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「呪いだ。俺は呪われているんだ。だってそうだろ? 普通に道を歩っていただけなのにおばあさんに水をかけられるわ、何もしていないのに犬に親の仇のように追いかけ回されるわ、で、ようやくその狂犬をまいたかと思ったら猫が塀の上から飛び降りてきて顔面をひっかきやがったんだぜ? 悶絶してたら後ろから危うく車にはねられそうになるしっ。これを呪いといわずして何を呪いというというのか。今世紀最大の呪いだっ」
「ノロイ、ノロイってあんたはいまどきあのイタチに死闘を挑む気なの? ちっさい奴だと常日頃から思っていたけど、ネズミサイズの肝とは思わなかったわ」
「おい、そんな何十年も前の小ネタ引っ張り出したって誰も付いてこないぞっ」
「何言ってんのよ、あんたあたしとそう変わらない年でしょー? 何自分だけ平成生まれみたいな顔してるのよ、あつかましい。大体呪いだなんて大騒ぎする方が時代遅れだわ」
「お前なんぞに俺のこの傷付いた心を癒してもらおうとは思ってもなかったが、本当に最悪だな。少しは朝からひどい目にあって来た恋人に労わりや労いの言葉はないのか」
「はいはい。車にひかれなくって良かったわね。あんたみたいなのでも殺しちゃったらドライバーさんの人生棒に振っちゃうもんね。――いや、死んでくれてたらそれはそれで良かったけど、あたしの取り分少なくなっちゃうからなぁ……。ま、善良な市民を不幸のどん底に突き落とさなかったことだけは褒めてあげなくもないわ。ああ、それから、私はあんたの恋人じゃないからそこのところはその小さな脳味噌に刻みこんでおいてくれないかしら? 不愉快だわ」
「何を言うんだ。土曜日の朝から約束してこうやって顔を合わせてお互いのことを語らっているなんて恋人じゃないか」
「あーっそう。じゃあその恋人の為にその命ぽんとくれてくれないかしら? 私、あなたの命がとってもとっても欲しいの」
「何を言ってるんだ。俺が死んだらもうデートできないじゃないか」
「デートしてる気はないっていうのよこのボケェ!! いいかげん余計なこと喋ってないで死んでくれないかしら!? あんたさえ死んでくれたら世界征服がずっと楽になるのよ! っていうか死ね!!」
「ええー? じゃあ仕方ないなぁ。半殺しくらいにはなってやってもいいぜ? その代わり結婚してくれよな」
「――ブッ殺す!!」
暑い……。他のもの書く気が消滅したので、暇つぶしにやってしまいました。ごめんなさい。orz