どうやらワタシはお姉ちゃん
「……普通に戻ってこれた」
神様に言われた通りの道を進んだら、元の場所に戻ってこれました。でたらめな。これも魔法――絶対違う気がします。
「夕食は……行く前に食べましたし……寝ましょうか」
その日はすんなりと寝てしまいました。
後日、再び協会に行くと、なにやらいつも以上に慌ただしいようです。
「何かあったんですか?」
「この町の近くにバグが現れたらしくてね、初めて見るタイプだから四苦八苦で」
「強い魔術師の方に頼めばよいのでは」
「それが、海の上みたいなの……それで、今までバグが海上にでてきたことはないし、船を襲うようなモンスターもあんまりいなかったから、フィールドに慣れた魔術師がいなくてね。幸いかわからないけど、こっちの港に近づいてきてるみたいだから、陸から遠距離魔術が使える魔術師で一斉に倒しちゃおうって話になって、避難とかそういうので四苦八苦」
「状況は理解しました……何かすることありますか?」
「避難とか手伝ってくれたら嬉しいな。町長の屋敷が避難所になってるから、港の近くの家と宿借りてる人たちの誘導お願い」
「わかりました」
現場に行ってみると、魔術師や協会の方々が誘導したり、迎撃のための準備を進めたり、櫓から海を見ていたりと大きな交渉船がきた時よりも慌ただしくなっています。
「うわぁ……」
思わず口に出してしまいました。なんか、月末に大きい仕事舞い込んできた時の部署思い出して。
避難誘導って言っても、慣れた人たちがテキパキやってるし、ワタシがここに混ざるを帰って邪魔になる気がしますし、どうしましょう――ん?
偶然でも見つけられて良かった感じの案件が発生しました。
「大丈夫?」
「う、うん……お母さん、どこかいっちゃって」
「この近くに住んでるの?」
「うん」
「ほらほら、男の子なら泣かない泣かない。お母さんがいる所、一緒に行こっか」
これは迷子というよりは、人の波ではぐれてしまったという感じですよね。泣いてる少年保護です。恐らく、人の波をみながら屋敷まで行けばどこかで会えると思うのですが。
「お姉ちゃん、魔術師の人?」
「ん? そうだよ」
「それじゃあ、これからくるこわいのもやっつけてくれるの?」
「お姉ちゃんは、今回はみんなのことを守る役目かな。こわいのは、ワタシよりもお兄ちゃんお姉ちゃんな人たちがやっつけてくれる」
運が良かったです。赤ちゃんとかだったら経験がなくて困りましたけど、このくらいの年頃はギリギリ年末年始の姪の世話任されて経験があったから。ただ、前のワタシは怖がられてた気が……そんな強面でしたっけ。だめです、若干記憶ないんですよね。
「コルト! コルト!」
少しして、屋敷までもうすぐの時にそんな誰かを呼ぶ声が聞こえました。
「お母さん!」
「コルト! よかった、無事で」
「お母さん」
仲睦まじい親子の再開ができたようでよかったです。さて、お邪魔にならないように退散しましょうか。
「あの、お姉ちゃんがここまでつれてきてくたの」
「お姉ちゃん? ありがとうございました! 途中で、はぐれてしまって、ずっと探してて」
「あ、あぁ、いえいえ。ワタシも偶然だったので、良かったです」
「本当にありがとうございます!」
涙ながらにお礼を言われました。これはこれで、悪い気はしないけど、申し訳なくもなってくるような気がしますが――終わりが良かったからいっか。




