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川を渡って

先を急ぐ一行が川でモンスターに遭遇します。

新たな危機を前に一行の取った行動は。

逃亡の旅を決意した一行は、次の行き先をどうするかで揉めた。

とにかく距離を稼ぐことを優先する意見と、潜伏し安全を確認したあと慎重に行動する意見で分かれた。


「とにかく早くこの町を出た方がいい」

「追手があれだけとは限らない。それにゴウライは脅威だ」

カイルは先に進むことを主張した。

ゴウライの力を思い出し、全員があの時の恐怖を思い出す。


「でも、ゴウライだって街中では襲ってこないんじゃない?」

慎重派のリタがそう指摘する。


「逃げるなら早い方がよかろう」

ナージャが付け足す。

この土地の寒気はあの川幅をもってしても凍結させる。

そうなれば船は出せなくなり足止めされる。

あまり長く逗留することは危険度を上げる結果になる。

いまなら、船で距離を稼ぐことが出来る。


ナージャの意見が通り、翌朝早々に川向うに渡ることが決まった。


「坊主、お主の親父殿じゃが、獣族と言ったな」

「うん」

「故郷はどこか聞いておるか?」


「詳しく聞いてないけど、川を越えたずっと先だって言ってた」


川向うは広大な荒れ地になっており、街道の整備もされていない荒野だ。

「わしも、ミリーも行く当てがないでな。まずは坊主の故郷探しといってみるかの」


全員その意見には賛成だった。


翌日、買い出しを行い、渡し舟を求めて桟橋へと向かう。

しかし、欠航のためしばらくは回復のめどが立たないと言われた。

理由を聞くと、大顎マグナグナトスという巨大な魔物が出たため、安全を保証できないのだという。


「冒険者ギルドでも討伐依頼がでていたが、誰も依頼を受けていなかったな」


それは大きな顎を持つ魔物で、巨大な鰐のような姿の写し絵を見せられた。

鰐との大きな違いは手足の代わりに生えたヒレで、水中の機動力のすさまじさを想像させた。


「婆さんなら何とかできそうか?」

「うーむ。。。」

ナージャは少し考えて、

「目立つわけにはいかんしのお」


「そうじゃ、坊主、お前さん以前、巨岩熊ボルドベアを退けたことがあったな」

「あれをもう一度できないか?」

え?


なんか、いやーなこと言いだしたぞ。


「うーん」


アインが、虚空をきょろきょろと見回して。

目が合ったような気がする。


「やってみる」


うぉぉぉぉい


桟橋に向かい船を出してもらうよう交渉する。

交渉は難航し、どの船頭も断るばかり。


それを見ていたひとりの商人が声をかけてきた。

「あんたら、向こう岸に渡る方法があるのかね?」


その商人は、ロランと名乗った。

巡回商人と言う旅商人の一種で、決まったルートを何ヶ月もかけて回るらしい。

その経路での食料品や物品の流通を担っており、足止されると日持ちのしない食材などは廃棄しなければならないため、大変な損失になるということだ。


一刻も早く向こう岸に渡らなければならず、焦っていたところ一行の話が耳に入った。


「私の船でよければ向こう岸まで送るが、そのためには大顎をどうにかしてくれるんだろうな?」


お互いにとって文字通り渡りに船とはこのことで、交渉の末出航が決まった。


先行する俺たちの渡し舟を追って、大量の荷物を積んだ大きな箱を浮かべたような箱舟フラットシップが列をなして続く。

何かあった時は、俺たちをおとりとして即座に逃げれるように船列を組んでいる。


川を中程まで進んだところ、穏やかだった川面に巨大な水柱が立つ。


3mはありそうな大顎マグナグナトスの巨体が水上高く飛び上がり、大波を起こした。

アイン達は船から落ちないようにへりや手すりにつかまり、何とか落水をしのいだ。

数人乗りの小舟は波にのまれそうになるも、かろうじて浮くことが出来ている。

大顎は水中に潜るとその機動力を生かし、今度は直接小舟を狙う。

白い航跡を引きながらこちらに向かってくる。


「今だ!」


坊主が叫ぶ。

それと同時に黄金の髪が輝きだす。


俺は船底に待機して、その瞬間を待っていた。

白い体が突然膨れ上がる。


水深2m程の川底に足が届く。

体はどんどん大きくなり、巨大だった魔物が今は手で抱えられる大きさ程度に見える。

さらに大きくなり水面から10mくらい頭が出たところで見下ろす。

巨大な壁とかした白い体を目にして大顎は反転する。

大顎はその目にした、あまりにも大きい存在に立ち向かうことなく逃げ去った。

小舟に戻り、坊主が息を切らしているのを見る。


カイルは船団に手を振り無事を伝える。


何が起こったか全くわからないが、大顎の去った事を知った船員達から大きな歓声と拍手が沸き起こった。


「よし、じゃあこのまま向こう岸に渡ろう」

カイルが張り切ってオールを漕ぎ始めると、船団が次々に続いてくる。


岸につくと、ロランが走って来た。

「ほんっとうにありがとう!感謝してもしきれないよ」


これは、ギルドに依頼していた報奨なんだがと言って、金貨を渡してきた。

「この恩にはこれでは足りないくらいだ。今後何かあったら、私を頼ってくれ。」


巡回商人ロランとの長い付き合いとなる最初の出会いとなった。



大顎を退けた一行は渡河を果たします。

ここで知り合った商人とは今後も会うことがありそうです。

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