怪人、メキシコのパビリオンを襲う
次にミョクミョクの襲撃を受けたのはメキシコのパビリオンだ。ミョクミョクはそこへ来る途中、来場者を誘導するときなどに地面に置いて使う90cmくらいの金属ポールを1本調達したので、このポールを振り上げ、メキシコパビリオンの入口にたたきつけた。そうして破壊活動にはげんでいると、すぐにパビリオンのスタッフが中から飛び出て来た。
「メキシコのパビリオンを攻撃するスットコドッコイはどこのどいつだ!」
スタッフはミョクミョクにどなった。
「俺はミョクミョク。人々の怨念から生まれた悲しい怪人さ」
「悲しい怪人だか何だか知らないが、これ以上メキシコのパビリオンに手を出すとただではすまんぞ」
「知ったことか。俺はこの博覧会をぶっ壊すんだ」
スタッフは、破壊活動をやめないミョクミョクに警告した。
「あまりメキシコをあなどらない方がいい。我々は今や、人口で日本をも上回る大国なのだからな」
「本国の人口とパビリオンの防衛は関係ないだろ」
「その上メキシコは、アメリカ大統領も認めたラブリーな女性がトップを務めるいけてる国なんだぞ」
「誰がトップを務めようが、所詮メキシコは、いつも麻薬組織犯罪でぐだぐだしているダメ国家じゃないか」
「……てめえはメキシコを怒らせた」
スタッフは国を侮辱されて怒り、ミョクミョクに戦線布告した。
「もしお前にメキシコと戦う勇気があるならパビリオンの中へ入るがいい。地獄がお前を待っている」
「いいだろう」
万博の怪人は挑戦を受諾し、自ら破壊した入口の扉を抜けてパビリオンの中へ入った。