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特別な存在

ヒサナが目覚めてから、数日が経った。


冬大陸は、確かに息を吹き返していた。氷柱は透明さを取り戻し、冷たかった風はわずかにやわらぎ、村の井戸からは淡い魔力を含む水が汲めるようになった。

そして何より驚きだったのは、村で生まれたばかりの赤子の瞳に、うっすらと魔力の光が宿っていたことだった。

村中が歓声に包まれた。


「魔力が戻ったぞ!」

「これで冬大陸はまた・・・!」


みんな涙し、抱き合い、大人たちは空に向かって何度も感謝を告げた。その中心に本来なら、ヒサナが立つはずだった。

しかし。


「ヒサナー!顔見せてー!」

「冬大陸の英雄だぞー!」

その声が聞こえた瞬間。

「む、むり・・・ぜったいむり!」

ヒサナは即座にキーラの背中にぴたっと隠れた。

キーラは笑いをこらえながら、ヒサナの頭をぽんぽんと撫でた。

「ヒサナは、すごいことしたんだよ?」

「し、したけど!ほめられるの、むり・・・!視線がいっぱいで死ぬ」

村人は笑って言う。

「ヒサナさん、本当にありがとう!」

「お礼が言いたいだけだから、顔出して〜!」

「むり・・・!」

ヒサナは必死にキーラのマントを握りしめる。

キーラは深く息をつき、前に出て皆へ頭を下げた。

「ヒサナのかわりに、お礼を言います。彼女は、ほんとに頑張ったので今はそっとしてあげてください」

すると、村人たちは穏やかに頷いた。

「キーラちゃん、支えてやってくれな」

「二人とも、ゆっくり休めよ」

その言葉に、ヒサナはキーラの背中越しに、ほんの少しだけ顔を出した。


「ありがとう・・・」

その小さな声に、村人たちは温かく微笑んだ。


「私、場違いな気がする・・・」

言葉が、勝手にこぼれた。

「すごいことしたって言われても自分が変わった感じしない・・・」

キーラは何も言わず、歩調を合わせてくれる。

その合わせてくれる感じが、胸の奥をじんとさせる。

「人も苦手だし・・・キーラの後ろに隠れてばっかり・・・」

「それでもさ」

キーラが言った。

「ヒサナがいなくなったら、ボクは困る」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で、なにかが跳ねた。

「困る・・・?」

「うん。だから今みたいに、隣にいてほしい」

──隣。

その言葉が、なぜかとても温かい。理由はわからない。

でも、離れたくない。それだけは、はっきりした。

「じゃあ・・・しばらく。・・・隣・・・」

自分でも驚くくらい、すぐに言葉が出た。

キーラは何も言わなかったけど、空気が少しだけ和らいだ気がした。


ヒサナが核と繋がった事で、ヒサナが死なない限り魔力を核に貯める事はしなくても大丈になった。

前代未聞の出来事は箝口令が出された。

一番不思議なのはヒサナの魔力が更に増えていたことだ。

元々封印されていたのか分からないが、核に急激に魔力を吸われて封じられていた魔力が出てきたらしい。

ヒサナの母の故郷を訪ねる旅は、ひとまず魔力の増量と唯一の友と出会い幕を閉じた。


本編に登場するキャラクター

ヒサナ、キーラ、アマミ、エリスは

「キャラクターデザイン鳴海月花」の表記があれば創作、商用利用可能です。

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