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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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転送門の先へ

ビドゥは馬車の中で、戦いの音が止むのを震えて待っていた。


一度ものすごい破砕音が聞こえ、馬車が衝撃で揺れた。

その後、ずっと続いていた木が擦れる不気味な音と、何かがぶつかり合う音が消えた。


そぉっと馬車から顔を出すと、真っ白な蒸気に覆われて周囲の様子が見えない。


恐る恐る馬車から降りて、一行の姿を探す。

「みなさ~ん、御無事ですかあ?」


むせ返るような蒸気と木屑が漂い息がしづらい。


白い靄の先に人影が見えた。


声をかけようと近づくと、人の姿を模した木の魔物だった。


「ひぇええ」


ビドゥは腰を抜かし後退あとずさる。

魔物は動きを止めて、棒立ちになっている。


「何を、びびっておる」

後ろから老婆の声がかかる。


「ひっ!」

急に声をかけられて、心底驚いた声を上げる。


「脅かさないでくださいよぉ。それにしてもこれは」

「本体が倒れて、すべての樹人形(スレイブパペット)が動きを止めたんじゃ。もうただの木じゃよ」


よく見ると、そこかしこに樹人形(スレイブパペット)が立っていた。

これらの魔物が、いずれは再びあの巨大な木に成長するのだろう。


「おーい、皆無事かぁ?」

カイルが安否を確認している。


「アインどこだー?」

「こっちでーす」


少年は、ガーディアンの残骸に埋もれたまま返事をした。

カイルが残骸をかき分けて少年の元に向かう。


未だ、そこかしこの残骸から水蒸気が上がっている。

木屑の山に埋もれているアインの手を取り引き起こすカイル。


「中でこれを見つけた」

少年の手を見ると、真ん中に紅い宝石をあしらった金属板を持っている。

カイルはそれを受け取りしげしげと見つめ、

「これもしかして、さっき話に出てたお守り(アミュレット)か?」


リタとミリーも少年の無事を確認するために集まってきた。

「どーしたのぉ?なにかあったの?」


森を流れる風によって徐々に周りの風景がはっきりしてくる。

ナージャとピドゥがこちらに来るのが見える。


戦場跡は巨木の残骸が散乱している。

打ち倒された樹人形スレイブパペットが数十体横たわっており、主が倒れ無力化された何体かは立ったままで停止している。


全員が集まった所で、ピドゥに金属板を見せる。


「あっ!それですそれです、あたしが無くしたお守り(アミュレット)

ずうずうしく、手を伸ばそうとするピドゥの手をはたく。


「これは森人(エルフ)に返却すのが筋じゃろう」

ナージャは広場の入り口に戻り、呪文を唱える。


錬成聖なる祠クリエートホーリーテンプル

石造りの小さな祠を作り、お守り(アミュレット)を安置した。


。。。


広場の奥まったところに祠が見える。

一行は馬車に乗りそちらに向かった。


大きな石灰岩の3つの柱が、それぞれを支えている。


「これって。。。精霊の祠?」

ミリーが、自ら試練を受けた祠に雰囲気が似ている事に気付く。


ナージャがそれに応えて

「おそらく、同じ時代に建てられたものじゃろう」


大陸に点在する祠には転送門としての機能は失われており、ここにある物も転送先が限られている。

長い時の中でその役割が失われていくのであれば、ここもいずれは遺物として眠りにつくのだろう。


「確かこのまま進めばいいんだったよな?」

カイルが経験者のピドゥに確認する。


「ええ、馬車に乗って進むだけで向こう側に辿りつけやす」


アインは森人の里に別れを告げるべく、後方を見た。

最後に里長が言ったことを思い出す。


「アイン様がこれから進む道は、かつての王が辿ろうとした道かもしれません」

「それはかつて、私たちの希望であり夢だった道です」

「どうか、正しき道をお進みください。王も、きっとそれを望むはずです」

「アイン様が王道へ至ることを祈っております」


戦場跡に風が吹いている。

彼らの旅を壮行するように、木々の葉や草が舞っていた。




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