表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/43

妖精の祝福

番外編


夜の森で、11歳のエリスは泣いている幼子を見つけた。


青緑の髪。

三歳ほどの年頃。

両親を呼ぶ声。

喪服の男性がそばに居た。

両親を亡くしたばかりだと、すぐに分かる。

少女の周囲で、空気が微かに揺れていた。

(この子・・・)

理由は分からない。

ただ、直感が告げていた。

このままでは、魔力暴走によりこの子は壊れる。

エリスは姿を透明に消したまましゃがみ込み、声だけを落とす。

「大丈夫」

胸に手を当て、妖精の血を静かに巡らせた。

祝福は奇跡ではない。

寿命を延ばすものでも、運命を変えるものでもない。

自分自身を媒介にできる道を、世界に繋ぐだけ。

本来は祝福をこんな簡単に使わない。


「覚えてなくていい。気づかれずに、生きな」

周囲やアマミに、エリスの姿も声も聞こえない。


◇◇◇


──春大陸でのこと。

干ばつの村で、エリスは一度だけ目立った。

夜のうちに雨を呼び、朝には畑が潤った。

人々は喜び、讃えた。

だが願いは要求に変わり、やがて値踏みする目が向けられた。

村人に囲まれ縄と檻を前にして、エリスは悟った。


だから

姿を消した。

それ以来、彼女は笑って言う。

「目立つと、ろくなことがない」

冗談のように。


けれどそれは、善意が刃に変わる瞬間を知る者の言葉だった。


それでも、祝福は残る。

エリスもアマミも忘れてしまって誰にも知られず、世界のどこかで。


それが、アマミが幼い頃に受けた媒介が無くても魔法が使える妖精の祝福。



[完]


本編に登場するキャラクター

ヒサナ、キーラ、アマミ、エリスは

「キャラクターデザイン鳴海月花」の表記があれば創作、商用利用可能です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ