中央アジア戦隊スタンネーションズ(4)
「俺にかまわず戦いを続けろ!」
にゅうめんマンにこめかみを弾かれながらも、トルクメニスタンの館長は仲間たちに叫んだ。
「バカ野郎。仲間を見殺しにできるもんか」
「いいから戦うんだ!もし俺が人質にとられたせいでみんなが負けたなんてことになったら、俺はもう情けなくて、明日からおてんとう様に顔向けできねえ。俺の屍を越えて行け!」
「トルクメニスタンの館長、お前ってやつは……」
そのとき、どこからともなく1人のきざっぽい男が現れて、バカにするように、中央アジア戦隊スタンネーションズのメンバーに言った。
「スタンネーションズの諸君、なにやら苦戦しているようだな」
「お前はキルギスのパビリオンの館長!」
「俺たちが必死で敵と戦っているのに、裏切り者が、にやにやして一体何をしに来やがった。俺たちを笑いに来たのか」
「お前たちが敵と戦っていると聞いてどんなものかと様子を見に来たんだが、仲間を人質にとられるような無様な戦いぶりでは笑われて当然だな」
「なんだと!」
「嫌味を言うひまがあったら俺たちに加勢したらどうだ。俺たちはみんなミョクミョク様の部下じゃないか」
「この前言っただろ。お前たちみたいなダサい国のやつらと一緒にされるのはごめんだと」
「ちくしょう!好き放題言いやがって」
にゅうめんマンは後から聞いたのだが、この5人の間には因縁があった。しばらく前、中央アジアの5国(ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス)のパビリオンの館長たちがミョクミョクの手下になったとき、5人で特殊部隊を結成しようという話が持ち上がった。だが、キルギスの館長だけは『~スタン』みたいなダサい国と一緒にされるのは嫌だと言って拒否したのだ。
「~スタンなんてダサいと言うが、キルギスだって少し前まで『キルギスタン』という名前だったし、俺たちの国と似たようなもんじゃないか」
カザフスタンの館長はキルギスの館長に言った。
「その名前が嫌だから改名したのさ。~スタンなんて国名は、いなか者であることを自ら宣言しているようなものだ。実際いなかっぽい国ばっかりじゃないか。俺は、自国の名前がキルギスタンからキルギスになって清々しているよ」
「自分の国だってキリギリスみたいな変な名前のくせによく言うぜ。後でパキスタンとアフガニスタンの館長も呼んで、てめえの身の程を思い知らせてやるから覚悟しておけ」
だが、キルギスの館長がそこへ現れたのは無駄ではなかった。このけんかに気をとられてにゅうめんマンの注意がおろそかになったときに、人質となっていたトルクメニスタンの館長が、すきをついてにゅうめんマンの手を逃れ、他の3人に合流したのだ。すぐにカザフスタンの館長が両手をしばっていた縄を解き、トルクメニスタンの館長は自由の身となった。
にゅうめんマンも《その場の思いつきでとった人質に逃げられただけだし、まあいいや》と思ってあまり気にしなかった。




