38/43
罪人グリード
王宮地下、魔法遮断区画の最奥。
そこはもう実験室でも保護区でもなかった。
ただの牢獄だ。
グリードは、壁に埋め込まれた拘束具に固定されていた。
手首、足首、首元。すべてが魔力の流れを遮断する特注品だ。
魔力を扱う者にとって、それは手足を奪われる以上の意味を持つ。
だが、彼は静かだった。
「結局、ここか」
かすれた声で呟く。
視線の先には誰もいない。
ヒサナも、アメリアも。
ただ、冷たい石壁と、無音の結界。
「触れられた」
それだけで、胸が満たされる。
拒絶され、引き剥がされ、すべてを失ったはずなのに。
「あの一瞬で、十分だった」
触れた感触を思い出す。
彼の瞳に、後悔はなかった。
やがて、重い扉が開く。
王の使者が、判決文を読み上げた。
禁忌区域からの魔力石持ち出し。中立存在への干渉。王命違反。
「──よって、終身拘束。いかなる面会も許可されない」
静かに言い切られる。
グリードは、目を閉じた。
「・・・なるほど。貴女は、守られたわけだ」
以後、宮廷魔法使いグリードの名は、歴史から消された。
本編に登場するキャラクター
ヒサナ、キーラ、アマミ、エリスは
「キャラクターデザイン鳴海月花」の表記があれば創作、商用利用可能です。




