追跡者たち
黒梟疾爪の面々はオアシスの町ドラグフォルにいた。
アイン一行が森人の里に入ったことを最後に、彼らの動向を見失っていた。
森人の里に侵入することは、如何に隠密を得意とする彼らでも困難だった。
森の木一本一本が監視用のセンサーのようなもので、招かれざる者がその領域に踏み入れると瞬時に森全体に伝わった。
ジンライは作戦を変え、評議会の連絡を待つことにする。
数日の滞在を指示され、久しぶりに休暇を取ることとなった。
一時リタイアしていたザジとも合流し、久しぶりに全員が揃う。
「それで、女の子になった気分はどお?」
「なってねーよ!!!」
早速、からかうサーニャに怒鳴りつけるように言い返すザジ。
数日寝込むほどの熱を出して倒れこんでいた彼は、汚名を返上すべくやる気になっていた。
「あのガキ、次に会ったときは容赦しねえ。ガキだと思って舐めてたが今度は本気で叩き潰す」
「まあ、そう焦るな。奴らの動向がつかめんのでは動きようがない」
宿に併設された酒場で飲んでいると、見覚えのある剃髪の大男が入ってきた。
久しぶりに見るその男の顔を見たジンライは、にやりと笑う。
「少し席を外す」
仲間にそう言うと大男に近づく。
カウンターに陣取って酒を飲むその男に声をかける。
「珍しいな、兄貴が酒を飲むなんて」
「毒気が欲しい時もある」
久しぶりの兄弟の再会にしてはそっけない。
「ここに来たのは偶然じゃないんだろ」
「。。。ここで奴らの行方を聞けと言われた」
「そうか、だが俺たちもまだ連絡を受けていないんだ」
「そうか」
立ち去ろうとする兄を呼び止める。
「まあ、待てって。急ぐ用でもないんだろ?」
ジンライは情報を欲しがった。なぜこの件に兄が絡んでいるのか。
「この件は魔術師評議会が追っている、兄貴はどこからの依頼で動いてるんだ?」
「。。。知り合いに頼まれた。名を明かすのは仁義に反する」
「そうか、一つだけ教えてくれ。。。殺すのか?」
「。。。まだわからん、その時に決める」
「。。。」
『班長』
サーニャからの念話が届く。
『どうした』
『連絡が来ました』
ジンライがにやりと笑う。
「兄貴、どうやらやつらは白磁の門を目指すようだぞ」
「。。。」
何も言わずに立ち去る兄を見送るジンライ。
ここで情報を待つということは、奴の依頼主も魔術師評議会だろう。
出元は同じと見て間違いなさそうだな。
敵に回すと恐ろしいが、今は利用させてもらうとするか。
仲間のいる席に戻りながら、これからのことを考えるジンライだった。




