穏やかな時間
情報集めを続ける一行。
子供たちは留守番です。
じっとしてられず、こっそり街に遊びに出るシーンです。
次の日も情報集めが続けられた。
リタとナージャも加わり3人で手分けをすることになった。
アインとミリーは留守番を申し渡されて不満気だ。
「どうせなら、街を見て回ろうよ」
「。。。そうしようか」
ミリーも退屈に負けてアインの提案に乗る。
フードで目立つ髪を隠して、街に繰り出す。
市場に足を向けると、オアシス特有の変わった果実を使ったパンやお菓子が並んでいる。
手持ちの小遣いと相談してパンとお菓子を半分こに分ける。
柑橘系の果物の皮を乾燥させ、砂糖にまぶしたお菓子は苦みと甘みのバランスがよく美味だった。
甘く白い果肉を加工したジュレのようなものが入ったパンは、頬が落ちるようなおいしさで、二人は年相応に幸せの笑みを浮かべて頬張る。
森人の吟遊詩人が唄う、恋歌はその歌声と相まってミリーをうっとりさせた。
街のシンボルの櫓を見ようとアインが言い出し近くまで見に行く。
近くで見るその大きさに二人は口をポカンとさせて見上げた。
その巨大な建造物が見せる威容は、制作した人々の努力がどれだけ大変だったかを物語っていた。
湖にあるベンチでくつろいでいると、どこからか白い美しい鳥が飛んできて水面に降りてきた。
白鳥に似ている若干首が短く白い鶏冠のあるその鳥は、スーっと水面を器用に泳ぐ。
「きれいね」
ミリーがその美しさに見惚れて言う。
「わたしね、アインに会えて旅を続けられて嬉しかった」
「こうやって、遠くの町でいろいろなものを経験できて楽しい」
「ぼくもだよ」
少年と少女は、目を合わせて笑いあった。
人生を賭けた過酷な旅であっても、子供達には今感じる事を楽しむことも必要だ。
この時にしか感じられないことを大切にしてほしいと思いながら、二人を見つめていた。
宿に戻り、皆の帰りを待つ二人。
老婆が先に、続いてリタが戻ってくる。
「変わりなかったか?」
すました顔で何もなかったと報告する二人。
疑わしげな眼つきで二人を見るも、老婆はどっかと椅子に腰を下ろした。
「やれやれ、年寄りにはちときついのお」
「それで何かわかったの?」
「いいや、さっぱりじゃ」
冒険者ほど伝手はないものの、魔法使いの情報網も侮れない。
しかし、魔術師ギルドで足跡を追ってみたが、この地域には魔術でのルート構築はされておらず、未開の地だった。
この地域の情報があまりに少ないため、ギルド職員に聞いてみると。
このあたりの冒険者と同行する魔法使いが極端に少なく、情報が集まらないということだ。
なら、ギルド関係者で集めればよかろうと、問い正すと。
「とんでもない。そんな暇ありませんよ」
「それに、そんな危険なことまでするつもりありません」
辺境と言ってもよいこの付近では、ギルド職員の数が少なく常に定員ギリギリなんだそうだ。加えて、魔法使いはフィールドワークが得意ではない。
怒鳴りつけたい気持ちをなんとか抑えて、帰路についた。
「こっちもあまり役に立つ情報はないわね」
リタの方は商隊の集まる地域で、旅商人や巡回商人に話を聞いてみた。
獣族は自給自足がほとんどで、商取引があまり行われることがない。
そのため、獣族の村に向かうような商人は少なく、かなりの変人でなければ行くことはないそうだ。
「それでも、そんな変人の名前は聞いてきたわ」
それはビドゥという旅商人だという。
珍しい宝石を取り扱うので、時々獣族とも商売をするらしい。
「ああ、そいつの名前はおれも耳にしたな」
扉を開けて入りながら、カイルが今聞いた商人について話す。
「おかえりなさい」
「どうだった?」
「いくつかの獣族の村の位置を聞いてきた、ただし、お目当ての村かどうかまではわからん」
「それで商人については何を聞いたって?」
ナージャが興味深く聞く。
「有名な変人だって話だ。獣族しか取り扱わない宝石だけを取引してるらしい」
「なら、獣族のことは詳しそうじゃな」
「たしかに。。。」
有力な情報が集まらず、藁にもすがる思いでその商人に話を聞いてみることにした。
その夜は食事を終えて皆すぐに横になる。
アインとミリーは一緒のベッドでぐっすり寝ている。
俺は、昨日見た夢を思い出す。
金髪の男。どことなく坊主に雰囲気が似ていた。
何かはわからないが、大きな流れに巻き込まれている。
そんな予感を感じながら、夜は更けていった。
アインとミリーのデートは微笑ましかったですね。
次回は宝石商から話を聞きに行くシーンです。
父親の故郷の手がかりは見つかるのでしょうか。




