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思いを綴る__化粧という名の“魔法”

作者: 星月紗那

「人を見た目で判断してはいけない」

とは言うが、見た目はその人を知る上で、大事な手がかりだ。

 肌色や顔の特徴、瞳の色や髪質で出身地をなんとなく推測したりだとか。そこから文化や宗教をある程度推測して、失礼がないようにしたりだとか。服やアクセサリーのブランドでその人の好みや価値観、所得がわかったりだとか。その人の筋肉のつき方で、どんなスポーツをしていたかわかるような人だっている。


 もちろん、見た目ひとつでその人のことを全て理解することなんてできるわけがなく、時にはそれが偏見を生むこともあるが、時にはそれが仲間を作ることもある。

「え、〇〇さんもそのブランド好きなの?」

といった具合に。

 見た目での判断、というのは、何も全てが悪い訳ではなく、時と場合、いわゆる“シチュエーション”に完全に依存するのだ。


 そんなわけで、様々な考え方や文化が発達した今、容姿についての意見は様々にあるが、見た目は少なからず大切なものだ。

 容姿は大切、という言葉を聞いた時、ネガティブに考えれば

「その考え方はいじめや差別、偏見などの“よくないこと”を生み出しかねない」

といった意見が出てくるだろう。しかし、ポジティブに考えれば

「容姿を磨いて自分を好きになり、自尊心を育むことだってできる」

と考えることもできるのだ。

 その中でも、顔は大事なパーツだろう。そんなことをいうと、やはり批判されそうなものだが、事実、そうなのだ。


 人は見た目からその人の背景について考察するように、表情からその人の感情を考察する。それだけでなく、顔はその人が誰かを判別するのに重要な要素でもある。

 だから顔は人間の体の中でも、その人を知るためには重要なパーツなのだ。


 さて、無意識のうちに他人から重視されている“顔”は、無意識のうちに自分で重視するものでもある。鏡を見て髪型を整えたりスキンケアをしたり、化粧をするのはその証であろう。

 だが、中には化粧をするのは時間と金の無駄だと主張する者もいる。私はそれも一理あると思う。化粧をしたって元の顔は変わらないし、それは仮初の姿でしかない。それでも、私は化粧をする。


化粧は内面を変えるからだ。


 自分を自分が好きな姿に変身させ、それを手に入れたことで自信を持ち、魔法にかかる。まぁ、鏡の中の自分が魔法にかかっているだけで、自分そのものが魔法にかかっているわけではないのだから、先ほど述べたとおり容姿自体が変わっているわけではない。

 だが、それは心を変える。気持ちを変える。内面を変える。だから魔法なのだ。そして、私が化粧をする理由はそこにある。


 自分のコンプレックスを隠して、好きを彩って、“自分を自分で魅せる”方法だからだ。そして、化粧をし終わった自分を鏡で見た時、自分がここまで自分を輝かせられたことを誇りに思い、自信を持つ。そして、それは自然と態度にも現れる。


化粧で作った“憧れの人”は、自信があって、輝いていて、常に私の憧れの存在で居続けてくれるのだから、化粧をしている間は絶対に何事にも手を抜かない。

 自分が化粧をしている間は、常に“自分の憧れの人”で居続けようとする。だから頑張れる。モチベーションを保てる。

自分の憧れを自分で消したくはないから。汚したくはないから。


 今まで散々メイクの話をしてきたが、何もこれはメイクに限った話ではない。

 母が選んでくれたアクセサリーをつけているから、自信を持ってスピーチに臨める。

 大事な人がプレゼントしてくれたシャープペンだから、自信を持って試験に臨める。

 息子が買ってくれたネクタイをつけているから、堂々とプレゼンができる。


 これらのアクセサリーやシャープペンやネクタイは、私にとってのメイクと同じだ。


 自分を自分で輝かせるための魔法。

 それは案外身近なところに隠れているのかもしれない。



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