出会い、冒険者たち
これから冒険を共にする仲間との出会いのお話です。
主人公の力の一端が発現する回です。
それからは危険な獣と出会う度に、退散させた。
ようやく山道にも慣れてきた。
山を3つ越えたところで、焚火の煙が見えた。
避難した村人かもしれない。
だが、少年は冷静に周囲を覗う。
野盗の仲間か悪漢の可能性もあるから慎重にと、夜のうちに夢で告げている。
音を立てないように煙の方向に向かう。
どうやら避難民ではないようだ。
男女のペアに老人?それと子供が一人。
親子にしては、男も女も若すぎる。
この世界にも冒険者という職業があるが、
子供と老人を連れた冒険者パーティなどバランスが悪すぎる。
護衛と雇い主といったところか。
山道を行く一行は今は昼休憩中のようだ。
山を一直線に降りてきたので、ここからならそう時間もかからずに追いつくことが出来そう。
少年は合流すべく足を速める。
まだ安心はできないが、近くで様子を見ることくらいはしてもよさそうだ。
ここ数日で身のこなしが様になってきた。
とても4歳とは思えない俊敏さを見せるようになった。
獣の子がすぐに立ち上がるように、極限の環境が少年に変化をもたらしたのか。
昼夜を通して山を歩き続けた結果なのか、筋力も驚くほどついた。
おそらく俺が憑依することも何らかの影響を残してるのだろう。
筋トレして疲労も無く超回復を繰り返している状態か。
元の世界ならひと儲け出来そう。。。
なんて、くだらない妄想をしていたら近くに着いたようだ。
様子をうかがってみると。
ヅゥン!
大きな動物の足音が聞こえた。
ガッキキイ
そこに剣戟の音が加えられる。
草陰からのぞくと、そこでは巨大なクマのような獣と2人の護衛が対峙していた。
でっか!
でかすぎるだろう。
日本のヒグマも2メートルから3メートルあるものもいるが、それは5メートルを超える獣と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。
黒い体毛に血走った赤い目。
熊にしか見えないが大きさが違いすぎる。
護衛の男が叫ぶ。
「巨岩熊だ!」
「興奮して手が付けられない」
「何とか落ちつけさせられないか?!」
「無茶言わないで!」
護衛の二人は苦戦しているようだ。
危機一髪、巨岩熊の一撃を回避し護衛対象らしい2人から遠ざける。
老人と子供は足がすくんで動けないのかと見ると。
煙草をふかして高みの見物を決め込んでいる。
割と余裕なん?
「やれやれ、しょうがないのお」
老女の声が聞こえ、重い腰を上げようとした、その時。
少年が飛び出した。
巨岩熊との間に突然現れた子供に護衛の2人は驚きの声。
「バカ!逃げろ」
「だめ!」
今までの中では一番でかいが、獣は獣。
うおおおおおおおおおおお!
過去一、でかくなろうと頑張った。
手を広げて巨岩熊の目をにらみつける。
どっかいけどっかいけどっかいけどっかいけどっかいけ
どっかいけどっかいけどっかいけどっかいけどっかいけ
どっかいけどっかいけどっかいけどっかいけどっかいけ
ど っ か い っ ち ま え ーーーーーー!
霧のような体が大きく膨らみ巨岩熊の大きさを越えた。
さらに巨大になり巨岩熊がぬいぐるみにみえるくらいになる。
それを見る巨岩熊は恐怖からか唖然とする。
興奮していた目は白くなり、じっとして動かない。
俺はスッと右手を山のほうに向けて去るように促す。
首をそちらに向けて、巨岩熊は大きな体を揺らしながら去っていった。
後には静寂が訪れていた。
俺の体は霧散するように元に戻った。
「助かったのか?」
「うそでしょ」
護衛の二人は混乱したまま立ちすくんでいる。
「お、お、おぬし!」
老人、老婆か、が少年を見て目を見開き驚いている。
隣の子供、女の子か?は老婆の様子におろおろしている。
驚き、声が出ない老婆の代わりに護衛の二人が声をかけてきた。
「今のお前の仕業か? すごいな、助かったよ」
「ねえ、今なにしたの。急に飛び出してきてあなたの髪がパーって輝きだして」
ん?髪が輝いた?
何それ、知らない。
今まで獣を追い払っていた時も、坊主の方は見てなかったけど。
普段からそうだったの?
「黄金の髪」
「お師匠様?」
老婆の声がした。
「まさか、本当に現れるとは」
「小僧、名を何という?」
あ、坊主、えらそうに聞かれて、カチンとしたか
「。。。アイン」
「両親の名はわかるか?」
「。。。ダンとアリーシャ」
「アリーシャだと!」
老婆の声にびくっとする。
「お師匠?」
老婆は唇を震えさせて
「そうか、お主があの娘の。。。」
少年が不思議そうに問いかける。
「母さんのこと知ってるの?」
老婆が優しい目をして言葉を加える。
「ああ、よく知っているとも。わしのバカ弟子のひとりじゃ」
「?」
少女は不思議そうに老婆と少年を見比べた。
次のエピソードでは少年が背負う運命への導が示されます。
偶然、縁のある人物との邂逅により少年の出自が明らかになります。




