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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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怪しい店

「はあ、そんなことがあったんですねぇ」

ビドゥと合流した一行は、酒場で夕食を兼ねた遅い昼食を摂っていた。


「こちらの事情はともかく、その店の店主とは渡りがついたのか?」

「へぇ。そっちは問題なく。アインさんのことを匂わせたら驚いてましたよ。祭りの間は時間があるので、夜、人目ひとめにつかないように店に来てほしいと」


「手間を取らせたな。これは礼じゃ」

ナージャは金貨の入った革袋をビドゥに渡す。


袋をあらためて驚いたビドゥが確認する。

「いいんですかい?こんなにもらって」

「判ってると思うが。。。」


口止め料も含んでいることに、ビドゥが納得顔で頷く。

「他言無用ってことですな。承知しました」


「これでお別れなの?」

しばらく旅を共にして、仲間意識が芽生えていたアインが寂しげに問う。


「坊ちゃん、人に別れは付きものですが、今生の別れって決まったわけじゃねぇ。巡りがよければまた会うこともあるでしょう。その時はまた宝石商ビドゥを御贔屓に」

カラっと笑い、別れの挨拶をして席を立つ。


カイル「またな」

ミリー「さようなら」

リタ「悪さすんなよ」


「姉さんはきついなあ」

ビドゥはひひっと卑屈に笑って店を出て行った。


。。。


その夜。


村の古着屋で買い揃えておいた服に着替えて、指定された場所へ向かった。

村の奥の路地裏にその店はあった。

看板などは出ておらず、知らなければそこに店があるとはだれも気付かない。

木の扉を開けると、地下への階段が現れた。

アインは恐る恐る階段を降りる。


店の中は暗く、ランタンの明かりだけが周りを照らす。

商品は陳列されておらず、カウンターだけがある。

間違ってここに入ってきても、何かの商売をしているようには見えなかったろう。


奥から人が出てきた。


「待ってたよ、あんたらがビドゥが言ってた連中かい?」


フードを被っているので姿は見えないが、声は意外にも若く、男性のようにも女性のようにも聞こえた。


「ああ、そうじゃ。門の向こう側について詳しく聞きたくての」

「あんたは。。。魔術師かい?」


「よく判ったのお」

ナージャは今は普通の村人の格好をしている。


「匂いでな。。判るんだよ」

店主は、ふんと鼻を鳴らして言う。


「それで、その子が例の?」

店主の視線は先ほどからアインしか見ていない。


「そうじゃ、お主たちにとっても特別な子じゃろ」

アインがフードを取って顔を見せる。


「っ!」


店主が前に出て来る。

急な動きに、カイルとリタが戦闘態勢に入ろうとしたが、店主はその場でフードを取ってひざまずく。


「その髪、その精霊力。間違いございません。王の系譜とお見受けします」

店主の急な変わり様に驚く。


「あ、あの」

アインは驚いておろおろしている。


店主の姿は背が高く、肌は褐色で線が細い男性のように見えたが、よく見ると短髪の女性だ。

ただその眼だけが、精霊に形質を変えられた魔族であることを示すように、眼球のすべてが赤くなっていた。


「お名前をお聞かせいただけますか」

「アイン」

アインが名乗ると、今度は自分の名を名乗る。


「私は、この地で火守役を仰せつかりました。カーラと申します」

ナージャが口を出す。

「カーラとやら、この子も慣れておらんで、かしずくのは止めてくださらんか。アインも普通に接してもらうのが良いよな?」


少年は、うんうんと頷く。


「。。。そうですか。それでは失礼ながら、アイン様のことは坊ちゃんとお呼びします」

慇懃な態度が抜けないが、まだましだろう。


「それで、お前たちは坊ちゃんとはどういう関係なんだ?」

態度をまるで変えて老婆達を見据える。


「わしらは、ここまでこの子を保護して連れてきた者じゃよ」

「それにこの子の母親と縁があっての」


「。。。」

カーラは無言で後についてくるようにと、奥の部屋に全員を誘った。


奥にはテーブルがあった。六脚の椅子が備え付けられた大きなものだ。

カーラが椅子を勧め、それぞれに座った。


全員が席に収まってから、カーラが最初に会話の口火を切って話し出す。

「これまで、坊ちゃんがいろいろと世話になったことには礼をする。これからは我々がお守りするので、貴殿らはこのまま立ち去るがよかろう」

慇懃な言葉で、一方的に話を進めるカーラに老婆が慌てて口をはさむ。


「いや、それはならんよ。わしらは魔族領への入り方を聞きに来たのであって、この子を渡す気はないぞ」


カーラは鋭い目で一瞥する。

「お前は魔術師だろう、魔術師に坊ちゃんを渡すことなどありえん」

「言いたいことは分かるがのぉ。。。」


カイルがイラつきを抑えた声で、

「なあ、ねえちゃん」

「。。。なんだこの無礼な男は」


「口が悪いのは謝る。だが、事情も聴かずに子供を攫うって言うなら、こちらも容赦しないぞ」


その言葉に殺気を感じて、カーラの目が細くなる。

「ほほお」


「やめてよ!」

アインが叫んだ。


全員の注目が集まる中、カーラの目をまっすぐに見てアインが話す。

「カーラさん、僕は皆と別れるつもりはないよ。これまで一緒にここまで戦ってきた仲間なんだ」

「ですがっ!」


少年の決意をその眼差しから感じ、言葉を飲み込む。

「。。。ですが、それを決める前に、私の話をお聞きください。それでもこの者たちと袂を共にすることが正しいかお考え下さい」

カーラは、皆にそのまま待つように言って席を立った。


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