隔離
同じ頃。
王宮の別棟で、キーラは待たされていた。
部屋は整っている。食事も出る。警備も過剰なほど丁寧だ。
待遇は、良い。
「静かすぎる」
誰に向けるでもない独り言。
ヒサナは、一時的な処置を受けている。
そう説明された。だが時間が、曖昧だ。「少しだけ」「一時的に」その言葉から、どれだけ経った?
説明は、更新されない。
(位置関係が、おかしい)
守るなら、近くに置く。隔てるなら、理由を明確にする。どちらも、されていない。
キーラは、小さなバッグを指で叩いた。中には、最低限の魔力石。
魔法で火を起こすためのものだ。
(ヒサナは、指先だけで・・・)
媒介を使わない魔法。それを管理する?
言葉が、胸に引っかかる。
回廊の向こうから、聞き慣れた声がした。グリードだ。誰かに、少し早口で話している。声は穏やかだが、間がない。
「・・・・想定より・・・ずっと・・・管理下に・・・今は・・・」
管理。また、その言葉。
キーラの指が、無意識に握られる。
(処置じゃない。指導でもない・・・)
話し声は遠ざかる。だが、残った違和感は消えない。
ヒサナは、説明されない場所にいる。
自分は、待たされている。
グリードは、急いでいる。
(これは・・・安全の配置じゃない)
キーラは、ゆっくり息を吐いた。
ここで動く理由は、まだ足りない。
だが、次に「会わせられない」と言われたら。
次に、理由をはぐらかされたら。
その時は待たない。
拳でどうにかするかどうかは、その後で考える。
本編に登場するキャラクター
ヒサナ、キーラ、アマミ、エリスは
「キャラクターデザイン鳴海月花」の表記があれば創作、商用利用可能です。




