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キーラの力

「違う・・・こんな、はずじゃ・・・」

床に膝をついたグリードが、ゆっくりと立ち上がる。

顔色は悪い。

だが、目だけは異様に冴えていた。

「私は、守ろうとしただけだ・・・」

吸収石を、強く握りしめる。

光が、脈打つ。

「彼女は、不完全な状態で・・・外に出していい存在じゃない!」

言葉は、理屈の形をしている。

だがそこに、ヒサナはいない。

現象しか、見ていない。

キーラは、ヒサナをそっと背後に隠した。

「少し・・・目、閉じてて」

ヒサナは、何も聞かずに従う。

キーラは、前へ出た。


「終わりだよ」

短い言葉。


「まだだ!」

グリードが、吸収石を掲げる。


「彼女の魔力は、止まらない。私が、制御しなければ・・・!」

グリードは自身の魔力石ピアスに触れる。

ピアスを媒介にして魔力が空間を満たす。

圧迫感。拘束。封殺。

一斉に、術式が展開される。


だがキーラは、避けない。

逃げない。

踏み込む。

「な・・・!?」

次の瞬間。

拳が、術式の中心を打ち抜いた。

音は、ない。ただ、魔力が崩れる。


吸収石が、ひび割れた。


「ば、ばかな・・・」

グリードの声が、震える。

「魔法が・・・そんな理屈が・・・」


「理屈?」

キーラは、一歩、さらに近づく。

「そんなモノない」

拳が、再び振るわれる。

今度は床だ。床に刻まれていた複雑な魔法陣が、一気に粉砕される。

結界が、完全に消失した。

グリードは、後ずさる。

「近づくな!」


「・・・近づくさ」

キーラの声は、低い。

「ヒサナに触れた」


それだけで、十分だった。

次の一歩。拳が、吸収石そのものを殴った。

禁忌の魔力石が、粉々に崩れ落ちる。

光が、消える。


「・・・あ・・・」

グリードの身体から、力が抜けた。


やがて、地下通路に足音が響く。

王宮の警備兵たちだ。

状況を見て、誰もが一瞬言葉を失った。

だが混乱は、起きない。

命令が、すでに出ていた。

「対象、確保」

短い指示。


グリードは、抵抗しなかった。

連行される背中は、どこか小さく見えた。


ヒサナは、それを見て小さく身を縮める。

「あの人、どうなるの・・・?」

キーラは、少しだけ考えてから答えた。

「王が決める。ボクたちは、もう関係ない」

その言い方に、ヒサナは少し安心した。


本編に登場するキャラクター

ヒサナ、キーラ、アマミ、エリスは

「キャラクターデザイン鳴海月花」の表記があれば創作、商用利用可能です。

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