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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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最終試験

修行の成果を確かめるシーンです。

ここで彼らは思わぬ発見をします。

試験の相手は、当然ゴンザだった。


「まさか、季節を跨がずに習得するとは驚いた。

本気で、かかってきていいぞ。一撃でも入れられれば合格だ」


おっさん、余裕ぶってると吠え面書くぞ。

そう勝手に息巻いたが、坊主の方は真剣そのものだ。


「お願いします!」

金色の髪が輝き、白い靄をまとう。


それが開始の合図となり、それぞれ間合いを取る。

もともと、身長差の不利を覆すための武術だ。同じような体格では完全に実力勝負になる。


死角の取り合いはさらに厳しくなり、どうやって相手の背後を取るかにによって勝敗が分かれる。


牽制の末、先にゴンザがアインの背後を取る。

首筋に手刀を繰り出すも、すんでのところでアインが避ける。

「?」


ゴンザはよけられるタイミングではなかったはずの一撃が、空を切ったことに違和感を感じている。

今度は坊主がよける軌道を回転に繋げて、左斜め下からの変形後ろ回し蹴りに繋げる。

ゴンザは難なくよけていったん離れる。


いま、「纏い」によって坊主の視界はほぼ死角がなくなっている。

あ、これをうまく使えば、罠に誘えるかも。

俺が気付いたことを頭に浮かべると、坊主にもそのイメージが伝わったようだ。


アインは強引に回転をかけた蹴りでゴンザの懐に入る。

回避されても円運動を止めずに、背後を取る。


そうはさせじと、ゴンザも円運動からの回避行動で背後の取り合いになる。


数度死角の取り合いが続き、アインに疲れが見え始めた時、着地の目測を誤りゴンザに背を向ける体制になった。


ゴンザは、それを見越してアインが振り向くと同時に踵落としを叩き込む準備をする。

しかしこれは、俺とアインが示し合わせた周到な罠だった。

長年修練を重ねてきたゴンザはその動きに体が反応し、その行動を自然と取っていた。

戦士としてのカンが違和感を感じつつも体が反応してしまった。


そしてアインは、踵落としを避けるタイミングを計り、十分なためを作ってバック転の要領で背面蹴りを放つ。


作戦通り進んだかに見えて、実は俺はその蹴りが放たれる事が不安だった。

溜めの段階から、骨にかかる負担をものすごく感じる。

成長途中の脆い骨は、このままでは耐えられないんじゃないか。

俺は慌てて、脚の筋肉と骨を包むよう筒状の魔力で補強するようにイメージする。

その結果、踏み込んだ力が急速に圧縮され脚が発熱する。

そして、収束した力が解放され、蹴りが放たれた。


瞬間的に、関節の軟骨が伸び千切れる感じがしてそちらの保護に気を取られた。

魔力による外骨格の形成を一瞬忘れてしまい、骨がしなる。

インパクトの瞬間、溜まっていた力が一気に放出された。


蹴りを放った瞬間にアインは後方に飛ばされる。

アインの蹴りはゴンザには届かず、何かが破裂するような音がした。


パァン!


その時偶然放ったそれは、衝撃波を伴いゴンザの体を吹き飛ばす。


「うぉ!」


巨人の足に踏まれたかのように草地が割れ、地面がえぐれる。

ゴンザは防御が間に合わずに後方に飛ばされ草地の上に叩きつけられた。


服はぼろぼろになり、衝撃でしばらく動きを止める。


「いやあ、たまげたなあ」

むっくりと起き上がり、驚きを隠せないゴンザ。


少年は数メートル先で倒れていた。

かろうじて、魔力防御が間に合ったのと、カイルが走り込んで受け止めてくれたおかげでケガはない。

カイルがアインを心配して声をかける。

「大丈夫か!?」

カイルの肩を借りて起き上がるアイン。

「う、うん。ありがとう。ゴンザさんは?」

心配そうにゴンザの様子を見る。

「こっちのけがは無い、大丈夫だ。寸でよけたが直撃だったらわからんかったな」

「アイン、今のは何をしたんだ?」

カイルも驚いている。


「わからないけど、ゴンザさんの攻撃が見えたんだ。それに合わせて、普段より溜めを長くして足の振りも遠くなるようにしたらああなった」


それを聞いたゴンザの目が輝く。


「坊!それだ!」

「?」


興奮を隠さず、ゴンザは過去に考案された幻の新技について語る。


「我らが使う蹴りの威力は、回転力が蹴りの威力に乗ることだって言ったよな」

今までの修業を思い出してアインが頷く。


「だがそれに加えて威力を増す方法があるんだ」

あくまでも、理屈の上でだがと前置きして、

「それは、鞭のように脚をしならせ回転による蹴りと波動を一気に打ち出す方法だ」


ゴンザが言うにはそれは現実的には不可能と言われてきた技だという。

その技を実現するには、成長前の子供の骨が良いとされる。

「子供の持つ骨は硬さはないが、その代わり若木の枝のようにしなやかな弾力を持っている。」

この柔らかな骨を鞭のようにしならせれば蹴のスピードは音を越える。

もちろんそのままでは、足そのものがちぎれかねないが、魔力による保護と強化を加えれば理屈では音速を越える蹴りが繰り出せる。


というものだった。


おそらく、坊主が蹴りを放った時に起きた音、あれが音の壁を越えたことを意味する。

にわかには信じがたいが、実際に目にしたことを思えば、それが事実だということを認めるしかない。

これまで、想像の中でしかなかったのは、草人の子供は体の小ささにより、技の発動条件を満たすことが出来ず誰も試すことがなかったからだ。

しかし、ここに草人の成人と同じ体格で成長途中の若い骨を合わせ持つ少年がいる。

「条件が揃っていたことには気づいていたが、まさか自分一人でたどり着くとは思わなんだ」


彼が、偶然放ったその一撃は人の子が今この時でしか実現できない、少年だけの必殺技だった。

これまで、話の上だけで出ていた新技が、ここに現実のものになろうとしていた。

そして、これが大変な危険を伴うということにも気づく。


「なあ坊、前にも聞いたがこの技を使いこなしたいという気持ちは変わらないか?」

そう問いかけるゴンザに少年の答えは決まっていた。



偶然放った新しい技は、爆発的な力を発揮しゴンザを驚かせました。

アインと主人公はこの技を習得できるのか。

次回からはミリーとリタのお話です。

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