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仙境異聞 霞  作者: 神楽坂 幻駆郎
第一話:遠い山から来た少女
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ACT2 妖檄舎の人々:4

 翌朝、と言っても昼近くだが、妖檄舎の全員が、居間に集まっていた。

 12畳敷きの和室のテーブルに、全員が車座になって座る。

 医療担当、正宗菊の手で、各自にお茶と茶菓子が配られる。

 お茶は静岡の煎茶、茶菓子はどら焼きに良く似た甘味。

 昨夜、霧子に厳命され、海堂二郎が買ってきた、黒松と言う和菓子だ。

「じゃあ、まず、昨夜の報告から聞こうかしら」

 社長の大賀吹絵の一声から、会議が始まった。

「それより先に、こいつの話じゃないか?」

 茶菓子を目の前にして、そわそわしているKの頭を、ポンと叩いて、霧子は言った。

「物事には順序があります。霧子、報告して」

 吹絵がしれっと却下する。

「ち、分かったよ」

 霧子は、昨日の出来事を報告し始めた。

「・・・・・・変妖したのは川上和美、6歳・・・・・・昨夜0時頃、両親を殺して逃走した」

「保護施設の子ではないのね?」

「ああ、まったくのノーマークだ。警官隊に追われ、私の目の前に来たのが午前1時、変妖した訳だが・・・・・・成体とは程遠い、幼体だった」

「ご両親以外に被害者は?」

「幸いにもそれはなし。追い込んだ警官隊に負傷者が出た程度だ」

 霧子が答える。

「封印都市政令が発動してから1週間で、5体の幼体が発現、か」

 吹絵は、これまでの経験と照らし合わせ、事態の異常さを推し量る。

「普通に考えたら、まだ育ちきっていない、もっと潜伏するはずの奴等なんだが」

 吹絵の疑問には、霧子も同意見だった。

「なにか、組織的な意図を感じるわね~」

 お茶をすっと啜り、菊が言った。

「ああ、何かから眼を逸らそうとしている感がある。何かこう、でかいモノから、な」

 霧子が答える。

「霧子の見立てが正しいなら、それが何か・・・・・・だな」

 小鉄がそう言って、また思案に耽る。

「・・・・・・やっぱり大妖、かな?」

 二郎が気楽な口調で、言った。

「私は間違いないと思うんだけどね」

 霧子が答える。

「それを確かめるのは・・・・・・おい、K!」

 霧子の声を合図に、妖檄舎一同の視線が、Kに集中した。

「え、はい?」

 茶菓子を頬張るKが、間抜けな返答をする。 


「お前、仙境からの親書は?」

 霧子が言うと、Kは一巻の書簡を手渡した。

「あ、はい、これです」


「どれどれ・・・・・・何、だと?」

 その内容を一読して、霧子の表情がこわばる。

「おい吹絵、これ・・・・・」

 書簡を吹絵に渡す。

「え、うそ・・・・・・」

 それを読んだ吹絵も、怪訝な顔になる。

「何々? 私にも見せて~・・・・・・おーお・・・・・・」

 書簡をひったくった菊が、感嘆のため息を漏らす。

「へえ、面白いじゃないか」

 海堂二郎は、ますます軽い乗りで、笑い始めた。

「どれ・・・・・・うむ、まあ仙境だからな、こういう事もある、か」

 小鉄が、平静を装おうと、必死になる。


 妖檄舎一同、改めて少女Kを、まじまじと見詰めた。


『お前が、仙境から来た、修錬丹師?』


「はい! 私が戦うんです、そのために来た、私が仙境の修煉丹師です!」

 少女は、照れくさそうに、頭を掻いて、笑った。

皆さん、初めまして。

狂い語り部の神楽廃人カグラハイドです。

仙境異聞 霞、楽しんで頂けてますでしょうか?

物語は、これから少し、残酷な方向に進んでいきます。

キャラクターの人間関係も激動するので、お楽しみにしていてください。

もしも奇特な方がいらっしゃったら、感想、評価をお待ちしています。

数奇な運命に翻弄される、姉妹の物語。

まだまだ、続きます。

・・・って、まだ第1話ですし・・・

どうなんでしょう、ね?



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