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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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出生の理由

カーラが新しいお茶を入れて戻ってくる。


「それで、お前たちは何のために魔族領へ行きたいのだ?」


これまでの事情を話し、魔王の魂の欠片に用があることを説明する。


カーラは話の内容を整理して確認する。

「すると、坊ちゃんの体には2つの魂が宿っていると?その魂がこれから先どうなるかを知るために王の魂を調べたいと。。。」


ナージャが頷く。

「そういうことじゃ」


すると、カーラは俯いてぶつぶつと呟きだし考えが口から漏れた。


「。。。あれからそんなことが分かるのか?。。。姫様でさえ、何の反応も示さなかったのに。。。いや、アイン様なら、あるいは。。。」


ナージャが聞き逃さずに問う。

「カーラ殿、今姫様と?」


「。。。貴殿等には話しておいた方がいいか。我が領土においてもこれまでに何人かの魔王候補が産まれているのです。いずれの方々も王の生まれ変わりとは成らなかったが、その系譜を示す黄金の髪をしておられた」


「なんと。。。」

なぜかナージャが動揺している。


「そして、今、王の系譜として我らがお仕えしているのがアイシャ様だ」

「今までに同時代に王の系譜を示す子供は生まれなかった」

「アイン様とアイシャ様は初めての2人の王候補となられる」


「どんな子なの?」

興味本位でアインが聞く。


「。。。天真爛漫で活発なお方です」


皆はカーラが一瞬ひきつったのを見逃さなかった。


「へぇ」

アインだけが言葉通りのイメージで会うのを楽しみにしている。


そこから、具体的な段取りの話になった。

魔族領へ事態を知らせ、返事が戻るまでにしばらく時間がかかるという。

その間は、祭り見物でもして時間をつぶすことにした。


迎え入れの準備が整い次第、転送門を使って魔族領へ入ることになる。


カイルが不思議に思い聞く。

「転送門なんてどこにあるんだ?」


カーラは呆れて応える。

「何を言っている? あるだろう、でかいのが」


え? 白磁の門(ホワイト・ゲート)ってあれ全部転送門なの?

スケールの大きさに驚く一同。


「準備が整ったらこちらから連絡する。それまでは祭りを楽しんでくれ」

カーラの言葉を受けて、一同は宿に戻った。


。。。


次の日。


朝食を終え、午後の鐘を待ってからアインの祖父の家へ魔術師二人を除く3人で向かう。

最初の接触の印象が最悪だっただけに、アインも緊張している。


家の前に着くと、夫人の姿が見えた。

門前で出迎えてくれる。


「こんにちは」

アインはできるだけ礼儀正しく見えるように挨拶する。


「。。。」

夫人は相変わらず悲しい目をして、「こちらへ」と家の中へと誘う。


家の中はこじんまりとしていたが、無駄なものがなく整理が行き届いていて夫人の性格を表すように居心地のいい空間が作られていた。


客間兼リビングと思われる部屋に、この家の主人がいた。

憮然とした顔は、先日の怒気をはらんだよりはよほどましだが、歓迎していないことははっきり見て取れる。


「お座りください」

夫人に席を勧められて一同は腰を下ろした。


「それで、わしらに何の用があるんだ」

挨拶もなしに、老人が口を開いた第一声は不愉快を隠さぬ声での詰問だった。

「あなた。。。」

夫人が窘めるも、態度は一向に変わらない。


カイルがこれまでのことを話し始める。

アインと会った時のことから、これまで一緒に旅をしてきたこと。

両親はもう、この世にいない事。


それを聞いた老人は、顔を赤らめたが怒鳴ることはかろうじて耐えた。

「僕の村は野盗に襲われて、生きのこったのは僕だけだった」

「父さんも母さんも、あの場所で死んだ」


「教えてください。僕は生きていてはいけないの?」

「なぜ、あなたは僕のことを悪魔の子と言ったの?」


老人は拳を握り、目の前でまっすぐな目を向ける子供を打ち据えようとして止めた。


カイルは、今にも飛びかかりそうになる自分を必死に抑えて言う。

「じいさん、俺たちはあんたの息子の子供をここまで連れてきたんだ。この子を孫と認めないならその理由くらい話すのが筋なんじゃないのか?」


睨む老人に夫人が肩に手を置き落ち着かせる。

「わかりました」

「おまえっ!」

夫人の言葉に反発しているが、自分を落ち着かせるためにお茶を入れさせた。


お茶を一口含むと話し出した。

「あの日、あの女をダンが連れてきた時から、我が家は壊れたんだ」

老人の述懐が続く。


冒険者となり久しぶりに帰るという手紙を貰い、家で待っていた二人だが、帰ってきたのは息子一人ではなく、女性を連れていた。


そのいで立ちは魔術師のそれで、遠くから歩く姿からは容姿は判らなかった。

しかし、その時の彼は違和感を感じていた。

彼は鼻がよかった。そこからでも判るある匂いに気づいたそうだ。


魅魔香


樹霊ドライアドの香木や淫夢魔サキュバスの血などを複雑に混ぜ合わせて、おすに魅了と服従を強いる魔薬。

そんなものを身に付けて、会いに来るものがまっとうとは思えない。

彼は家にあった、ありったけの炭や灰をぶちまけて匂いをごまかし正気を保った。


息子が村を出て行ったのは、それから数日後だった。

その後、彼は魔女が息子をかどわかす理由を調べた。


昔からの伝承で、同族以外に子を成すと特別な子を授かるという。

迷信に過ぎないと誰も信じていなかったが、彼はそれを信じた。


そして、昨日懐かしい息子の匂いと共に現れたのが黄金の髪を持つ子供だった。


「お前は、あの魔女に魔王として作られた子供じゃ」


彼の言葉は、少年に衝撃と深い絶望を与えた。

何と言ったんだこの人は? 僕は父さんと、母さんの子で、二人とも僕を愛してくれて、幸せな日々で、あの日村が焼かれて、魔王復活のため?金髪の子は魔王の生まれ変わりで、何人もいて、魔女?魔術師が攫って、母さんが魔女?僕を作った?


「アイン!!!」


カイルは急に倒れた少年を抱えて、現村長の家に向かった。

老夫婦の家を辞する時に、彼らからもう来ないでほしいと言われたこと、その時の表情を忘れられなかった。




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