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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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森へ

アインが新たな技を習得したものの、その成功率は実戦で使えるものではなかった。

その後も、技の練度を上げるために、実戦形式での修業が続いた。


ミリーの方も、杖の力を引き出すにはまだ時間がかかるため、一行は修行に明け暮れる日々を送った。


特にカイルはアインの成長に触発されたのか、熱の入りようが他と違った。


そんな日が続いたある日。


空から燕のような形の魔道具が村長の元に飛び込んできた。

それは、この世界の通信手段として一般的な魔道具で、送り元は森人(エルフ)の里からだった。


村長は、あなた方宛てだとその魔道具を見せてくれた。


ナージャが受け取り、解除の呪文を唱える。


とりの形をしたそれが数枚の紙へと変わる。

そこには、森人の長から罪人の身柄を引き取って欲しいという内容が書かれていた。


「罪人って。。。」

「え?だれのこと?」

「いや、もう思い当たるのは一人しかいないでしょ」


全員、宝石商人の顔が思い浮かびげっそりする。


「何が友人なんだか。。。」


こうして、一行は旅の支度を始めた。


「こんなことなら、アインの親父さんの村の名前だけでも聞いておけばよかった」

リタが忌々しげにつぶやく。


村長が困り顔で話す。

「森人とは元々同じ祖先から分れた種族と言われておりましてな、我々とは交流もあるんですよ。気位が高く付き合いにくいと言われてますが、仲間を大切にするあまり、他種族と距離を置く所がそのように見えるんでしょうな」


思い返すと、森人の吟遊詩人は大陸中でよく見かける。彼らは決して他種族を見下したりはせず、距離を置くということも無かった。


「森人達は過去の出来事を正しく伝える事を人柄としてますでな。誤りを糺そうと必死なんでしょうな」

「誤りを糺す?」

アインはその言葉を不思議に思う。


「ああ、こりゃ口が滑りましたわい。忘れてください」

村長は慌てて話を打ち切った。


この村では長く逗留することとなり、一行は村人とも仲良くなった。

特にアインは、旋風竜を倒した勇者であり、幻と言われた技の体現者として、村の子供たちからは英雄扱いされていた。


出立前、村人総出で見送りに出てくれる。


「アイン、ミリーまた来てくれよなー!」「アインさん、大きくなったら一緒に修行しましょう」

「うん、皆も元気でね!」

「また、会おうねー!」


「カイルー、あまりカミさんに心配かけんなよー!」

「誰がカミさんだー!」


「リタも元気で!」

「今度来るときは土産話たくさん持ってくるからねー!」


アインがゴンザを見かけて走り寄る。

「ゴンザさん。お世話になりました!」

「坊、修練を欠かさずにな。わしも坊に会えて楽しかったよ」

「はい!それで。。。これからは師匠と呼んでもいいですか?」

アインが恥ずかしそうに聞いてみる。


ゴンザは、アインの頭を乱暴に撫で、普段厳めしい顔をくしゃくしゃにした笑顔で「応とも」と答えた。


村長とナージャが別れの挨拶をしている。

「ご老、またお会いできることを楽しみにしております。森人の長には、私から文を送っております。決して悪いようにはならないと思いますよ」

おさ、何から何まで世話になったのぉ。これは礼じゃ」


ナージャが詠唱をはじめ、草原の草の一つ一つが輝きだす。

風になびく草から臨光が立ち上り、辺りが命の光に満たされる。


祝福の光の中馬車が動き出し、一行は新たな旅路へと向かう。


村人の皆が手を振り見送ってくれている。

一行の姿が見えなくなるまで、その場を離れる者はいなかった。


。。。


草原に2つの影。


フードを被り、草原の村を望む丘の上から、陰影魔法で姿を隠し村の様子を覗き見ている。

黒梟疾爪班のザジとサーニャの姿がそこにあった。


「俺は、何でこんなド田舎で季節一つ分も、子供のお守りをしてるんだろうなぁ」

「それが仕事だからでしょ」

ザジのボヤキは、今日これで5回目で、サーニャの反応は冷たい。


「俺たちは、泣く子も黙る疾爪だぜ。子供の監視なんざ新人にでもやらせとけっつーの」

「うるっさいなぁ。あんた、気を抜きすぎよ」


「気付かれるわけねーよ。どれだけ離れてると思ってんだ」

通常の監視対象なら容易に身を隠せる草原であれば、数百メートルの距離でも気付かれることはない。

今の場所は監視対象から1キロメートルは離れており、さらに陰影により姿を消している。


「班長の言うこと信じられないの?」

「信じる方がどうかしてるだろ。話が本当ならあの婆さん、本物のバケモンだぞ」


人形遣い(マエストロ)と呼ばれる魔術師がいた。


千体以上のゴーレムを操り、各地の紛争を文字通り力でねじ伏せた女傑。

千鬼の主(サウザンドマスター)とも呼ばれ、その実力は古豪と言われる現在の5賢人の中でも1,2を争うと噂された。

老齢から一線を退くも、評議会の上役としての力をふるっていたが、ある事件により失脚。今でもその力は衰えていないと恐れられている。


「あたしも、伝説でしか耳にしたことはないけどさ。事実ならあたしらが束になってもかなわないよ」

「だけど、今回のターゲットは婆ぁの方じゃないんだろ?あんなガキににどんな価値があるって言うんだか」


ザジのボヤキは止まらない。

次の定例の時に監視役を交代してもらおうとサーニャが考えていると。

「動いた、旅の支度を始めてる」


サーニャは正確に一行の動向を把握している。

彼女の持つ特殊な技能の一つで、嗅覚の知覚認識を数十倍にする薬と、あらかじめ散布した識別香により、村にいるすべての人の動きを正確に知ることが出来る。

数キロ離れていても彼女の能力から逃れる方法はなく、隠密として優れた能力だった。


ザジが何かをしでかしそうな目をする。

「ほほぉ」


「あんた、何企んでんのよ」

長い付き合いで仲間の悪い癖をよく知っているサーニャが問い詰める。


「いやな、あの小僧を捕まえっちまえば、このだっるい仕事から解放されるんじゃないかと思ってな」

「あんた、あの蹴りの威力見てなかったの?」

サーニャは修行の最中に見せた、少年の放った蹴りが岩を消滅させた瞬間を思い出す。


「ああ、知ってる知ってる。しかしなぁ。当たらなけりゃ、どうってことないだろ」

ザジは不敵に口元を緩める。


「まったく戦闘狂バトルジャンキーが」

あきれて、ため息をつくサーニャ。


「サーニャ、班長に報告を頼む。俺は、連中が村から出たところで小僧をとっ捕まえる」


「せいぜい、痛い目にあいな」

その場からサーニャは仲間のいる野営地に走り出した。


。。。


野営地にて、班長に状況を報告する。

ザジの独断にぷりぷり文句をつける。


「。。。まあ、今回は好きにさせよう」

ジンライには何か考えがあるようだ。

「いいんですか?」

納得しない。


「少年の実力を測る良い機会だ。老師がいる限り連れ去ってくることは無理だろうが、あの御人の動向も気になる」

忠告した通りに手を出さないか、ナージャの反応を確かめるのに都合が良い。


ああ、こりゃザジはいい当て馬だわ。

心の中でざまぁみろと、仲間の安否を気にすることのないサーニャだった。


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