怪人の手下、スペインのパビリオンを襲う(6)
地面に落ちたにゅうめんマンに向かって、牛はすぐにまた突進した。にゅうめんマンは痛みをこらえつつ必死で体を動かし、危ないところだったが何とかよけることができた。
その後も牛は休みなくにゅうめんマンに突進を繰り返し、しつこく攻め立てた。壁を突き破った後でしばらく休んだのを最後に、牛は1度も立ち止まることなく動き回り、にゅうめんマンを攻め続けていた。幸いにゅうめんマンには超人的に優れた身のこなしがあったから、普通に戦っている分には牛の攻撃をよけ続けることができた。
だが、しばらくそのような攻防を繰り返していると、その戦いにも変化があった。何を思ったのか牛がスピードを落として口を大きく開いたのだ。《どうも様子がおかしいな》とにゅうめんマンは思ったが、牛が何を考えているのか分からなかった。人の考えることさえ分からないのに牛の思考はまして読めない。
悪いことに、この牛の攻め手はにゅうめんマンの想像力を超えていた。すぐに、大きく開いた牛の口の中が青白く光って、なんと破壊光線をぶっ放して来たのだ。こんな攻撃が飛んで来るとはまったく予測していなかったにゅうめんマンは、もろに被弾してしまった。
「ぬああああぁぁぁ!」
ブルガリア、ブルキナファソ、ブルネイ、ブルンジの4館長から受け取った霊力を有効活用する大技だった。威力も抜群だ。
破壊光線を受けた衝撃で、にゅうめんマンは体の自由がきかなくなった。だが、だからといって牛が手加減してくれるはずもなく、光線を打ち終わるとすぐに、牛は改めてにゅうめんマンに突撃した。
《まずい……!》
この巨大な牛に打ち倒されて踏みつぶされたりしたら、さすがのにゅうめんマンも多分死んでしまうだろう。角で刺されても死ぬかもしれない。
体の動きはままならないが、命がかかっているので、にゅうめんマンは全力で牛の攻撃をかわそうとして、牛の進行方向に対し横向きに走った。
次の瞬間、腋の後ろから背中上方にかけて激しい痛みが走った。おおむね牛の攻撃をかわすことができたものの、頭を下げる姿勢で突進してきた牛の長い角の端に、体の一部を引っかけられてしまったのだ。背中側にある傷をゆっくり調べている余裕はなかったが、痛みの強さから判断して、小さな怪我ではすまないだろう。
まずい状況だ。にゅうめんマンはこれまでに、牛の体から落下し、大きく放り投げられ、破壊光線を浴び、角で怪我を負わされて、急激にコンディションが悪くなった。傷口からの出血がひどい場合は、ぐずぐずしていると貧血で戦闘不能になることもありえる。戦いが長引けば不利になるだろう。早めにけりをつけたいところだ。




