怪人、エチオピアのパビリオンを襲う(2)
館長を倒したミョクミョクはすぐに破壊活動を再開しようとしたが、館長が引き止めた。
「パビリオンを壊すことだけはやめてくれ。頼む……」
「敗者は黙っていろ」
「政情不安の中、多くの国民から寄付を募ってようやく建てたパビリオンなんだ。このパビリオンはエチオピア人の希望だ。頼む」
館長はミョクミョクにすがったが、ミョクミョクは拒否した。
「断る。俺はこの博覧会をぶち壊すんだ」
「このパビリオンだけはどうか容赦してくれないか。武士の情けだ。言われたことは何でもするから」
「ほう……」
ミョクミョクは手を止めてちょっと考えてから言った。
「ならば俺の手下になる気はあるか」
館長は苦々しい顔をしたが観念して受け入れた。
「分かった」
「よし。それでは頭を差し出せ。言葉だけでは信用できないから、俺の怨念パワーでお前を洗脳する」
館長が言われたとおり頭を差し出すと、ミョクミョクはその上に手を置き、怨念パワーを注入した。
「おおおぉぉぉぉ……」
館長の頭にネガティブな何かが満ち満ちた。ミョクミョクは手下になったばかりの館長にたずねた。
「気分はどうだ」
「寝ぼけて親父の歯ブラシで歯をみがいてしまった朝のような、最悪の気分です」
「それでいい。俺は怨念から生まれた妖怪だし、お前はその手下だ。気分が悪くて当たり前だ」
こうして万博の怪人はエチオピアのパビリオンを手中に収め、次のターゲットを選び始めた。




