万博の怪人(4)
ミョクミョクの攻撃がおさまると
《こちらからも何か攻撃しなければ》
と考えて、にゅうめんマンはとりあえず連続パンチを打ち返した。だが、ミョクミョクは、にゅうめんマンのパンチをすべて的確にとらえ、両手を無駄なく動かしてブロックした。
《見上げた身のこなしだ。だが、これならどうだ》
パンチを打ちまくっていたにゅうめんマンは、その攻撃に突然1発のローキックを混ぜだ。手の方へ意識を集中している敵に対するフェイントのつもりだった。
ところが、ミョクミョクはそれもたくみにかわしてみせた。無表情で何も考えていないような顔をしているくせに、敵の動きを上から下まで実によく見ているのだ。目がいくつもついているのはダテではない。
そんなわけで今のところ敵に1発も攻撃を当てられていないが、にゅうめんマンは冷静だった。
《ローキックがダメなら、もっとよけにくそうな攻撃を試してみよう》
にゅうめんマンは再び連続パンチをしかけた。それはやはりブロックされてしまったが、狙いは他にあるのだからかまわない。先ほどと同じようにパンチと防御のやりとりをある程度続けてから、頃合いを見計らって、にゅうめんマンは急に高速の体当たりを繰り出した。
「ぐっ」
これにはミョクミョクも対処しづらかったらしく、にゅうめんマンのタックルを受けて大きくよろめいた。にゅうめんマンは、そのすきをついて、さっきよりも強いキックを打ち込んだ。
「くっ!」
ミョクミョクは足がふらついていたのでこれをよけられなかったが、代わりに腕でブロックした。さすがにガードが固い。ただし、キックの勢いを受け切れずに尻もちをついた。
ミョクミョクが不利な体勢になったので、にゅうめんマンはここぞとばかりに敵をバシバシ蹴りまくった。ミョクミョクはそれをすべて腕で防いだものの、にゅうめんマンの攻撃が苛烈で体勢を立て直す余裕が一瞬もない。防御できているとはいえ、めちゃくちゃな力で蹴られ続けて、まったくのノーダメージというわけにはいかないだろう。
ここで、一際気合をこめて、にゅうめんマンは尻もちをついているミョクミョクを全力で蹴飛ばした。
「にゅうめんで鍛えたこの右足、受けられるなら受けてみろ!!」
にゅうめんで鍛えたかどうかはともかく、とんでもないパワーで繰り出されたそのキックは、受け止めた両腕ごとミョクミョクの体を何メートルも後ろへふっ飛ばした。
「うぐぐ……」
にゅうめんマンはぶっ飛ばされて倒れたミョクミョクに駆け寄り、一気にとどめを刺そうとした。横たわった状態で攻撃を防御するのは難しいし、これで頭でも蹴飛ばせば勝負はつくだろうと思ったのだが、ミョクミョクはにゅうめんマンが攻撃する直前に素早く回転して追い打ちを逃れ、その勢いで倒れていた状態から跳ね起き、立ち上がるとともに宙高く跳び上がって、にゅうめんマンの攻撃が届く範囲の外へ退避した。




