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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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32/68

絶技・翠脚鞭


皆に新技の披露をすることになった。

草地の修行場に仲間が集まっている。

今まで皆が手伝ってくれた成果を試す時が来た。


リタの提案を取り入れた最終形態の技を披露する。


アインが攻撃目標の大岩に向かって構える。


「纏い」により黄金色の髪が輝くと全身が靄に包まれる。

脚に高密度の魔力が走り、翡翠の輝きが渦となり体を守り癒す加護を与える。

形成された魔力シリンダーが臨界に達した瞬間、蹴りのスイングのために力が開放された。

解き放たれたエネルギーはしなやかな脚のしなりにより、波動に相転移する。

魔力シリンダーは一度放出したエネルギーの代わりに波動を吸収し、それが放たれる最高の瞬間を待つ。 標的を粉砕する爆発的な加速。その刹那、魔力シリンダーが全開放(パージ)され爪先の一点に力が集中する。


「パァン!」


水面を叩くような鮮烈な音が辺りに響くと、円錐形の衝撃波と共に少年の足先が目標に突き刺さる。


全開放(パージにより砕けた魔力シリンダーの残滓が、緑色の臨光を放ちながらキラキラと剥がれ、粒子となって空に消えていった。打ち抜いた後に残されたのは、焼損の跡ではなく、吸い取った熱を大気へ逃がす静かな翠の燐光だけだ。


少年の体は、くるくると駒のように回り、打ち終わりの衝撃を回転へと変化させた。

草地へ着地して、草を刈り飛ばし、なお回り続ける。

緑の臨光をふりまきながら。


リタの言葉が思い起こされる。

「だからさ、返ってきた衝撃を受け止めるんじゃなくて受け流すんだよ。以前あたしがゴウライにぶん殴られたときみたいにさ」

リタはあの時の経験を技に取り入れることを提案した。


この技の反動による挙動は、打ちはじめの際に体が固定されていない事が理由だ。

固定砲台のように打ち込むことが出来れば、その威力はさらに増す事になる。

しかし、その反動を受け止めることになるのは5歳の少年の体である。

技の威力の7割近い反動を受け止められる体格ではなく、少年のためには破壊力を上げるよりも体の保護を優先すべきだ。


その意味でリタの提案は最適解だった。


完成された技の威力を見た一同は、一様に声を失っていた。


目標となった岩は砕け散るのではなく、爪先が触れた一点から翠色の光に侵食され、一瞬にして細かい砂の滝となって崩れ落ちた。


ゴンザが声を震わせて感極まった声を上げる。

「うぉぉぉぉ。なんじゃぁ、これは!」

カイルも思いの丈を込め叫ぶ。

「すげーすげーよアイン。やったな!」


それに比べて女性陣は全員ドン引きしている。

「なに、これ」

「うそでしょ、岩が砕けるんじゃ無くて粉になったわ」

「。。。」

老婆は額に手を当てて、空を仰ぎ見てため息をつく。


「それにしても、これは、我らが考えていたものとは全く別物だ」

ゴンザが技の性質を見抜き脱帽している。


「坊、この技の名前は何にする?これは坊だけが使える、坊だけの技だ」

技の創作者には名付けの権利と義務があるという。


ゴンザの問いに、アインはしばらく悩む。

そう言われても言葉が浮かばない。


ちらっと、ミリーを見て、「ねえ、ミリ姉ぇの杖の名前をもらってもいい?」


「え、いいわよ」

ミリーは快諾する。


「あとは、こんな感じ」


アインが持ってる印象を口にすると。


緑色

俺は、これらを組み合わせた名前を思い浮かべる


「すいきゃくべん?」

アインがふと口にした。


ゴンザがそれを聞き逃さずに

翠脚鞭すいきゃくべんか、良い名だ」


この技の名が決まった。


翠脚鞭すいきゃくべん


翠緑色の風を纏ったその蹴りは、その見た目の美しさに反して恐ろしい破壊をもたらす。

皆で技の完成を喜び少年をいじり回している。


この技名が、いずれ少年の二つ名となることを、今はだれも知らない。


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