怪人の手下、スペインのパビリオンを襲う(2)
4人は雄牛を取り囲んだまま、急に精神を集中して霊力を高め始めた。
「おい。何をしているんだ」
にゅうめんマンは男たちの不可解な行動を問いただした。しかし4人はそれを無視してさらに霊力を高め、全員の霊力をシンクロさせて牛に注入した。
「モオォ~!」
牛はにわかに興奮し、ものすごい鳴き声をあげた。にゅうめんマンは何が起こっているのか不安になって再び4人にたずねた。
「牛に何をした」
「ははは。今さらそんなことをきいても遅い」
「どういうことだ」
「説明してやろう。理由は分からないが、俺たち、ブルガリア、ブルキナファソ、ブルネイ、ブルンジのパビリオンの館長は、特別に霊力の相性がいいんだ」
「それで?」
「さらに、俺たちの霊力は雄牛ともすごく相性がいいことが分かった」
「雌牛じゃダメなのか」
「雌牛じゃダメだ」
「それで、雄牛と相性がいいからどうしたんだ」
「俺たちは自分でお前と戦う代わりに、この牛に自分たちの霊力を注入して意識を操り、お前にけしかけることにした」
「なんだって」
「この牛を倒す以外にスペインのパビリオンを守る道はない。だが俺たち4人の霊力で強化された巨大な雄牛が相手だ。お前がどれほど強いか知らないが、でしゃばってたてつけば、ここで無残な最期をとげることになるだろう。ふははははははは」
《牛と戦うなんてやりにくいし気が進まないなあ》
とにゅうめんマンは思った。軽く1トンはありそうな大きな雄牛だ。頭にはそれぞれ50cmくらいの長さの立派な角が生えている。にゅうめんマンは普通の人間より体が丈夫だが、角で突かれたり足で踏まれたりしたら無事ではすまないだろう。
だが、にゅうめんマンは気がついた。別に牛と戦う必要はない。牛を操っている男たちをどうにかすればいいのだ。特段強そうでもないし、4人相手でも多分こちらがやられたりすることはないだろう。
にゅうめんマンは男たちの1人の胸ぐらを捕まえて迫った。
「やい!牛を元に戻せ」
「無理だね」
「なんだと!言うとおりにしないとこうだぞ!」
にゅうめんマンは男をビンタして張り倒した。
「痛いっ!」
「痛いのが嫌なら今すぐ牛を元に戻せ」
「無理だね」
にゅうめんマンは再び男の胸ぐらを捕まえ、激しくビンタして打ち倒した。
「痛いって言ってるだろ!!バカ野郎!」
「ビンタは痛くて当たり前だ。さっさと牛を元に戻せ!」
「無理だね」
すると、にゅうめんマンがまたしても胸ぐらをつかんで殴ろうとしたので男は抗議した。
「待てっ!待つんだ!!俺ばっかり殴って不公平じゃないか。4人いるんだから1人ずつ順番に殴るのが公平な正義の味方ってもんだろ!」
「バカかお前は。殴る相手を敵に指定されるヒーローがどこにいる。——どうしても牛を元の状態に戻さないというなら、次はお前の首がもげるほど激しい一撃をくれてやるから覚悟しろ」
にゅうめんマンがしゃれにならない感じの表情でそう言ったので、男は青ざめて弁明した。
「だから牛を戻すことは俺たちには無理なんだよ!さっきからそう言ってるだろ」
「えっ。無理ってそういう意味なのか」
「そうだ。一度霊力を注入したら俺たちはもう何もできない。後は牛の意思に任せるだけだ」
「本当にバカだなお前たちは。自分たちがけしかけた牛くらい、ちゃんと制御できるようにしておけ」
「うるせえ」




