15歳の時です。
多分、転生というものをしたんだと思いますが、この世界ではワタシは女として生を受けたようです。
そして、その上で両親に恵まれずに、運で生き残ってきたようですね。
ですが、才能? があったようで15歳の現在、魔術師学園の最上級生のようです。
「おはよう! ニャルちゃん!」
ワタシに話しかけてきたこの子は……ちょっと、待ってください。夜に突然記憶が戻ったせいで、この世界ですごした15年の記憶と混ぜて整理中なんです。
そうです!
「おはよう、リオナちゃん」
この世界でのワタシの親友。リオナちゃんでした。
キュートなルックスと性格に水色の綺麗な髪が特徴的な同級生です。
ちなみに学園ですが、元の世界のワタシ達が通ったような学園と違って、ほぼ自習でわからないことだけは先生に聞くというかたちらしく、最上級生になるとほとんど聞くことはなくなってますね。
あと魔術師は男性はウィザード、女性はウィッチと読むらしいです。
「また【バグ】で被害がでちゃったんだって。人手不足なのかな」
この世界での魔術師は特撮ヒーローみたいな一面もあるようです。バグと呼ばれる化物を魔法で倒すのが最も大きなお仕事です。このバグはなにやら、人や建物などを襲う厄介な習性を持っているようですし、大変ですね。
「多分、この前大きなバグがでた時苦戦したって言ってたから、治療中の人が多かったとか……?」
ワタシは無難にこう答えておきます。
事実ですし。
「そっか。ちょっと、怖いけど、もうすぐ私たちも現場に行かなくちゃいけないからね!!」
「そうだね」
ただ、ワタシ魔術師の魔術はうまく使えないんだけどな~。
***
「ピュアラ・ラルラ! 箒よ飛べ!」
学園が終わってから、寮の近くの広場で手をかざしてそう言うと箒が浮く。
「こんな魔術ないよね……そもそも、みんなもっと見てて痛々しい詠唱して魔術をだしてるし。ワタシのって、神様がいってたとおり魔術じゃなくて、魔法ってことなのかな?」
ただ、攻撃らしい攻撃の魔法はまだ試したことがなかったりします。
ワタシは自分の銀髪を縛って、箒に座って空に飛んでいきます。
「ん~……ちょっと、だけこれは楽しんでるワタシがいる」
空をこうやって飛べるなんて思ってなかったから、ちょっと楽しい。
神様。このくらいの楽しみ方でも、あなたは満足ですか?
「ピュアラ・ラルラ! 加速して!」
そう唱えれば箒は加速して飛ぶ。ちょっと、落ちそうになってヒヤヒヤ。
「夕日が沈んだのも見れたし帰ろ」
星と月の明かりが照らす空の下、ワタシは寮に帰りました。




