表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/68

白磁の門

丘陵地帯を進むこと1か月、前方に巨大な門が見えてきた。


渓谷を塞ぐようにそびえ立つその門は、日の光を受け、その名の通り白磁のごとく美しく輝いていた。


村は門を背にするように城塞で仕切られていた。

元々砦だったこともあり、門を守るための城塞都市だったものを、そのまま利用しているようだ。

村に近づくにつれて、その門の威容に圧倒される。

超高層ビルに匹敵するその高さは、見上げると雲の上まで突き抜けているかのように錯覚する。

これほど巨大な建造物をどのように造ったのか、今は失われた当時の魔法技術がどれほど高度なものだったのかが偲ばれる。


村に着くと、祭りの浮かれた雰囲気が漂っていた。

年に一度の祭りが近づき、村中が活気に満ちている。


「いらっしゃーい、安くするよぉ!」


観光客相手の客引きや、呼び込みの声が騒がしい。


「そいじゃあ、あたしは、用事を済ませてきますんで、後で落ち合いましょう」

ビドゥは仕事の用を済ませるために別れた。


一行は早速、村長の家を探して聞き込みをし、すぐに場所を知ることができた。


代々の村長は決まった家で過ごすしきたりで、城塞都市の司令部があった建物だという。

そこは、最も奥まった都市全体を見渡せる場所にあった。

鐘楼のある大きな建物で村の会議もそこで行われるという。


そこに行くと、大きな体の獣族の男が、村人に大声で怒鳴り散らしていた。


「ばかやろぉ!人手が足り無ぇだぁ。そんなのは皆同じだろうが!足り無ぇ分、給金出して働かせるんだよ!他の村からも人手を募れ!」


「はぁ!?、参加者が足りない? おい、そりゃまずいじゃねーか。祭りの一番盛り上がる催しだぞ。村人から何人か引っ張ってこれねぇか?」


話がなかなか終わらない。信頼されている村長のようだ。


ナージャがずかずかと、人垣を分け村長の元に行き向き合った。

「忙しいところ、悪いがのぉ。少し時間をもらえんか?」


「おい、婆さん。見りゃわかるだろうが、今忙しぃんだ。後にしてくれ」

「いつなら会ってくれるかのお」


午後の鐘が鳴ったらまた来てくれ、その頃には片付いてると言われ、一旦退くことにした。


午後まで時間ができた一行は宿を探す。

村の広場には闘技場が造られ、観客席も増設が進んでいる。

その近くの宿はすでに満杯で入ることができなかった。


少し歩くが、門の近くにある宿を見つけそこに腰を落ち着かせた。


ミリーが「アイン。門を見に行こう」とアインを誘う。

「じゃあ俺たちも行くか」「そうね」とカイルとリタが続く。


宿で休むというナージャを置いて、4人で外に出かける。


門までは迷うはずもなくすぐに到着した。


「「わぁーー」」

アインとミリーが感嘆の声を上げる。


「こりゃすげぇな」

「大きいわねえ」

カイルとリタも凡庸な感想しか出ないようだ。


近くで見ると本当にでかい。


「これってどうやって開くんだろう」

フードを抑えながら、上を向いて倒れそうに見上げるアインがつぶやく。


「うーんわからんなあ。そもそも開くようにできてるのか?」

あーでもないこうでもないと話す一行の話を聞いていた老人が、声をかけてきた。


「旅の人かな? この門は実際に開いたことは無いんじゃよ。千年前の戦争で一度切り開いたと言われておるが、その時どうやって開いたのか誰も知らんのじゃ」


村人も知らないという。

その門は長い歴史の中で、静かに佇むだけの存在としてそこに在った。


その後も一行は村のあちこちを見て回った。

広場では気の早い村人が酒宴を始めている。


「まだ仕事は残ってんだぞ!」


親方と思われる獣族の老人が怒鳴りちらかす。

祭りに向けて皆の興奮と活気が伝わってくる。


坊主もむずむずしているらしく、今にも走り出しそうだ。


ごぉぉん。ごぉぉん。


午後を知らせる鐘の音が聞こえて来た。


作業をしていた村人たちが、一斉に手を止め門に祈りをささげる。

古くからの風習らしいが、今ではその理由は失われているそうだ。


老婆と合流し村長の家に向かう。

村長宅には村人はおらず、奥で昼食を摂っている最中のようだ。


「おぉ、来たか入ってくれ」


そこには女性と息子らしい男の子がいた。


「食事中にすまんのぉ。わしらはこの子の故郷を探して旅をしているのじゃが、話を聞かせてもらえんか」


そう言って、老婆がアインを前に立たせフードを取る。


「っ!」

「あっ!」

「?」


それを見た村長夫婦は驚きの声をあげた。


村長が周囲を警戒しながら、気まずそうに言う。

「すまない、すぐにフードをかぶってくれ」


夫人は「あちらに行きましょう」と息子を連れて奥に引っ込む。

村長は「向こうで話を聞こう」と真剣な顔で奥へといざなう。


家の奥に執務室と応接間を兼ねた部屋がある。

一行は勧められた椅子に座る。


「お前はダンの息子か?」

単刀直入に村長が聞く。


「はい」

「。。。そうか」


元村長夫婦は、今は彼に仕事を引き継いで、村はずれで隠居生活を送っているということだ。


もし、会っても喜びはしないだろう。そう言う村長に理由を尋ねると、


「ダンに期待してたからな。俺も次のおさは彼がなると思っていた。

血の継承前に女を連れて来るとは誰も思ってなかったからな。実際に失望した者も多かった。

村人の期待を裏切った事で、村長として引け目を感じたんだろうな、その後すぐに役を降りたいと代替わりをしたんだ」


決してお前のせいでは無いのだから、気を落とすなと村長は励ましてくれる。

アインはそれでも会うことを決めて、老夫婦の元へ向かった。

別れ際に、哀れそうに見る村長の目が少年の心を不安にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ