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旋風竜との闘い

旋風竜との闘いのシーンです。

これまでのようにはいかない強敵です。


ビドゥ達とこれからの行程を話し合っていたカイルは、突然少女の悲鳴を聞いた。

「きゃああああ、アイン、アインが!」


ミリーが洞窟の入口に向かって駆けだそうとしている。

慌てて引き止めるカイル。

「バカ!今外に出たら吹き飛ばされるぞ!」

「だって、だってアインがぁ」

泣き声交じりにミリーが返す。


取り乱した少女を落ち着かせるように、ゆっくりと状況を聞く。

「アインが外に出たんだな?」

コクリとうなずくミリー。

「でも様子がおかしかった。あの子、入口近くで見ていただけで出ようとする素振りはなかったの」

なにかに、引っ張られるように外に引っ張り出されたと彼女は説明した。


カイルはミリーをリタに任せて老魔術師に向かって叫ぶ。

「婆さん!風封じの結界を頼む!俺が外に出てアインを探してくる」


ナージャは、心得たと返事をして呪文の詠唱を始める。


「この魔法は長くは持たんぞ。早めに坊主を見つけてくれ。頼む」

ナージャは普段の飄々とした表情が消えて真剣な目で訴えてきた。

「任せろ」

カイルの言葉に覚悟が見えた。


砂の壁と化した外界に向けて歩き出す。

洞窟の入り口を出るとすぐにカイルの姿は見えなくなり、あとは祈るしかなかった。


その時、アインと俺は空高く舞い上がっていた。


空中で前後左右上下と体を弄ばれ、アインは自分がどの方向を向いているのか分からなくなっていた。


俺はそんな坊主を視界に捕えながら、目の前の元凶を油断なく凝視していた。


まるで昔図鑑で見た翼竜を思わせる翼をもった魔物が目の前にいる。


大きさは全長2メートルとこれまで遭遇した魔物と比べて小さい。

細くとがったクチバシのような顔と大きな翼膜はそのままで、翼膜と腕は分かれており空中で獲物を捕らえることに優れた形態をしている。

何よりもその体全体に纏う風により、羽ばたかずとも空中に静止していた。

どうやらその権能によって風を操り嵐をも起こしているようだ。


今までと同じやり方が通用すれば追い払えるかもしれない。

そう考え、体を巨大化させる。

アインの黄金の髪が輝きだし、空中に巨人が現れる。


しかし、そいつは目の前の白い巨人に何の興味も示さず、アインだけを見つめていた。


まずい!これは今までのはったりが通用しないタイプだ。


アインはこの時も風で弄ばれて目を回している。

ぐったりして完全に意識を失う。

その時のタイミングを逃さずアインに憑依する。


坊主、悪い、もう少し辛抱してくれ。


体の状態を確認する。

三半規管をかき回されたような眩暈と吐き気が襲った。


子供に何てことしやがる。


「ケキァアアアーーー」

それまで、様子を見るようだった翼竜が吠えた。

本気の様子でその口に並んだ牙で噛みつこうとこちらに向かってくる。


「くっ」

「アインの意識が戻る」

まずい、弾かれる。

一瞬そう思ったがそうはならず、黄金の髪が輝きだす。

その瞬間、俺は、アインの周りに張り付くように同化していた。


アインの体が白いもやを纏う。


そして、風に煽られた体のバランスを取ろうと、

いつも、ミリーの魔法を見て練習してきた感覚で纏わりつく風を操る。


俺は風と一体になって坊主の体を浮かした。

間一髪のところで、翼竜の攻撃から逃れ空中で対峙する。


しかし、体の自由を取り戻したがそれだけだ。

こちらには武器になるものが何もなく、ただ相手の攻撃を避けるだけだ。


俺は、一か八かのアイディアを思いついた。

坊主がそれを感じ取り、前方に両手を掲げる。


「風よ」

『風よ』


「我に従え」

『我に従え』


アインの声と、俺の声なき声が重なった。




カイルは上空で何かが動いていることに気づく。

「何かいるのか?」

上を見上げると、金色の光が輝く瞬間を目でとらえる。


「アインか!」

見覚えのあるその輝きにとっさに少年の名を呼ぶ。


上空から何か大きな物体が落ちてきた。

「どぉぉぉぉん」


それと時を同じく、これまでの嵐が嘘のように止み空に青空が広がった。


落ちてきたものを見ると大きな生き物のようだ。

「これは?!」

翼竜がその浮力を失い、地面でのたうち回っている。

カイルは手に持っていた剣でその首筋を突く。

脊髄を一撃で破壊され、翼竜はびくりとしながら動きを止めた。


旋風竜(ウォルティキドラコ)、何でこんなもんが、空から降ってくるんだ」

カイルは旋風竜の死体を見て、その異常さに首をかしげる。


再び上を見上げると、金色に輝く何かが降ってくる。

慌ててその落下地点に走り寄り、浮かびながらゆっくりと降りるアインの体を抱え込む。

体に纏わりつく白い靄は消えて、髪の輝きもなくなる。

カイルは腕の中で気を失ったままのアインを見る。


「まさか、アインがこれをやったのか?」


今起こったことが信じられずにカイルは茫然としていた。


俺と坊主がやったこと、それは、旋風竜が使役していた風の精霊を根こそぎ奪うことだった。


体を浮かすための浮力や砂嵐の制御を一度に失った旋風竜は、混乱し自らの翼で飛ぶこともできず地面に叩きつけられ、下にいたカイルにとどめを刺された。


急に止んだ砂嵐に、洞窟にいた皆は慌てて外に出てきた。

血を流し倒れている旋風竜に驚きつつも、アインの無事を皆で喜んだ。



少年は新たな力によって旋風竜を退けました。

次回は少年はこれからの事で何やら思うところがあるようです。

決意を仲間に伝えます。

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